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本の感想
たまさか人形堂物語
「たまさか人形堂物語」
 [単行本]
 著者:津原 泰水
 出版:文藝春秋
 発売日:2009-01
 価格:¥ 1,500
 by ええもん屋.com

祖父の人形店を継ぐことになった澪。
押しかけアルバイト冨永君、謎大き職人師村さんの三人で店はなんとか存続中。
そこに謎めいた事件がやってきて…という連作短編集。
津原さんといえば幻想的な小説の方が有名なのかもしれないが私はルピナス探偵団を思わせるこういった話の方が好き。
「毀す理由」も好きだけど「村上迷想」の一方向からではない心の複雑さ、妖しさ、もなんともいえない。
最終話は「ルピナス探偵団の憂愁」の最終話を思い出し、想像つくオセンチな展開とは思いつつも涙してしまった。
解釈はいろいろできるでしょうが、私はたまさか人形堂は安泰だと信じて続編を待ちたい。
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ピカルディの薔薇
集英社
発売日:2006-11
おすすめ度:5.0

「ルピナス~」を続けたせいかまた津原さんの本を読みたくなってしまった。
そしたら…またやっちまったようです。
amazonの紹介見たら「猿渡シリーズ、待望の続編!耽美怪奇短篇集」とあるじゃないですか。
「蘆屋家の崩壊」というのがそれのようだ。
粗忽者なのは重々承知だけれど、こう続くと…開き直るしかない(笑)。

「綺譚集」は美しいのかグロテスクなのか、その紙一重のところを歩かされている感じが強烈だった。それで免疫ができたのか強烈さは薄れましたが紙一重感はそのまま。タイトルになっている「ピカルディの薔薇」なんてまさにそんな感じ。
夏目漱石の「夢十夜」がとても好きなので「夢三十夜」に興味津々だったが、本を読み終えてみるとこの本全体が夢十夜の世界だな、と思えた「夕化粧」なんて特に。
「ルピナス~」しか知らないと驚くだろうけれどこの世界はたまらない。猿渡と伯爵の関係を先に知っていればもっと…と思わないでもないけれどこれから読めば大丈夫なのです。悔しくなんかありませんよ。

珍しい食べ物の話がたんまりと登場しますが蛭のソーセージは…!
ルピナス探偵団の当惑 (ミステリー・リーグ)
津原 泰水
原書房
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先日、後日譚の「ルピナス探偵団の憂愁」を読んだので再度手に取りました。
内容はすっかり忘れていると思ってましたが読めば思い出すものですね。
確認したかったのは推理の話ではなく探偵団の成り立ちと学園シスターの記憶。
学校描写がほとんどないのでシスターのことは覚えてなくて当然のようで安堵。
探偵団の方はこれといった出来事ではなく、彩子がシジマ君を好きになり勘違いの助けも借りて行動を共にするようになった感じ。
でもシジマ君、彩子の気持ちに気付いてないはずないな(笑)。
団として結束が謳われているわけではないけれど、2話で学校さぼってスキー旅行に行く件、シジマ君も一緒と彩子は考えていなかったのに待ち合わせ場所に来ていて同行となったことについて
「彩子、キリエ、私と来たら、次はシジマくんだと思ったの」という摩耶の言葉に後の彼らの姿が見える。
それ故の卒業の日、それ故の摩耶の葬式。読み直したからこその感慨が待っていた。

事件は「~憂愁」よりもっと女の子向けっぽい。少女向けに手を加えたのだから当然だけど。
でも3話めはそんな中にも違った空気というか怪しさが漂っていて好みです。
ルピナス探偵団の憂愁 (創元クライム・クラブ)
津原 泰水
東京創元社
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ルピナスの語源は悲しみを表すギリシャ語LUPE。それが慈悲の心に通じるので校名に頂いたルピナス学園で「ルピナス探偵団」として事件に遭遇してきた彩子、キリエ、摩耶、シジマ君の4人。そのうちの一人、摩耶が病気で25歳の若さでこの世を去る。葬儀に集まった3人が死期の迫った摩耶の不可思議な行動の謎を汚名を雪ぐかのごとく解明する第1話から、卒業式目前に学園で起きた殺人事件を解明する第4話まで、時間を遡って描かれる探偵団の連作短編集。

前作「ルピナス探偵団の当惑」はだいぶ前に読んだので正直覚えていない。
なにせ、私にとってのルピナスといえば「モンティ・パイソン」のデニス・ムーア。前作を手にしたのもそのタイトルのせい。
ちなみにデニス・ムーアは金持ちからルピナスの花を奪っては病気で苦しむ貧しい家庭に送り届け続けて家を花で溢れさせ「役立つものをもってこい!」とつっこまれ、富の再分配というものに混乱をきたす弱者の味方(?)だ!
…本に戻ります。
本に限らず映画でも人が死ぬことで涙を誘うのはずるいと思うし、嫌いだ。
これは1話の摩耶の死では前作を忘れていることも手伝って涙はない。
4話まで読みきった時にアリゾナ在住なのに仕事帰りにそのまま日本行きの飛行機に乗ったというシジマ君、「謎を解くんだ!」と言うキリエ、何もかもが頭の中を渦巻いてどうにもならない彩子へとつながる。
卒業の日の少女趣味な永遠の友情の誓いがあるからこその第1話。
青春の輝きという病かもしれないけれど、そんな病にかかれたことを羨ましく思う。
最後に悲惨な過去を背負わされた人の登場には「何もそこまで…」と思わないでもないが。前作で前置きみたいなことあったかしら?そういったことも含めてもう一度「~当惑」を読まないと、という気になった。
最近、事件の推理に関しては書かれていることを受け入れているだけのような感じがする。人物の心の動きの方が気になるというか。
でもそれがあってこその事件解明だから、私はミステリ読みに向いてないのかな?好きなんだけど。

登場人物の紹介、ちょっと珍しいと思う。だって相関関係だけじゃなく特徴付きですよ。

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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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