私刑連鎖犯 上 (1) (講談社文庫 は 69-5)
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私刑連鎖犯 下 (3) (講談社文庫 は 69-6)
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いや〜、読み出すまでに日にちがかかったね。
すぐ邪魔が入るんだもの。
しかし、読み出したらあっという間。
原題「NINE」の意味がなかなかわからなかったけれど、途中からなんとなく、ね。
FBIの凶悪指名手配犯が逆さ吊りの死体で発見される。
現場には「9」の数字が。
刑事アレックスが捜査にあたるが、次々に死体となって見つかる指名手配犯たち。
犯人は市民から凶悪犯を始末してくれる人たち、と歓迎ムード。
自警団気取りで全員を処刑することが目的なのか?
犯人グループは初めから明かされている。
富豪のエヴァレットが高校時代の仲間を仕切って凶悪犯を処刑している。
しかし、これは表向き。
本当の目的は捜査にあたっているアレックスと、同じ高校にいたこれまた富豪のキット。
エヴァレットの手口はキットの義父の連続殺人を模倣したようだし、10年前にその義父を殺したキットの事件を担当したのがアレックス。
さらにはエヴァレットもかつてアレックスに逮捕されたことがある。
これは自警団の名を借りた私憤で、逮捕されたことをいつまでも恨み忘れず、高校当時から片想いの女性がキットに想いを寄せているから、という犯人心理。
因縁というか偏執的というか。
エヴァレットにあるのは無駄な金だったんだね。
生きた金の使い道を知らんヤツに大金持たせちゃいかん、ということだ。
警察やFBIの手配犯が易々と犯人たちの手に捕まるってのが情けない。
手配犯を捕まえるには金が必要ってことなのかね。
犯人とアレックスの対決までの盛り上がり、一気に読めてしまう。
しかし、その後のまとめかたはかなりあっさりしている。
それまでが緊迫していたからそう感じるのかな。
最後の彼女の登場はちょっと驚いたけれど。
キットがエヴァレットの挑戦として飼い犬を殺されてしまった後、あちこちから出てくる犬のおもちゃ等の記述に涙…。
片付けるでもなくそれが出てきてしまい、どうしようもない気持ち、自分もまだ日が浅いだけに…。
もう一匹出てくる野良犬ラスティ。
想像するだけでカワイイワンコさんだけれど、アレックスのグループには無条件でなつき、敵役のアレックスの兄さんは威嚇するという、あまりにもわかりやすい扱われ方はどうだろう。
っていうか、そこまで兄さんが嫌なヤツってのもどうかな。
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また怪盗ルビイ・マーチンスンが読めるなんて!
LOSTにもこんなタイトルの回があったような…?
「うまい犯罪、しゃれた殺人」でファンになり、そして「怪盗ルビイ・マーチンスン」ですよ。
短編で軽く読めるがその中に不思議な仕掛けが施されている。
そうよね〜、と思うこともあれば想像しなかったオチに連れて行かれたり、と飽きさせない。
ありそうでいてなさそうな、なさそうでいてありそうな、そんな世界が楽しめる。
で、ルビイ・マーチンスン・シリーズですよ。
全部で14編あり、そのうちの10編は「怪盗ルビイ・マーチンスン」に収められている。
残りの4編がこの本で読めるのです。
結果的にいつも赤字になるけれど、いつも頭の中がフル回転しているのがとても魅力的。
怪盗の活躍は嬉しいけれど、これでもうないのだと思うと寂しくもなる。
デクスター幼き者への挽歌 (ヴィレッジブックス F リ 4-1)
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チャ〜ラ、チャ、チャチャチャ!
この夏からFOXCRIMEで放送されるアメリカドラマ「Dexter」の原作。
うちではCRIMEが見られないので悔しくて小説を読んだという次第。
デクスター・モーガンは警察の鑑識技官。礼儀正しく人当たりもよく誰もが認める好青年。
でも彼は殺人鬼だったのです…って奥様は魔女じゃないんだから。
FOXCRIMEは副題を反省して下さい(笑)。
殺人鬼といってもそこは規律正しい殺人鬼であるべく、養父ハリーに徹底的に教え込まれている。
デクスターが幼い頃に小動物を殺しては埋めていることを知ったハリーはこれではとどまらず、将来人を殺すことになると悟る。
そしてそれならば、と決まりを作る。
殺されるにふさわしいヤツを選ぶ、
確実を期し痕跡を残さない、感情面でのめりこまない、
この「ハリーの法則」に忠実に従い自らをコントロールするデクスター。
悪人を処刑するというと仕事人とか仕置人を思わせる。
でもデクスターは自分の欲望ですから。
そんなある日、警察官である妹のデボラから血が一滴も残っていない連続殺人事件の捜査を手伝って欲しいと頼まれる。
犯人のやり口は完璧でデクスターは憧れさえ感じる。
しかし、ハリーの法則「感情面でのめりこまない」を胸に捜査に打ち込む。
が捜査を続ければ続けるほどデクスターは眩暈にもにた不思議な現象が。
さて、犯人は?
