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本の感想
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君と一緒に生きよう
「君と一緒に生きよう」
 [単行本]
 著者:森 絵都
 出版:毎日新聞社
 発売日:2009-03-27
 価格:¥ 1,470
 by ええもん屋.com

「それでも人を愛する犬」「犬部!」と同様のテーマ。
発行順ではこの本が一番早いようですけれども。

保護団体の保護した犬がどうやって新しい家庭に出会えたのか、その様子を取材したもの。
みんな幸せな家庭に迎えられている。
しかし、著者も書いているようにそれは本当に幸運だった一部にすぎない。
引き取り手もなく消えていった命のほうがたくさんであることを伝えるために、定時定点回収や犬たちが最期を迎えるセンターでその最期を目の当たりにした様子も書かれている。
自分はまだまだ犬と生活できるような状態ではないので苦しくなることだけしかできないのは歯がゆい。
印象的だったのは、元の飼い主の印象なのか、作業服姿、銀色の車に激しく反応するくるみちゃんの話。
捨てられたわけではなく、病死と病気での突然の別れ。
楽しい思い出がいっぱいだったのだろう。
これからどんなに愛情を注がれてもくるみちゃんには前の飼い主との思い出は決して消えるものではないのだと痛感。
だからこそ、保護犬だからと預かり宅が何度も変わるのはかえってつらく感じる。
そこが「犬部!」で共感できなかったところかな。
学生の本分は学業、それを優先すればできることとできないことが生じてくるのは当然。
でも相手は命をもったもの。
担当者から担当者へと引き継ぐ心は少しばかり受け入れ難い。
ちょっと目を離した隙に命をおとしたエピソードでは、前担当と現担当の敢えて気持ちを多く入れないところに難しさを感じもした。

「終わりに」で著者は、行き場のない犬たちに手を差しのべる人が増えてくれたら…の想いで始めた連載だったが、飼い主が増えるということは虐待を受けたり捨てられる犬も増える可能性があると意識が変わったという。
共に生きる喜びよりもそれによって生じる厳しさを伝えるべきではと思われたようだ。
結果、命を預かるという尊いことは幸せを連れてきてくれるけれど、生きているということは人と同じように病気もすれば年も取るということを、どちらか一方だけを強調することなく伝えられているような気がする。
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プロムナード
「プロムナード」
 [単行本]
 著者:道尾秀介
 出版:ポプラ社
 発売日:2010-05-28
 価格:¥ 1,365
 by ええもん屋.com

初エッセイだとか。
熱心な読者ではないが、以前聞いたエピソードがたいへん気に入っているので手を出してみた。
そのエピソードとは、雑誌のインタビューで「作家のお友だちは?」と聞かれ、道尾さんは「米澤穂信さん、桜庭一樹さん」と挙げたが、同じ雑誌で米澤さんのところを見たら「いない」と書かれていた、それを見つけた桜庭さんがわざわざ道尾さんに連絡してきたという(笑)。
このエピソード+エッセイで、弾けているのは桜庭さんで道尾さんは普通の人だとわかりました。

度肝を抜かれたのは真ん中にある特別収録の、「緑色のうさぎの話」。
17歳の時に描いた絵本だというが、そのタイトルの字体といい、テーマといい、「何があったんだ?」と当時の彼の肩を揺すりたくなる。
緑色のうさぎさんがそっと花を供える絵は逆にこっちが揺さぶられましたけど。
読み進むと、金髪、長髪、破れたジーンズ、腕に文字が彫ってあり、耳には安全ピンという風貌で、好きな女の子に手作りの押し花栞をプレゼントするという16歳の少年だったことがわかる。
絵本を描くまでの一年間に一体何があったのだ、道尾くん!とやっぱり肩を揺さぶりたくなった。
手作りの押し花というところにヒントが隠されているのかもしれない。
というわけで、ぶっとんだ面白エッセイとは違った意味で印象的な本でした。
ザ・万歩計
「ザ・万歩計」
 [単行本]
 著者:万城目 学
 出版:産業編集センター
 発売日:2008-03
 価格:¥ 1,260
 by ええもん屋.com

