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本の感想
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きつねのはなし (新潮文庫)
「きつねのはなし (新潮文庫)」
 [文庫]
 著者:森見 登美彦
 出版:新潮社
 発売日:2009-06-27
 価格:¥ 500
 by ええもん屋.com

ちょっと怪談めいた、妖しさ漂う短編集。
これまで読んできた登美彦氏の本は、一見おちゃらけている大学生のピントの外れたもがきがとても楽しかった。
しかしこの短編集は、百閒先生を思わせる不可思議さに溢れていて、登美彦氏の違う側面が見られたようで満足。
登場人物や骨董屋が微妙に形を変えて登場してくるのも、異世界への想像をふくらませてくれてお気に入りでした。
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恋文の技術
「恋文の技術」
 [単行本]
 著者:森見 登美彦
 出版:ポプラ社
 発売日:2009-03
 価格:¥ 1,575
 by ええもん屋.com

もうびっくり、図書館に行ったら「新しく入った本」のところに並んでるんですよ。
え、誰も予約してないの?手違いで並べられてるのでは?と、貸し出しカウンターで「すみません、予約本でした」と言われることまで覚悟したのにあっさり借りられた。
利用図書館で登美彦氏の本は貸し出し頻度が激しく、あまり棚に並んでいない。
みなさん、予約やリクエストせず、借りられる本を借りるおとなしい方々ばかりなのだろうか。

京都の大学から能登の実験所へ出向かされた大学院生守田一郎が、親友、研究室の厄介なお姉様、家庭教師の元生徒、作家・森見登美彦先生、妹、と書きに書きまくった文通の日々。
文通といっても相手からの返信は本には書かれず、書かれているのは守田からのものだけ。
はじめは「もしかして本当は返事など来ず、守田の脳内文通?」と少し寒くなった。
しかし第二話に入ると最初に親友に語った出来事が厄介なお姉様にはどう語られたのか、また微妙に違った側面が見えてくる。
第三話以降も同様に、同じ出来事の報告が相手が違うことで守田の伝え方が異なっているのが好き。
相手との距離感や心の内が感じられるし、時につく微妙なウソも加わってパラレルワールドの雰囲気だ。
一方からの手紙しかないのに個々との応酬が匂い立つのもまたすごい。
全ては愛する女性へ想いを伝えるべくの武者修行、そして見つけた「恋文の技術」、これなら彼女にも伝わったはず、と守田を応援したい。
六人力だもの(笑)。
悪ふざけと錯覚しつつ、恋や将来への不安をどうにかしていく、守田の成長の記録。
しかし、ベンチャー企業好きだよね。
夜は短し歩けよ乙女
「夜は短し歩けよ乙女」
 [単行本]
 著者:森見 登美彦
 出版:角川書店
 発売日:2006-11-29
 価格:¥ 1,575
 by ええもん屋.com


黒髪の乙女に恋してしまった先輩。
積極的な偶然の出会いの数々を彼女は素直に偶然と思い疑う様子もない。
そしてその偶然の出会いは必ず珍事件を呼ぶ。
このまま繰り返しか…と思われたところに訪れる神のイタズラ(笑)。
とにかく読んでいて楽しい。
大袈裟な表現でくだらないことを語るリズムも先輩も後輩乙女も珍事件も。
そしてまたもやパラレルワールドに突入してしまったかのような詭弁論部、酔うと顔を舐めまわす癖の持ち主、等。
この世界はこのまま転がり続けていって欲しいなあ。
著作を子どもと呼ぶ著者がこの作品を「長女」と呼ぶことがわかったような気がするかわいさだった。
そして私は詭弁論部がかなり好き、できれば入部したいくらいだということがわかりました。
踊りも習得したいほど。
四畳半神話大系
「四畳半神話大系」
 [単行本]
 著者:森見 登美彦
 出版:太田出版
 発売日:2004-12
 価格:¥ 1,764
 by ええもん屋.com

大学の二年間を無駄に過ごしてしまった男が、基本的には同じ状況で、サークルの選択が違っていたなら…という四話からなるパラレルワールド(?)。
何を選ぼうとも、唾棄すべき悪友は親友で、あの人はあの人だという着地点が待っているが、辿る道の険しさはそれぞれなので楽しいことこのうえない。
それなのにいくつかのキーポイントは繰り返され、それに出会うのもまた嬉しい。
この繰り返しがあるからこそ、第四章の孤独の果てに出会った着地点が効いているような気がする。
文体の妙もあって私はかなり満足。

先に読んだ「新釈 走れメロス 他四篇」の「走れメロス」に出てきた図書館警察がここにも登場。
結構好きなキングのアレから来てるんでしょうか。登美彦氏もお気に入りなのだと嬉しいな。
そういえば登美彦氏は最近、本当にかぐや姫を見つけられたそうで。おめでとうございます。

図書館警察―Four Past Midnight〈2〉 (文春文庫)
「図書館警察―Four Past Midnight〈2〉 (文春文庫)」
 [文庫]
 著者:スティーヴン キング
 出版:文藝春秋
 発売日:1999-08
 価格:¥ 960
 by ええもん屋.com
新釈 走れメロス 他四篇
森見 登美彦
祥伝社
売り上げランキング: 14882

「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」を現代京都の大学生の屁理屈な日々に置き換え、登美彦氏風の新解釈で書かれた小説集。
有名どころですが、私は後ろの二つは読んだことない。
元の文体によってあるものは力強く、あるものは静かに、とその表情も巧みに代わるが屁理屈大学生が変わらずに登場していることが素晴らしい。
最後の「百物語」で「森見君は~」と書き手が話しかけられているので本当は違うのだが、登場する大学生がどれも登美彦氏のようだ。
登場人物の集合体が登美彦氏なのかもしれない。
文字通りの疾走感と詭弁論部ならではの友情の形に「走れメロス」がお気に入りだが、そのまま「桜の森の満開の下」に入ると正反対の静けさの中に恐ろしさが際立ってくる。
「美女と竹林」はエッセイではなかった、あれも新釈エッセイなのだな、と新たな感想をもたせてくれたことも素晴らしい。

余談。
私は太宰治を読んで知った風に振舞うという、今考えると非常に小っ恥ずかしい高校生だった。
長期休みの読書感想文も指定もされていないのに太宰治(笑)。
タイムマシンがあったらあの時代に行って殴ってやりたい。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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