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本の感想
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犬部!
「犬部!」
 [単行本]
 著者:片野ゆか
 出版:ポプラ社
 発売日:2010-04-08
 価格:¥ 1,470
 by ええもん屋.com

「アジワン」の片野さんなので、犬のかわいさを前面に出したものかと想像したが、なんらかの理由で行き場をなくした犬や猫を保護し、新しい飼い主を探す活動をしている北里大学獣医学部のサークル「犬部」部員の奮闘の日々を綴ったものでした。
獣医学部の学生サークルなので、大学動物病院と提携してたり協力関係にあるのだと思ったが、まったく関係ないらしい。
学生たちの、助けを必要としている動物をなんとかしたい!という気持ちのみで集まり、広がってきたサークルだとか。
保護した動物に新しい飼い主を探すという活動は、最近読んだ「それでも人を愛する犬」と同じだが、そこには学生ならではの葛藤が伝わってきて、保護活動の新たな側面(というか問題点)が見えたように思う。
命あるものをかわいい、愛おしいと思う気持ちが当たり前の彼らは「犬部に預ければOK」と思っていたり、なんとか飼えるよう説得を試みると「じゃあ保健所だ」と脅迫まがいの言葉を吐く飼い主たち苛立ちを隠せない。
でも、その場で部員に面と向かって保健所を口に出すのはまだいい気がする。
例として取り上げられていた、子犬たちと母親を連れてきた飼い主は、部員の説得に飼えるよう、または他の飼い主を探すよう努力してみると約束した足で保健所に直行したと想像される。
絶句である。
命の責任を軽々しく考える人がこんなにも多いとは人として悲しい限りだ。

途中から、学生サークルとして活動するには無理があるのではないかという雰囲気も感じられた。
「できる範囲」を超えてしまうとかえって動物が振り回されて落ち着くどころではないような気がして。
動物を愛するが故、彼らにもその矛盾に辛いものを感じ、休部を選択する。
真剣になればなるほど、ただ集まって保護しているだけではどうにもならないことに気付いたからでしょう。
まだ歴史が浅く、名称を「北里しっぽの会」と変更しての再出発、これからも何度も立ち止まることがあるだろうけれど、命に対する考えさえ間違わなければ大丈夫だと感じた。

ある部員が、動物の命の大切さを説いている時に、じゃあお前は肉や魚は食べないのか?と返されて困惑したエピソードがある。
彼は自分でも答えを見つけるためなのか、肉抜きの日を週一くらいで実践するのだが、これは違うと思う。
食用とそうでないものへの愛情は違うと思う。
食用に育てるのだって愛情がなければ無理な話だろうが、一緒に生活することを選んだ命に向けるものとは異なって当然だと思う。
「世界屠畜紀行」で感じた温度差はこの考えが原因かもしれない。
私の独りよがりだろうか。
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