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本の感想
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-「癒しの島」とされる幻想を解体し、真の沖縄の姿を描きだす-というような表紙見返しの言葉につられた。
沖縄には行ったことはないが、漠然とではあるがそこを礼賛し、特別な場所であるかのように崇める言葉には嫌悪するタイプなのでどう描かれているのか興味もあった。
過剰に持ち上げるのを耳にすると「それはあなたがリゾート気分だからでしょ?」との想いが強い。
それは沖縄に対してだけのことではない。「田舎っていいよね、落ち着く」という言葉と同じ。
それはその人が旅行者であって生活者ではないから。「じゃああんた、そこで生活してみんさい」と言いたい。
観光客としてもてなされることと自分で生活することとの違いのわからない無神経な言葉だと感じる。
で、読んでみると…。
残ったのもは特にない。漠然と思っていたことが著者の言葉で「こういうことかな?」と説明付けられただけのような気がする。もちろん知らない部分もたくさんあるわけだけど。
「悲しき人買い」が嫌だったから受け付けたくないのかも。
彼女たちがあえて売春を選んでいるわけではない、そうならざるを得ない状況がわからないでもない。それを何とかしない日本はどうかしているとも思う。
それこそ、著者の若い頃の友人が虐待にあっている娘を助け出したつもりでありながら「鬱陶しいから、捨ててやった」と言ってることと重なる。
読んだ本のことを残しておこうと思うから書いているけれど、だめだ。
「買う」ことはどうしても受け入れられない。
「これで生活しているのだから」が女性を買うことを正当化する言葉に聞こえる。
そうならざるをえない状況がわからないでもない、なんて書いたけれど著者が忌み嫌うであろう「買う人がいるからだよ」という偽善的な言葉しか出てこない。
自分を頭がいいとは思わないが、小賢しい阿呆なのだろうか。
この本で感じなければいけなかったことを誰かに教えて欲しいくらいに沈んでます。
池上さんの同世代が書いた沖縄エッセイは痛快だったのになあ。
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たぶん最後の御挨拶
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東野 圭吾
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東野さんのエッセイ。
見ものはカバー・章扉イラスト。
著者ご本人が描かれてます。これが夢吉?

中にもたびたび登場するエッセイ「あの頃ぼくらはアホでした」がとても面白かったので、東野さんのエッセイは期待している。
でも「夢はトリノをかけめぐる」にはちょっと首を傾げてしまったのでこれも読み始める時は恐る恐る。
結果は…面白かった!
映画化の話とか、舞台や映画のパンフレットはちょっと飛ばし読みですが(苦笑)、他はよかったな〜。
年譜や自作解説で、その時にどんなことを考えていたのかがよくわかるし。
お気に入りの作品が売れなかった、とはっきり書かれているのはショックだけど。

真保さんは仲良しなのですね。
数作品、小説のテーマと時期が似通ってしまい不仲、との噂を聞いたのですがどうなんでしょう?
大きなお世話ですね。

小説を書くことに支障が出るのでエッセイから撤退する、と書かれていて残念。
しかしエッセイファンはタイトルの「たぶん」というところに望みをつなげてしまうな〜。
殺された側の論理 -犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」
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最近裁判関係の本が気になる。
やはり裁判員制度が頭にチラつくからだろうか。
肯定派ではないので予習なんかじゃないですけどね。

裁判は誰のものなのか、これは以前に読んだ「裁判官が日本を滅ぼす」でも強く感じたこと。
裁判が開始される時はもう裁判官の頭の中には行方が出来上がっていて、その通りにしか進まないという印象を受けた。
この本は裁判の進行ではなく、被害者や遺族がどういったことを期待しているのか、ご本人達の生の声を伝えてくれるもの。
被害者側が死刑を望むのは決して「うちは殺されたんだからあなたも死になさい」だけの感情論ではない。
現行の最高刑を期待しているだけだ。
そこには死刑以外の量刑の少なさ(軽さ)があるのだと思う。
死刑廃止を求める人たちの言葉も書かれているが、死刑を廃止するならそれに見合った刑罰を設けなければならないのではないか。
人殺しが野蛮だから死刑をなくすでは何の説得力もない。
同時に犯行当時の責任能力の問題も感じていたこと。
精神病を抱えているから、麻薬を使用していたからとの理由で犯罪がなかったことになるのはおかしい。
遺族は命を落としたことをどうどらえたらいいのか?
犯した罪は罪。
しかし責任能力を追求できないのであれば、そう判断した国が責任をもって治療なり更生なりに力を入れるべき。
野放しはおかしい。
囲っておけばいいというものでもない。
時効の問題もそれと似てはいないだろうか。
加害者がわかっても時効なので裁けません、を遺族が受け止められるわけないと思う。
裁判員制度よりも法律を見直すことのほうが先立ったのではないだろうか、と考えさせられる。
生還者
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読み終わるまで、真っ黒なだけの表紙だと思ってた。
最初から表紙のことを知っていたら、間違いなくホラー小説として読み始めたな。

民宿が台風からの土砂崩れに遭い、宿泊客が生き埋めになる。
多数の犠牲者が出たが、四日後に七人が救出される。
一人は救出後間もなく死亡するが、残りの六人は奇跡の生還者としてマスコミを賑わす。
元の生活に戻り始めたであろう半年後に一人、しばらくたつと一人、また一人と生還者が不審な死を遂げる。
あの生き埋め事故の犠牲者の呪い?次は自分?とだんたんに精神のバランスを崩していく沢井。
沢井は土砂崩れのその日に交際していた彼女を亡くしている。
この沢井が心のバランスを崩していく様子が恐い。
仕事をミスしても気づかない、それを注意されると貶めようとしていると感じる。
誰でもありそうなこと。
しかしその程度が甚だしくなり、厳しい注意を受ける頃にはもうまわりが敵にしか見えない。
おかしくなっていくってこういうことなのかも、と経験はないけれどその過程が妙にリアルに感じられた。
それだけに最後「そ、そんな急に…」と驚かないわけでもない。
きっかけとはそんなものなのかもしれないけど。
どっからでもかかって来い!―売文生活日記
日垣 隆
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タイトルどおりの本でした。

仕事依頼なのに名前を間違えてくる、後々の責任逃れが顧客よりも大事な銀行、学ばない宅配業者(郵便含む)等、日垣さんが体験した不勉強で厄介な人々との闘いを日記風に記した本。
そこを日垣さんは真っ向から自分の提案が双方にとって有益であることを主張する。
つまりクレーマーとはちょっと違う。
私などは理不尽だ、釈然としないと思っても不機嫌顔でやり過ごし、後で相手に聞こえないところでグチグチ言うタイプ。
日垣さんはそういう輩も彼らの「共犯」と映るらしい。
共犯者になりたくない想いからの行動だ。
そうしたくても感情的にならず理路整然と主張できるほどの中味が自分にないのもグチグチの原因。
あ、水道工事の不備を追及したことがあった!
でもこれは文句をつけただけかも。
郵便局の不在連絡表の対応策はやってみようかな。
ファックスの方はやっぱり最後の言葉は書けないだろうな。
なぜ勝手に持ち帰ったのかな?ですよ(笑)。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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