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本の感想
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おたふくかぜの高熱が原因で片方の耳が聞こえなくなったハリーだったが、ある日テレビを見ながら耳を触っていたら大量の膿が出て何故か聴力回復。しかし回復がもたらしたのは喜びだけではなかった。音をきっかけにそれに関する陰惨な事件が見えるようになってしまった。大学生になり、その感覚を鈍らせるため酒に溺れるようになったハリーは同じように酒で荒れた生活をしている武術家タッドと出会う。シンパシーを感じた二人は協力し合って酒を断とうと決心する。そこにハリーの初恋の人ケイラが現れ、彼女の父親の死の真相探りに協力することになる。

海外ドラマファンには意味深に感じるタイトル。「ロスト」で「エコー」ですよ。ちなみに無関係(笑)。
ランズデールの本は久しぶり。これまではハードカバーで出版されてから文庫化だったのに、これはいきなりの文庫。大人の事情というものでしょうか。
ランズデールで好きなのは、主人公が間違いながら成長していくところ。
間違ってくれるから真実味があるしこちらも肩入れしたくなる。
この本でもハリーはいくつか失敗している。小細工というよりも実際にしてしまいそうな些細なこと。
それが転がって大きなことになったり、道をそれていって関係なくなったり、読んでるこっちはこれはどうなるのか想像が掻き立てられる。
裏表紙のあらすじを読んで不思議な力が出てくるのは賛成できないなあ、と思ったが、その力を得てしまった故のハリーの苦悩、苦しんでいるのをわかっていながらもその力に頼りたいケイラ、そういった広がりがあるので読んでいて気にならなかったなあ。
何らかの影響で脳が変性をきたした結果、音を映像として解釈する能力が開発された例もある、と医学書に書いてあるよ、と触れられてるし。
ラストは都合よすぎる感じがしないでもないが、まだまだハリーは特殊能力に恐怖を抱いているし、最近不幸のどん底ドラマを見ているせいで無条件にハッピーを受け入れてもいい気がする(笑)。


もう一つ、ランズデールといえば犬の描き方が大好き。
犬の見た目のかわいさではなくて、一緒に生活しているからこそわかるような表現なのですよ。
「ダークライン」に出てくる「ナブ狩り」なんて未だに思い出しては口元が緩む。
今回は犬がいないのかなあ…と寂しく思っていたら途中から出てきましたよ。ケイラのお隣のウィンストン。
一見何も関係ないような犬ならではのおバカさんなこだわりが後に重大なポイントになるなんて!
ダークライン (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
Joe R. Lansdale(原著)匝瑳 玲子(翻訳)
発売日:2006-07
おすすめ度:4.0

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