忍者ブログ
本の感想
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

愛する者に死を〔ハヤカワ・ミステリ1805〕 (ハヤカワ・ミステリ 1805)
リチャード・ニーリイ
早川書房
売り上げランキング: 371898

出版社社長マイクの元へ「殺人を計画している、その手記を出版しないか?」との手紙が届く。差出人はP・Sとだけ名乗る謎の人物。業績不振に悩むマイクはこの話に飛びつきサンフランシスコへ向かうが、殺人現場へと誘き出され犯人の疑いをかけられてしまう。NYへ逃げ帰るがサンフランシスコから刑事が追いかけてくる。

マイクに復讐を企てる男の罠なのか?そう思わせて話は進むが、これはサイコ・ミステリかな。
P・Sは誰なのか、決定的証拠になかなかたどりつけない。みんなが怪しいうえになんだか悲しいし。P・Sの手がかりに気付かなかった自分も悲しい(笑)。
彼女の心の傷は折に触れて登場するけれど、犯人のそれは私には読み取れなかったなあ。読み落としなのかな?
登場人物の背景を想像させる書き方は私好みだし、章の終わりで引き付けておいて次の章では別の場面、と映像のような章立てであっという間。テンポで勝負といったところかな。
これは著者の第一作で他にも数冊翻訳本があるようなので興味あり。
PR
東京カオス
東京カオス
posted with amazlet at 08.07.31
アンヌ・ランバック
阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング: 466779

警視庁との交換研修生として東京にやってきたワシントン市警の郷順子。彼女が日本に到着するのを待っていたかのように事件が発生する。被害者の所属していた宗教団体の仕業なのか、テロ組織なのか、焦点が絞れないでいるところに第2、第3と事件が起きる。被害者の関係性はないように思えるが犯人の目的は何なのか…?

外国人作家(フランス)が日本を舞台にして書いたということで私の野次馬根性を止められませんでした(笑)。
「HEROES」に登場するようなびっくり日本を期待したが、そういった意味では肩透かし(笑)。
無闇に外国人の考えそうな日本らしいものを羅列するわけでもなく、今の東京を描いているのであまり不自然な感じは受けないかな。
少しだけ出てきた地方がたまたま私の知っている近辺なのでそこには多少の違和感あり。
成田在住の警察官が富津警察に勤務するのかなあ、とか。遠距離通勤だと思えばいいのか。
翻訳小説を読んでいると、「スーパーで買い物」じゃなくて「ウォルマートで買い物」等固有名詞がよく出てくる。これもそう。
日本を舞台にしているのにそんな書かれ方がちょっと新鮮だったかも。
劇場じゃなくてシアターコクーンとかね。

肝心のストーリーは、犯人の意図が全くわからず。
犯人の父親が731部隊だったこと、それが犯行にどう影響を与えたのかもいまひとつ…。
それがないとただ日本批判で靖国神社と同じような意味で731部隊のことを書いただけに思える。
何故レズビアンをターゲットにしたのかその告白くらい欲しかった。
舞台に設定しただけでなく、オウム真理教を思わせる宗教団体や阪神淡路大震災等、日本の出来事もかなりリサーチしてあるなと好感は持てただけに残念。
阪神大震災で家族を失った高校教師が「生徒と共に学校にいて助かった」とあるが発生は午前6時前だったのでこれもちょっと残念。
あとは…警部が多すぎ。しかもみんな現場に出てる(笑)。
続編として順子を主人公に「Tokyo Atomic」、「Tokyo Mirage」があるようだが…、どうかな?(笑)
深夜の逃亡者 (扶桑社ミステリー マ 26-2)
リチャード・マシスン
扶桑社
売り上げランキング: 345830

元ピアニストのヴィンスは精神病院から脱出する機会を狙っていた。脱出して愛するルースをボブの魔の手から救うのだ、と一人決心する。その計画を実行に移した恐怖の一夜。
お初の作家と思っていたが、あの有名な映画「激突!」の作者だとか。

