初エッセイだとか。
熱心な読者ではないが、以前聞いたエピソードがたいへん気に入っているので手を出してみた。
そのエピソードとは、雑誌のインタビューで「作家のお友だちは?」と聞かれ、道尾さんは「米澤穂信さん、桜庭一樹さん」と挙げたが、同じ雑誌で米澤さんのところを見たら「いない」と書かれていた、それを見つけた桜庭さんがわざわざ道尾さんに連絡してきたという(笑)。
このエピソード+エッセイで、弾けているのは桜庭さんで道尾さんは普通の人だとわかりました。
度肝を抜かれたのは真ん中にある特別収録の、「緑色のうさぎの話」。
17歳の時に描いた絵本だというが、そのタイトルの字体といい、テーマといい、「何があったんだ?」と当時の彼の肩を揺すりたくなる。
緑色のうさぎさんがそっと花を供える絵は逆にこっちが揺さぶられましたけど。
読み進むと、金髪、長髪、破れたジーンズ、腕に文字が彫ってあり、耳には安全ピンという風貌で、好きな女の子に手作りの押し花栞をプレゼントするという16歳の少年だったことがわかる。
絵本を描くまでの一年間に一体何があったのだ、道尾くん!とやっぱり肩を揺さぶりたくなった。
手作りの押し花というところにヒントが隠されているのかもしれない。
というわけで、ぶっとんだ面白エッセイとは違った意味で印象的な本でした。
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