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本の感想
耳をふさいで夜を走る
石持 浅海
徳間書店
売り上げランキング: 110849

本質とは別のところにあるかもしれないが涙を誘われた「温かな手」、推理の展開は横に置いておいてもとんでもない設定で楽しめた「人柱はミイラと出会う」とは対極。
「BG、あるいは死せるカイニス」と同じ組だな。
出版されている本を全て読んでいるわけではないが、私には石持さんの本は「好き」か「嫌い」にはっきり別れるみたいだ。
そうわかってるならあらすじ読んで判断しろよ!ってつっこみはナシです。
表紙見返しの内容紹介で主人公並木が人を殺す、しかも連続殺人を決意しているのだからそういう話だとは想像つく。
でも最初に銘打っていればそれだけではないものを期待するじゃないですか。
確かにそれだけではないのですが…。
小説内で人が殺し殺されるのは「そういう話」だとして読めるけれど、意識の操作には嫌悪感。
まして善人面したその下で実験と称してのことだもの。
小説内での話として読めない自分がどうかしているのだろうけれど。
命を操作するような「BG~」と同じ匂いがする。
覚醒、あちら側、こちら側、という言葉が薄気味悪く感じられる読後感でした。
並木やその仲間がどういった組織に属していて、殺すつもりの女性たちがどういった境遇におかれているのか、最初には説明がないので組み立てながら読むのは魅力的だったけども。

マンドレイクの伝説は知っていたが、アルラウネが同じものを意味するとは…。
不勉強でした(苦笑)。
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温かな手
東京創元社
発売日:2007-12
おすすめ度:5.0

大学の研究室に勤務する畑寛子と同居人ギンちゃん、サラリーマン北西匠と同居人ムーちゃん。ギンちゃんとムーちゃんが名探偵、ということ以外にもこの二組にはある特殊な関係が存在する。それが温かい手、というわけです。

この二組のまわりに起こった事件を解決していく連作短編集。
石持さんは特殊な枠を作ってその中で話を組み立ててくれるのですが「BG、あるいは死せるカイニス」はその特殊な設定を受け入れ難かった。
しかしこの本にはほんわり感を感じたのでトライ。
ギンちゃんとムーちゃんは未知の生命体、人間のエネルギーを吸い取って生きている。
その食事の相手ともいえるパートナーが寛子と匠。
エネルギーを吸い取るのが誰でもいいわけではなく「魂のきれいな人」が「おいしい」く、その点この二人は合格しているのだそうだ。
おいしいご飯を食べてリラックス状態のエネルギーを吸い取るのが一番のごちそうらしい。
ストレスで過剰に発生した負のエネルギーも吸い取って落ち着かせてくれるがこれはおいしくないようだ。
この夢のような設定にうっとりする。自分にもギンちゃんやムーちゃんがいてくれたらなあ、と。
でも魂がきれいでないと寄ってきてはくれないわけで…(苦笑)。
未知の生命体ならではの視点で事件を解決に導く手腕も楽しめるけれど、それ以外のものも感じさせる。
タイトルにもなっている最終話、前の話でもところどころに二組それぞれの関係の終わりに思いを巡らす部分はあったが、最後の切なさときたら。
寛子も匠も薄々悟っていたようで湿っぽくはない。じんわりと温かな手の大切さが伝わってくる。
私は津田恒美投手が大好きだった。
最終話の落合さんの右手が求めていたことと、意識不明の津田恒美の右手が重なってどうしようもなかった。
もう一度、投げたかった―炎のストッパー津田恒美最後の闘い (幻冬舎文庫)
幻冬舎
山登 義明(著)大古 滋久(著)
発売日:1999-06
おすすめ度:5.0

最後のストライク―津田恒美と生きた2年3カ月 (幻冬舎文庫)
津田 晃代
幻冬舎
売り上げランキング: 40517

BG、あるいは死せるカイニス (カッパ・ノベルス)
石持 浅海
光文社
売り上げランキング: 157567

人間は生まれたときはみんな女性。
出産を経験した優秀な女性のみ男性へと性転換する…そんな世界のお話。

このままいけば男性化候補№1という女子高生優子が他殺体で発見される。
ショックを受けうる家族、学校関係者。
そんな中、彼女の後継者と目される少女がまたもや犠牲に。
優子の妹はさらなる怒りと真相に向かって歩みだす…。

「人柱はミイラと出会う」で設定の面白さを楽しませてくれた石持さん。
他の作品も読んでみようと手に取った。
読了したがこの設定は私にはダメだ。
読ませるものではある。
でも設定が生理的に受け付けられない。
女性蔑視だとか、男性優位社会だとか、そんなことではない。
生体そのものをいじるような話には拒否反応が出る、ということ。
SF小説なんだと思えば大丈夫なのでしょうが、私はSFもちょいと苦手。
話の中で政府に招聘されたドイツの研究者を悪魔と呼ぶのもわかる気がする。
でも成長した主人公も私には悪魔に思える。
人柱はミイラと出会う
石持 浅海
新潮社
売り上げランキング: 129954

人柱、参勤交代、厄年などが形を変えて現在も存在している日本を描いた短編集。
厄年休暇はあるとうれしいかも。

留学生リリーが、歴史でしか知らなかった日本の制度・風習に触れ目玉を丸くするというお話。
いや、かなり日本人でも驚く。
人柱は人柱職人という資格職、厄年の人は一年間休める、既婚女性はお歯黒、どれも現存しないことですからね。
ミステリなのでそれなりに事件は起きる。
その謎解きは人柱職人の東郷直海が力を発揮する。
…でも、謎解き部分はむらがあるかな。
数々の風習にまつわる設定が勝っているからこそ、そう感じてしまうのかな。
でてくる風習を茶化すというよりは、こういった意味を持ったものだから、と今に合わせて膨らまされているのでとても好印象。
でも、リリーが驚いてホームステイ先の娘慶子に「リリーは日本に来て間もないからね〜」となるくだりはパターン化したギャグとして成り立っているのかもしれない。
私はこうい軽いミステリは設定にやられてしまう傾向がある。
ほら、「丑三つ時から夜明けまで」とかね。
とても楽しめましたが、最後の恋愛話はいかがかな、と。
最後の最後、直海をびっくりさせるために必要だったのだ、と思えばありかな?
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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