小説は読んだことないのにエッセイに手を出してみました。
高校二年生の時の「風が吹けば桶屋が儲かる」理論、発想飛びの宿題で万城目さんが書いた文章に感銘を受けました。
これなら私も漢字ドリルあげちゃうな。

b理論、♪チャララリララ~、っち、鼻血等等、気になるワードが次から次に登場して、途中でやめることができませんでした。
小説も読んでみたいなあという気にさせていただきました。
特にモンゴルでのトナカイとの秘密があるので、鹿男あたりに興味津々です。
心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)
「心とろかすような―マサの事件簿 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:宮部 みゆき
 出版:東京創元社
 発売日:2001-04
 価格:¥ 680
 by ええもん屋.com

「パーフェクト・ブルー」を読んだ勢いで、続編短編集にも手を出してみた。

警察犬を引退し、監察医の先生のところにいたのが、どうやって蓮見家にやってきたのか、知りたかったことが書かれていたので満足。
よそで飼われていた犬をもらってくると、前の飼い主を恋しがって、悲しがって死んでしまう、マサもそうなってしまうのでは…と心配する糸ちゃん、それにしっぽで応えるマサのエピソードは涙もの。

最後の「マサの弁明」は少し趣が違うが、
どの話も人の醜い心が起こした事件を描きながら、人との心のつながりにあたたかさがあって、居心地の悪さと安心感とが同居している感じ(笑)。
なかでも「マサの留守番」は、少年犯罪、家庭内暴力、動物虐待、といろんなことが詰め込まれ、
迎えた結末は虚しくとも、そこには兄弟愛、家族愛があるのですね。
当たり前なのに難しい、人の心を見せられた想いです。

前作よりもマサの生活が感じられて、それだけでも、心をつかまれてしまう。
マサは人々が驚かない時間を選んで、ひとりで街を歩いて捜査をしているのですよ。
これは本当にREXだ(笑)。
REXは犬がひとりで歩いているのに、まわりが気にしてないんだけどね。
マサは探偵だけど、犬刑事と同じだなあと、S3の放送が待ち遠しくなってしまった!(笑)
前作に引き続き、ジャーマンシェパードという犬種にREXを、
マサという名前にお星様になった愛犬を重ね、
なんとも濃密な読書となりました(笑)。
公園の池で、アヒルと格闘(遊んでやっているらしい・笑)しているのなんて、うちも白鳥とやってたなあ…と楽しかった日々が浮かびます。

存在を知りつつもずっと読んでこなかった。
読んでいたら同じ名前(うちはひらがなだったけど)をつけたかどうかはわからないなあ。
と、何故今頃?いきなり?というのはミステリマガジン3月号での犬も歩けば謎に当たるという特集を読んだから。
犬が語り手、犬がよき相棒、とパターンも踏まえての紹介で、
ミステリに出てくる犬の話をあれこれ見て、取り上げられている犬絡みの話を読んでみたいと思い立ったのですよ。
その第一弾として手に取ったのが、マサという名に惹かれた宮部みゆきさんの二冊だったというわけ。
今後もちらほらと犬絡みの本を読んでいこうかな、と。

ミステリマガジン 2010年 03月号 [雑誌]
「ミステリマガジン 2010年 03月号 [雑誌]」
 [雑誌]
 出版:早川書房
 発売日:2010-01-25
 価格:¥ 840
 by ええもん屋.com

パーフェクト・ブルー (宮部みゆきアーリーコレクション)
「パーフェクト・ブルー (宮部みゆきアーリーコレクション)」
 [単行本]
 著者:宮部 みゆき
 出版:新潮社
 発売日:2008-04
 価格:¥ 1,785
 by ええもん屋.com

今まで読んだことなかったのですよ、これ。
読んでびっくり、なんと私のためのような本じゃないですか。
元警察犬マサの語りで話が進むという…いや、うちはひらがなでしたけどね(笑)。
そして元警察犬ということでマサはジャーマンシェパード(でしょ?)。
ということは、REXじゃないですかっ!
設定だけで小躍りしているおバカさんな姿が見えますね。

そんなうきうき気分で、蓮見探偵事務所の面々、マスター、進也の人を思い遣る心にも嬉しくなり、それだからこそ途中で見えてきた真犯人は辛いものがありました。
それでも、進也の「尊敬しても、憧れてもいなかった。ただ、兄貴が好きだった。大好きだった」この言葉に救われる思いがしました。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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