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本の感想

蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)
「蒼林堂古書店へようこそ (徳間文庫)」
 [文庫]
 著者:乾 くるみ
 出版:徳間書店
 発売日:2010-05-07
 価格:¥ 660
 by ええもん屋.com

書評も手掛ける林雅賀店長と、彼を取り巻く日曜日の常連たちによる日常の謎解き連作短編集。
導入部にあまり変化がなく、退屈だと思いかけると新たな顔が登場したり、全編通しての優しい雰囲気は最終章のためだったのか、と大きな驚きではないものの、静かな流れなりの起伏は好き。
林雅賀の推理に無理がないとは言い切れないのもお楽しみの一つかな?
各章の後ろには、「林雅賀のミステリ案内」としてその回のテーマに関する本の紹介つき。
いつまでたってもミステリ初心者にはうれしい企画。
ところで、店主の林雅賀と「林真紅郎と五つの謎」の主人公が兄弟だという噂を聞きましたが。
言われてみれば傾向が似ているような気もする(=よくわかってない・笑)。
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カラット探偵事務所の事件簿 1
「カラット探偵事務所の事件簿 1」
 [ハードカバー]
 著者:乾 くるみ
 出版:PHP研究所
 発売日:2008-09-13
 by ええもん屋.com

資産家の三男坊古谷が始めた謎解き専門「カラット探偵事務所」の事件簿を助手の井上が読み物にまとめた形の短編集。
タイトルのカラットって宝石のカラットかと思っていたら「すっきり、さっぱり」を意味する「カラッと」であることにまずショック。
そしてショックはもう一つ最後にやってくる…
草むらの中に入って行った時の「丈の高い雑草が、俺の足首からふくらはぎにかけて~」のところは確かにひっかかりを覚えたけど服装は自由だから(笑)伏線というほどのことでもないのかな。
見落としているところに重要な伏線があったのかもしれない。
File 6の車を降りる時に靴を履き替えるのは最早解答も同じか。
恋愛のベクトルが二つあった、というだけで向きまで言ってないものねえ。
話自体に仕掛けがあるから依頼の解答として満足できない部分もまあいいかな?といった感じ。
何が引っ掛かるかと言えばFile 5の車中で温泉卵ができるのか?ということ。
適温になる可能性はあるとして、水分というか湿度が足りなくてただ腐ってしまうのではないかという気がしてならないのであります。
さて、微妙に関係性を修復して②に続くなんていうことはあるのだろうか?
何かが違ってしまうのでなくていいな、というのが正直な感想。

以下全く余談。
File1で依頼人がゴールデンウィークを控えているのに歯医者の予約を先延ばしにし、もうダメという状態になっても今度は歯医者がやってない、という話に喉元を掻き毟りたくなった。
私は連休を見越して医者に行ったのですよ!それなのに診立て違いで他の科にかかりたいのに…と地獄のような日々を思い出しちゃったじゃないですか!う~、いやなリンクだなあ(笑)。


恋愛変格ミステリだそうです。
マリオネット症候群 
御子柴里美(高校1年生)はある日身体をのっとられてしまった。
意識はあって物も見えるのに、身体を動かしたり喋ったりしているのはどうやら別の人。
これが噂に聞いた母方の家系に伝わる体質だという(笑)。
憑依されるのは自分が殺した人だというから始末が悪い。
故意か偶然かに関わらず、殺してしまった人の意識が自分の身体の中に入ってくるらしい。
念のために言えば、里美はそそっかしかったから。
自分のそそっかしさから憧れの森川先輩が死んでしまったなんて知ったら立ち直れないと思うが、そこは悲しむ余裕なんてないほど特異な状況に陥り森川先輩と一緒♪とちょっと嬉しそうだったりする。
終盤、里美のさらなる秘密が明らかになったり、あの人があの人の命を奪うとこうなって…と少し混乱しそうになるが落ち着いて読めば大丈夫(笑)。

クラリネット症候群 
養父関さんのクラリネットを黙って持ち出した天罰か、いじめっ子にクラリネットを壊された直後から「ドレミファソラシ」の音が聞こえなくなってしまった犬育翔太(高校1年生)。
関さんに謝りたいのに何やら事件に巻き込まれたようで不在。
その事件がクラリネットに関わっているらしく…。こちらは暗号モノ。
翔太は「ドレミファソラシ」の音が聞こえないため、翔太に聞こえる言葉は全てその音が消されて書かれているので読みにくいことこのうえない(笑)。
しかし暗号文を読み解くような楽しさが!