突然やって来られて理解できない要求にうろたえる元マネージャー夫妻、そこに呼びつけられたヴィンスの憎む対象ボブ、ボブを案じて後をつけた身重の妻ルース、この5人の深夜から明け方にかけての数時間の出来事。
「僕のルースを奪ったボブから彼女を助けなきゃ、そのためにはボブを殺さなきゃ」という想いに支配されて行動を起こすわけだけれど、ルースはボブととっても幸せ。それどころかその後に起こした事件で精神病院に入れられたことに同情はするが、一時期とは言えヴィンスに魅かれたことを後悔さえしている。でもヴィンスには「ルースが愛しているのは僕、ボブに騙されている」との考えから逃れられない。今でいうれっきとしたストーカーだ。
ヴィンスの想いは歪んでいて理解不能。それゆえに先の展開が読めずはらはらする。理屈や予測が成り立たない恐怖をどうぞ、という感じかな?
さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)
「さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)」
 [文庫]
 著者:ロス・マクドナルド
 出版:早川書房
 発売日:1976-09
 価格:¥ 945
 by ええもん屋.com

新婚旅行初日に花嫁ドリーが失踪した、と青年アレックスが私立探偵アーチャーの元を訪れる。憔悴ぶりから調査を請負うが行方はほどなく判明する。しかしアーチャーが目にしたドリーは血濡れの手に乱れた衣服で「人を殺した」と錯乱状態。彼女の言葉を裏付けるべくある家へ行くと言葉どおりに死体が発見された。幼少時に母親を殺された事件との関連に注目し調査すると恐ろしい真相が見えてきた。

最近感じたことのなかった読後の満足感!
面白かった、以外にも充実した世界を堪能した感じ。
いや、面白ければそれでいいんですけどね。
アーチャーが事実をひとつつかむと事件の違った側面が見え、またひとつつかむと違った側面が、と多面体になっていく。
そして行き着いた先は戦慄を覚える人間のエゴの塊。
内に抱える暗い部に圧倒される。
狂気を孕んだ人と知りながらも一緒に暮らし、その狂気を刺激してしまうというか期待しているような弱さと企みの共存さえ感じる。
他にも対立や重圧といった人間関係のおかれ方がなんともいえない。
初体験のロス・マクドナルド、もっと早く読んでおけばな〜と後悔。
だって、図書館にあまりないんだもの、傷んでるし(笑)。
治療島
治療島
posted with amazlet at 08.08.10
セバスチャン・フィツェック
柏書房
売り上げランキング: 91876

著名な精神科医ヴィクトルの娘ヨーズィが診療に訪れた病院で姿を消した。
捜査のかいなく、犯人からの接触もなく行方はわからない。
4年後、仕事も放棄し島の別荘に籠ったヴィクトルの元へ治療を希望するアンナという女性がやってくる。
一端は治療を断るが、統合失調症だという彼女の話は、ヨーズィの事件をなぞるかのようで聞かずにはいられなくなる。
しかしアンナの登場でヴィクトルの周辺で不思議なことが次々と起こり、体調も変化してくる。
アンナはヨーズィ事件の関係者なのか…。

以下、内容を連想させる部分もあります。

読みだすと先が気になる、でも読みながら不安を感じる、読後不安は的中。そういう本でした。
どうなるんだろう?ではなく、まさか○○じゃないよな?というのが「気になる」の正体だったのかも。
正式に種明かしされる前までは(笑)、スリルやドキドキもあって楽しめると思う。
でも…それはないんじゃないのかな?というのが正直な感想だ。

映画化の話があるらしいが最後のどんでん返し(?)はまさに映画的かも。
仕掛けがたくさんあるらしいがもう一度追求する気にはなれないなあ。
きっと不安を感じならが読んだということは既にそこが引っ掛かったということだろうから。

会話に出てくる「真実であってはならないことは、真実であるはずがない」というのはとても気に入った言葉。
現実逃避型の私には座右の銘だな。

「シャッター・アイランド」を思い出したけれど、あれは主人公が実際に体験しているわけなのでちょっと違う。
シャッター・アイランド (ハヤカワ・ノヴェルズ)
デニス・ルヘイン
早川書房
売り上げランキング: 353185

前のページ HOME 次のページ
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析