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本の感想
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チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
「チャイルド44 上巻 (新潮文庫)」
 [文庫]
 著者:トム・ロブ スミス
 出版:新潮社
 発売日:2008-08-28
 価格:¥ 740
 by ええもん屋.com
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
「チャイルド44 下巻 (新潮文庫)」
 [文庫]
 著者:トム・ロブ スミス
 出版:新潮社
 発売日:2008-08-28
 価格:¥ 700

年末のミステリランキング本で話題だったし、あのチカチーロ事件をヒントにしているというので読んでみた。
絶対と信じていた国家への疑問、その中にも存在した一握りの良心、夫婦の再出発、サイコキラー、脱出アクション、埋もれた記憶…とてんこ盛り。
これだけ内容ぎっしりなのであっという間に読んでしまうが本としての表情となると私には難しい。
正直、途中のサイコキラーの件は「デクスター?」という感じがして興醒め。
「デクスター」を見てなければ違ったかなあ?
ちなみに「デクスター」は本よりもドラマの方が格段に面白い。
主人公レオが正義を貫く姿は素直に応援するべきと思いつつも、最後の最後、孤児院に出向いたところにヒーローとして想像つく行為だっただけに「そっちだけ?ナージャは?」とつっこみたくなる。
絵に描いたようなヒーローは受け入れられない体質なのか?(笑)
国家の教育が行き届き誰もが通報者となりうる都会(モスクワ)と脱走者と聞かされてもレオとライーサをかくまってくれる地方の描かれ方を極端と思いながらも、都会と地方ってそういうことなのだろうなと逆にリアルかも?と感じた。
人の心は国家に教育される、ということをレオの目覚めと共に伝える要因だったのだろうか。
そんなこんなで飽きずに読めるにもかかわらず、中途半端感が漂っているがすっきりしたことも。
ロシア系の名前の○○ヴィッチといのは「○○の息子」という意味とは知っていたがあまりピンときてなかった。
主人公レオ・ステパノヴィッチ・デミドフの父親はステパノ・デミドフ、アルカージョ・フョードロヴィッチ・アンドレエフの父親はフョードル・アンドレエフ、ああそういうことだったのね、とようやくわかった気がした。

兄弟を食べられたことがきっかけで殺人鬼になった、と告白したとされるチカチーロ事件。
テレビで見て衝撃を受け「撫で肩の男」も「子供たちは森に消えた」も読んだ。
どちらも品切れ状態だったらしいが、「チャイルド44」効果なのか「子供たち~」は新装版が発売になったようだ。
同じ出版社ならもっとよかったのにね。

子供たちは森に消えた (ハヤカワ文庫NF)
「子供たちは森に消えた (ハヤカワ文庫NF)」
 [文庫]
 著者:ロバート・カレン
 出版:早川書房
 発売日:2009-01-06
 価格:¥ 924
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凍える森 (集英社文庫)
「凍える森 (集英社文庫)」
 [文庫]
 著者:アンドレア・M. シェンケル
 出版:集英社
 発売日:2007-10
 価格:¥ 540
 by ええもん屋.com

ドイツで1922年に実際に起きた村はずれの農場一家六人(使用人一人含む)惨殺事件を下敷きに、1950年代に舞台を設定し著者なりに事件を推理したものとなっている、とか。
「はじめに」に書かれているが実際の事件は1955年まで捜査が続けられ、1986年に行われた事情聴取で未解決のまま事件終了とされたが、当時担当した警部は、自身の引退後も独自調査を続けたという。
犯行後、犯人が農場に留まった生活の痕跡があったり、家畜に餌を与えていたというのに惹かれて読んだのですが…。
一見、静かに暮らしているだけのような閉塞感、生きるために仕方のない選択とか、外からはうかがい知れない暗部が捲れていく感じもいいんですけど…。
何だろう?何も残らない感じがすごく強い。
殺された一家を知る人の証言で進むという構成も好きなんですよ。
好き故に「この町の誰かが」と比べてしまうのかな?(同じような理由で「Q&A」もいまひとつな印象だし)
私に信仰心がないというのも関係しているのかなあ。

