居住する町と、となり町が戦争を始めたのに、何故か外国での戦争をニュースで知るようでしかなく、しかし町の広報に載せられる戦死者は確実にいる。
現実感がないのに偵察任務を命じられた主人公の目から見た奇妙な戦争が語られる、というのがこの本。
気に入らないところがあるから、憎いから、とそういう感情があって始まるのが戦争だと思っていたが、ここで始まったのはそれによっての経済効果や鼓舞された住民の力を当て込んでのもの。
戦争という事業を共同で遂行した、ということになるらしい。
戦争によって潤う仕事があるのも事実である、そこを殊更ドライに見ているといえるかもしれない。
「何故戦争なのか?」、あいまいな動機、お役所がやってることだから、戦争にも適用されるお役所仕事、と戦争という今の私たちには現実からかけはなれた言葉を借りて、とても現実的な気質を見せられているような気がしてならなかった。
ふざけているかのような、おおよそ9時から5時までの戦闘時間や、年末年始休戦だけど、「The Wire」のギャングも、日曜の朝は教会に行く時間なので襲撃はご法度というくらいなので現実的なのかもしれない。
PR
主人公を取り囲む青春恋愛事情、その中で起きた交通事故、悲観した死、友人を疑う主人公…青春ミステリですね。
主人公を含む大学生グループに、「もう少し喋れ!」とか「何故質問しない?」とイライラさせられるがそこが青春ミステリというものなのだな、と読後に納得。
この年代は無神経で、臆病で、気遣ったつもりが逆効果、そんなことの繰り返しの時だものなあ。
タイトルに「犬」とあることで手に取り、巻末の参考文献に犬の心理や生態に関する本があげられていたので興味を持って読んだのだが、これは少し肩透かし。
カーミング・シグナルとか興味深いけど、探偵役でもある間宮が並べただけで登場するオービーのそれとは重ならなかったなあ。
著者はもしかしてあまり犬好きではないのかな?
犬の生き生きとしたところを伝えてくれるのは今のところランズデールが一番かな(私の中では)。
あと、忠犬ハチ公って秋田犬だよね?今映画やってるから余計に気になるんだけど。
途中、「おいおい、精霊探偵かよ?」と少し哀しくなったがハズレてくれて何よりだった(笑)。
俳優・的場浩司さんが出会った素敵なお店&スイーツを紹介するという本。
あまり甘いもの好きというイメージはなかったが、ご本人は食べるのも作るのも大好きだとか。
シュークリーム、チョコレート、フルーツ…等の素材、子どもに贈りたい、お遣い物、といった用途別のジャンルで紹介されている。
その合間にスイーツに寄せる想いを綴ったSweets Essayがはさまれているという構成。
素敵な本だった。
おいしそうでキレイな写真はもちろん、一つ一つに添えられた的場さんの言葉が見事。
「スタッフが目の前に用意してくれたものを食べました」ではなく、それと出会った時の感動や食べたからこそ知っているアドバイス(食べ方や状況)に本気を感じる。
今、目の前で的場さんが語ってくれているかのような錯覚を起こす。
始めは添えられている文章をちょっぴり笑ったりもしたが、ページが進むにつれ、その真面目さに心を奪われる。
スイーツを目の前にした的場さんは「誰とどんな状況で食べるか」が常に頭の中にイメージされているよう。
「うふプリン」紹介ページ、「小ぶりで飽きない味だから何個も食べてしまう」の後に「他のみんながいらないって言ったら、全部食べちゃうかも」と続く。
どうですか!
お土産として持って行った先で、みんなで囲んで、こんなにおいしいからみんながいらないって言うわけないのに、いらないって言ったら全部食べちゃうかもですよ。
読んだ瞬間声を出して笑ったけど、的場さんの人柄を見たような気がして、心が挫けていたこともありうっすらと涙が…(笑)。
祖父と一緒にケーキを食べたことを思い出したせいかもしれない。
食い盛りだった私は2個(今もか?)、祖父は1個、二人だけで内緒で食べた。
それまで祖父は洋風のものに興味ないと思っていたが、この時食べたレアチーズケーキをものすごく喜んだ。
2個目に入った私に「これならもう1個食べられる」と言い放つほど。
…2個目の食べ辛いことといったらない(笑)。
的場さんのように買う時に食べる人の顔を思い浮かべていたらこんなことにはならないのだろうな。
ケーキ屋さんのプリンは好きだけどグ○コの○ッチンプリンはキライとか、レアチーズは好きだけどベイクドチーズはキライ、とか80歳代後半にして祖父の新しい顔を知るきっかけとなった出来事だったなあ。
「プリンが好き」と聞いた親戚が持ってきた○ッチンプリンを一口で止めたのは笑ったなあ。
日本人初女性宇宙飛行士、向井千秋さんの旦那様の10年ぶりの書き下ろし本とか。
向井千秋さんを取り上げる時必ずその後ろに控える不思議な方という印象しかなく(かなり失礼ですね)、本を読んだのは初めて。
これは過去本も読んで見たくなる面白さでした。
奥様と一緒にアメリカのあちこちに行き(また仲がいいんだ、これが)、不思議に思ったことを自身で仮説を立てながらメールで質問もし、自分なりに考察するというマキオさんの好奇心があふれております。
質問メールにほとんどの人が真面目に応じてくれたというマキオさんの感動がまずあるのだと思います。
「日本ではだめ、答えてくれない」と新聞読書欄の著者インタビューで読みましたから。
また、マキオさんの好奇心が町を動かすきっかけになったようなエピソードも素直にすごいな、と。
特に好きなのは「シンデレラの暗号」。ディスカウント店とデパートの売り方の違い、75%OFFの値札のカラクリ等買い物って一番生活に関わりますからね。ってアメリカに行ったことないけど(笑)。
「ヒューストン市警の対応」で「違反車を止めた警察官がパトカーからなかなか降りない」という謎は海外ドラマ好きには予測が立ったので少しだけ優越感をもってみたり(笑)。
「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」では政治に関する話題が中心だったが、こちらは三面記事的な話題なのでとっつきやすい。
だからこそ自分たちと同じ生活者の内包する問題がてんこもり。
「アメリカ横断TVガイド」の最近版をそろそろ読みたいと思っていたので、とんでも事件にまで幅を広げたバージョンとして満足。
新味としては「Nippon Daisuki!」の章。
日本のテレビ番組の超訳もすごいが、漢字タトゥーの話題が好き。
これもある意味超訳だったり(ミステリアス=変、とか)暴走族風に当ててたり、と以前から気になっていたものとしては非常に楽しい。
もっと事例が見たい!と思っていたら漢字タトゥー添削サービスのサイトもあるとか。
これでしばらく楽しめると思ったらこのサイト、英語圏の人が日本で見かけたへんてこ英語を笑うサイトに影響を受けて始めたのだとか。
笑う前にしっかり笑われているのだ、との自覚も必要か。