「イニシエーション・ラブ」の後ではどんな仕掛けもかなわないかもしれないが、2話とも特異な枠の中で破綻のない展開が楽しいです(たぶん)。
両方とも切羽詰っているはずなのにさほど感じられない緊張感、それどころかそこに馴染んでいく対処能力の高さに感動する(笑)。さすが、高校生!なのか?
「クラリネット~」の暗号は音符、点訳と二重変換と凝ってますが、著者は暗号好きなのかしら?(「林真紅郎と五つの謎」

林真紅郎は元法医学者。妻を事故で亡くし職を辞してからはぶらぶらと過ごしている。真紅郎は周辺で起こった五つの事件の事実を脳内でシンクロさせて真相を導き出す。

「イニシエーション・ラブ」が印象的だったので同じ著者のものを読んでみようと手にした短編集。
あー、真紅郎ってシンクロのダジャレなんだ…。
ユーモアミステリだったらそういう表記が出てきてもなんとも思わないのだろうけれど、これ、どれもそんな話じゃないのでそこだけ浮いて感じる。
真紅郎もいたって真面目な男なのに。
面白くないってことはないけれどそのチグハグさと偶然過ぎるような展開の方が気になる。
それと表紙には真紅郎とその飼い犬らしき姿が描かれているのに、犬の活躍がないことが不満だ(笑)。ちょっとは登場してたけど活躍してないもの。

印象的だったのは「過去から来た暗号」。
真紅郎が小学生の頃凝っていた独自の五十音表。それに基づいた暗号で友人宛に書かれた年賀状の内容を解くというもの。ちょっとおセンチで郷愁をそそるような展開だが、この独自五十音が私的に少しシンクロ(笑)。
最近読んだメイド探偵になりたい女子高校生歩鳥が主人公の「それでも町は廻っている」というマンガの2巻で、歩鳥が落ちていた光線銃を撃って宇宙人を呼んでしまう話がある。
その宇宙人の会話がこれまた独自五十音表に対応している。ラストには対応表も載せられた親切設計。
これもそれも、照らし合わせながら読んでみましたよ。
何故宇宙人が五十音対応なのかは触れてはいけないのだと思う。
それでも町は廻っている 2 (2) (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 2 (2) (ヤングキングコミックス)
石黒 正数

それでも町は廻っている 1 (1) (ヤングキングコミックス) それでも町は廻っている 3 (3) (ヤングキングコミックス) それでも町は廻っている 4 (4) (ヤングキングコミックス) PRESENT FOR ME石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス) ネムルバカ (リュウコミックス)

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イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
文藝春秋
乾 くるみ(著)
発売日:2007-04
おすすめ度:4.0

たっくんとマユは合コンで出会い交際スタート。どこにでもあるような青春ど真ん中のお付き合いだけれど静岡の大学4年生のたっくんの内定先は東京の会社。二人の遠距離恋愛の行方は…?

ってそういう小説にしか思えない。最後が来るまでは。
正直、たっくんとマユのラブラブぶりが小っ恥ずかしくなる。
私が読んだのは文春文庫だが、元々は原書房のミステリリーグの一冊、何かないわけはないと耐えながら読むと耐えただけのものが得られる(笑)。
ああ、そうだよなあ。少し違和感のあった部分がそのまま伏線だったのだ。
何を書いてもネタバレにつながるので嫌な方はこれ以上見ないで下さい。






side-Bに入ってからのたっくんの性格の変化が不思議だった。
社会人としての自信と遠距離恋愛の負担が彼をそうさせたといえばそう思えないこともないけれど読み進むごとに「これがあのたっくん?」と思わずにはいられなかった。
それもそのはずだよ。
マユはとことん純で少女の域を脱していないように書かれているけれど実はたっくん以上なわけで、別れた後の「たっくん?」の言葉にはたっくんがとうてい考え付かないほどの事実が隠れている。
恋愛に浸りたい!主義の女の子はこの程度のことは駆け引きでもなんでもないのかもしれないけれど。
海水浴、本の貸し借り、JR、テレビドラマ、クリスマス・イヴ等、果ては出会いの合コンまでたっくんとマユの間に出てくる小道具がことごとく伏線。後からもう一度確認せずにはいられなくなる。
裏表紙紹介にある「必ず二回読みたくなる」とはこういうことなのだな。
話の構成がside-Aとside-Bであることもその仕掛けとは。
展開しているストーリーは好みではないけれどこの本はその仕掛けが主人公。
読後にも引っぱられるような本は久しぶりでありました。
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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