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本の感想
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福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)
「福家警部補の再訪 (創元クライム・クラブ)」
 [単行本]
 著者:大倉 崇裕
 出版:東京創元社
 発売日:2009-05-22
 by ええもん屋.com

「福家警部補の挨拶」に続く、警察官に見られない小柄な女性福家警部補シリーズ二作目。
相変わらず、現場へ入るのを止められ、カバンの中の警察バッジを見つけられないが(最終話では失くさない方法を編み出す)、捜査の眼力は益々冴えてます。
「マックス号事件」では下船しそびれた豪華客船で、鑑識二岡もいない中一人で犯人に立ち向かうという荒技も披露しています。
下船できなかった理由が「つい時間が経つのを忘れてしまって」というのが警部補らしい。
カルトな映画、深夜の演芸場、毎週欠かさないヒーローモノ、とどんどん明らかになる福家の好奇心の対象をみるとさもありなん。

今年の正月にNHKドラマ「福家警部補の挨拶~オッカムの剃刀~」を見てしまったので「福家=永作博美さん」がチラついてしまうかなあ…?と心配したが全然浮かばなかった(笑)。
しかし、二岡=小泉孝太郎さんなんだよね(笑)。本では心の声は漏れていないけど。
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生還 山岳捜査官・釜谷亮二
大倉 崇裕
山と渓谷社
売り上げランキング: 97775

「聖域」に続く大倉さんの山岳ミステリで、こちらは四編からなる短編集。
松山警部補が登場すると思ったのに主人公の名前が違うようで残念と書いたが、主人公を支えるサブキャラクターとして活躍してました。
「聖域」を読んだ時にも感じたが大倉さんにとっては山も登場人物の一人であるかのようだ。
表情の変化など見方を変えれば人のそれよりも生気が伝わってくる。
山での事件という性格上、きっちりとした答えにはならないこともあるがそこへと導く釜谷、原田の篤い心を感じる物語だと思う。
でもですね、正直言うと他の方がこれを書かれたならもっとのめり込めたかなあと思わないでもない。
だって私にとっての大倉さんは落語シリーズだったり、丑三つ時だったり、警官倶楽部だったから作風の違いを感じても無理ないでしょ。
聖域
聖域
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大倉 崇裕
東京創元社
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大倉さんといえば、落語シリーズをはじめ、楽しく読める本という印象でしたがこれは骨太。
見返しにあるとおり新境地といった感じだ。
山のことは知らなくても、肝心なのは自分を取り戻す草庭なので問題なし。
過去を思い返す場面で、安西と恋人の牧野が、一人を助けるために三人が危険を犯し、結果一人死亡三人重傷という遭難事故に対して意見を闘わせるところがある。
例え一人が動けなくなっても二重遭難は絶対に防がなければならないと主張する安西と、何があっても絶対に助けたい牧野は真っ向から対立する。
この想いが事件の始まりだったとは…。
安西も、それを聞いていた草庭も、なんともいえない想いを抱いただろう。
だからといってやっていいわけではない。
それがわからなかったとは思えないので承知のうえの行動だったのだろう、だからちぐはぐに見える部分があるのかも、と自分は感じる。
初めて知ったが大倉さんは学生時代に山岳同好会に所属していたとか。
いつか山岳ミステリを、との想いで書き込まれたのがこの「聖域」。
そして今度は山岳捜査官を主人公にしたものも書かれたらしい。
「聖域」に出てきた松山さんかな?と思ったけれどどうやら名前が違うようで少し残念。
もうちょっと松山さんを読みたかったような気がするので。
生還 山岳捜査官・釜谷亮二
大倉 崇裕
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オチケン!―Rakugo Club The Key to Solving Mysteries (ミステリーYA!)
大倉 崇裕
理論社
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落語なんてまったく知らないのに、その名前ゆえ廃部寸前の落語研究会に入れられてしまった越智健一。 先輩や部の確執に巻き込まれ、授業にも出られずさあ大変(笑)。

理論社のミステリーYA!シリーズの一冊。
「起爆剤としてのミステリー!」を合言葉に、若い世代に興味のとっかかりとして展開しているとか。
そういう前提のせいか、とても読みやすい。振り仮名も大集合だ。
でも興味を煽ることを目的としているのなら、このくらいのものを読むのならは雰囲気で読めなくちゃいけないし、わからなかったら辞書を引いてでもという意気込みを持って欲しい。
肝心の内容ですが、いつの間にか入部させられたことが示すように越智君は「いつの間にか」とか「知らないうちに」事件に巻き込まれ、これまた「いつの間にか」解決しているという、いつの間にか君だ。そのおたおたぶりが楽しいです。
落語研究会は無事だろうけれど(?)、越智君には成長して欲しくないな。

短編二編と大倉さんの落語への想いが詰まったエッセイも入ってます。
気になったのが二つ目の最後に触れられる投資に失敗して借金取りに追われ解散しそうな投資研究会。
これって「警官倶楽部」に出てきたあの話とつながるの?
警官倶楽部 (ノン・ノベル)
「警官倶楽部 (ノン・ノベル)」
 [新書]
 著者:大倉 崇裕
 出版:祥伝社
 発売日:2007-02-09
 価格:¥ 900
 by ええもん屋.com

警官倶楽部とは…
尾行、鑑識、盗聴、銃など各分野のエキスパートが集まる警官愛好家のサークル。
趣味で知識や技を追求する、決して悪事を働く団体ではない。
しかし仲間を救おうと悪徳宗教団体の現金を奪ったことから事件が事件を呼び大騒動に。
次々にいろんな分野のエキスパートが登場してきて飽きない。
素人集団なのにこの結束力、すばらしい。
事態解決のために集結したはずなのに、自分の得意分野を見せつけたいという野望もちらほら。
彼らの活躍がまた読みたいけれど「続編はない」と聞いた気がする。

大倉さんは設定が素敵で参ります。
「丑三つ時から夜明けまで」の静岡県警捜査第5課とか。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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