デクスターには感情がない。
人との交際も「こうするものなのだろう」という人間観察から作り出したもの。
もし私に感情があるのなら〜だったのが、事件の思わぬ展開に興奮していくさまが…!
ああ、映像で見たい!
白石さんの訳だし、見たいドラマの元だし、で興奮中。
でもミステリとしたら何かが物足りない。
物足りないというよりもずるいのか。
興奮中でもこんな感想を持つということは、そういうことか(笑)。
海外ドラマ好きとしては主人公が「シックスフィートアンダー」のデイヴィッドと共に特筆しなければならないのがデクスターの勤務先。
マイアミ・デイド警察ですよ!ホレイショと同僚だ!
もともと私は主人公が反社会的な行動をするのは許せないタイプ。
しかし最近はそうでもないな〜。
魅力が伝わってくればOKになってきている。
ようやく現実とフィクションの区別ができるようになったのか。
「ホミサイド」のベイリスに涙した自分が懐かしい。
ホミサイド 殺人捜査課 シーズン1 DVD-BOX
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エスピーオー (2008-06-25)
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肺を病む小柄な青年カールが大学へ入るために田舎町にやって来た。
下宿先の主人は被告人として裁判を待つ身。
カールはこの主人を裁判に出られなくするために送り込まれてきたのだった。
その時へ向け、着々と準備を進めているはずだったが、思わぬ展開が待っていた…
トンプスンの何が好きって、素敵に下品で、主人公の首がどんどんしまっていく感じ。
普通の人が一歩踏み込んでしまったら抜け出せなくなっていく様子とか。
「残酷な夜」は普通の人ではなくて「伝説の殺し屋」。
その男がどうすぱっとターゲットを仕留めるか、とはならず、計画がほころんでついには…この闇がたまりません。
もうですね、主人公が常に汗かいてるイメージなんですよ。
緊張してるというか、もうその街が汗の街みたい。
今までに読んだトンプスンのどれにも言えるかも。
渇いた感じって、しないなあ。
心は渇ききってるけどね。
出版社経営のエドガー・ブラッカーが作家サークルの会合に参加した後、放火で殺された。
彼は素人作家に出版の約束をもちかけては直前で現金を要求するという、詐欺まがいなことをしていたので恨まれて当然。
会合に参加したサークルの会長モーリスもその被害にあったばかり。
アリバイもないので警察に連れて行かれてしまう。
人徳のある彼を救おうと他のメンバーが事件を調べ始めると、第二、第三の犠牲者が。
初めて読んだピーター・ラヴゼイ。
ちょっと前までラゼヴィだと思っていたということからも縁遠さがわかるというもの。
ダイヤモンド警視シリーズが有名だがこれはノン・シリーズということをうなさんのところで知ったのでチャレンジ。
面白かったです。
彼の作品はコージーもの、と勝手に敷居を高くしていたので余計に楽しめた感じがする。
コージーものが何なのかわかっていないくせに思ったりする私はすごいな。
容疑者はサークル仲間の12人。
それが探偵となって探りを入れたり、これを機会に事件を作品と同時進行にして売り込もうと画策したり、と実にみなさん活動的。
連続殺人事件となったため、都会の警察からヘン・マリン警部がやって来て指揮を執る。
地元警察は当然おもしろくない。
警部をやり込めたいのか、サークルメンバーに捜査状況を教えちゃったりする。
ここらへん、今楽しく見ている海外ドラマ「The Closer」とかぶる部分も。
そんなことには負けない警部、気持ちよくみんなをこき使ってます。
終盤どんどん話がつながって真犯人へと転がっていく様子も実に楽しい。
当然素人探偵とかち合う。
それが一人じゃないのでコントみたいな展開に。
いや、ユーモアミステリというわけではないです、念のため。