この町の誰かが (創元推理文庫)
「この町の誰かが (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:ヒラリー ウォー
 出版:東京創元社
 発売日:1999-09
 価格:¥ 777
 by ええもん屋.com

聞いてないとは言わせない (ハヤカワ・ミステリ文庫 リ 9-1)
ジェイムズ・リーズナー
早川書房
売り上げランキング: 16378

直前に読んだものがハードだったので、一気に読めるという謳い文句を信じて読んでみたら…ホントにあっという間。
短い章立てで、そこに必ずと言っていいほど「何?」というような転換があって読書スピードを加速させる。
映画や連続ドラマを見ているような感じであれよあれよという間にラストですよ。
それなのにこれでもかってくらい、女性農場主との出会いから現金輸送車襲撃、かつての仲間との一戦、裏切りなのか作戦なのか、と盛りだくさん。
考える間もないっていうのかな。だから私でも早く読めたのかも(笑)。
たまにはこういう勢い読書も必要だな。
農場に仕事を探しに来たはずの青年が簡単に悪事に加担していくのが理解し難かったけれど、ラストで頷けた。
スピード感で読まされていた気がしたけれど、ちゃんとそれらしき導きはされていたのでした。

犬の点は期待はずれかな。
最初見捨てなかったことで過剰に期待しすぎたのかも。
テキサスで犬ときたので、ランズデールを連想してしまったからか。
ランズデールの描く犬と人の関わりには愛を感じるから(笑)。
KIZU―傷― (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 31-1)
ギリアン・フリン
早川書房
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ミズーリ州のウィンド・ギャップで歯を抜かれた少女の遺体が発見された。シカゴの新聞記者カミルはウィンド・ギャップ出身であることを記事に生かすよう上司にすすめられて帰郷。取材を続け事件の真相を探る中、カミルも自身の傷と向き合うこととなる。

読むのが辛い本だった。
奇を衒った派手さや陰惨さを取り上げているのではなく、社会に内包された問題を扱っているからこその辛さだと思う。
歪んだ心の犠牲になった三姉妹、それがさらに犠牲者を生んでしまった悪の連鎖とでもいうのだろうか。
事件としては解決した後でもカミルを悩ませる、自分にも素質があるのでは…という想いが痛々しい。
カミルの上司夫妻の、血の通った心がその心配を払拭してくれると感じられるラストは救い。
事件の捜査部分は解決できない警察がどうかしていると思える。
それほどに自傷行為に至るカミルの独白が事件を物語っていたといえるのかもしれない。
ひょっとしたら彼女は事件の真相を心の奥底では見抜いていたのではないだろうか。
セラピーで克服したはずの自傷の欲求に悩まされたのはそのせいかもしれないと深読みさせられる。

殺しの儀式 (集英社文庫)
ヴァル マクダーミド
集英社
売り上げランキング: 134310

イギリスのブラッドフィールドで、被害者が男性ばかりの連続殺人事件が起きる。被害者みなには惨たらしい拷問の跡があった。市警副本部長ブランドンは内務省の心理分析官トニーを捜査チームに向かえ、女性警部補キャロルを彼との連絡係に任命し、連続殺人の犯人像を掴もうと捜査が始まる。

ミステリチャンネルでの放送とタイミングが合わず未見だけどとても興味のあるドラマ「WIRE IN THE BLODD」の元。
読んでみて益々ドラマが見たい!
新シーズン開始にあわせて最初から再放送すると期待してるけれど、それがいつなのかさえ予想つかないが。
これは1995年に書かれたもので、プロファイリングが世の中に知れ渡る前夜のようだ。
心理分析官トニーもプロファイリングの必要性を説く立場にあり、それに反発する警察関係者も登場する。
冷静なプロファイリングで犯人像をかためていくのと、ものすごく私的な問題で悩むという、両極のトニーが魅力的。
それが深く犯人にも関わっており、静かなようでいての盛り上がりにため息だ。
犯人の異常な行動には代わりないが、ただ「異常者でした」ではなくそこに至った背景まで読ませてくれるところが重要なのかもしれない。
トニーとキャロラインのシリーズとしていくつかあるようなので、いつドラマ再放送が始まってもいいように少しずつでも読んでおかないと(笑)。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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