忍者ブログ
本の感想
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

幽霊の2/3 (創元推理文庫)
「幽霊の2/3 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:ヘレン・マクロイ
 出版:東京創元社
 発売日:2009-08-30
 価格:¥ 903
 by ええもん屋.com

出版社社長宅のパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、ゲーム「幽霊の2/3」の最中に飲み物に毒を盛られて殺される。招待客の一人であったベイジル・ウィリング博士が、関係者から事情を聴くと意外なことが浮かび上がってくる。

中盤で明かされる「エイモス・コットルと名乗っていた男は誰なのか?」という最大の謎が最後まで引っ張ってくれます。
動機はともかく、正直、殺害トリックは魅力的とは思えないし、無理もあるかもしれない。
しかし、エイモスが本当は誰であったのかをたどることが主軸。
これにも二通りの意味があるので、倍ミステリアス。
この通りではないだろうな…というエイモスを取り巻く面々の思惑が、タイトルに意味をもたせているのもまた好きなところ。
虫垂炎の手術とか、ランゲルハンス島とか、「そ、そんな…」と思うようなこともあるが、書かれた時代を考えればそれも楽しみの一つ。

先日読んだ「殺す者と殺される者」もそうだったように、著者は人間の精神の不思議をミステリに絡めた魁の人だったのでしょうか。
この二冊しか読んでないが、私にはかなり好みの作風でありました。
PR
殺す者と殺される者 (創元推理文庫)
「殺す者と殺される者 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:ヘレン・マクロイ
 出版:東京創元社
 発売日:2009-12-20
 価格:¥ 903
 by ええもん屋.com

おじの遺産を相続し、転倒事故から回復したのをきっかけに仕事を辞め、幼い頃の思い出の母親の故郷で人生の再スタートを決心したハリー・ディーン。 生活の支度が整った頃、差出人不明のメモが見つかったり、運転免許証がなくなったと思えば突然戻ってみたり、見に覚えのない小切手の換金があったりと、不思議なことが頻発する。ハリーの遺産を妬む者の仕業なのか?とおびえる中、かつて恋した女性シーリアが町をうろつく徘徊者と勘違いして夫を撃ち殺してしまうという事件が起きる。これもハリーの身に起きている不思議なことのひとつなのだろうか?

そうそうぼんやり読んでいたつもりはないが、ヘンリーが登場するまで仕掛けに気付きませんでしたよ。
ということは、やっぱりぼんやりしていたのかな?(笑)
今では、内なる自分をテーマにして書かれた本は珍しいことではないが、この本が出版された1957年当時ではかなり異質だったのではないでしょうか。
しかも、最後ではなくまだ続きがだいぶあるうちに仕掛けが明らかになり、後は文字通りの心理戦を味わうこととなりました。
不自然だと感じたことが、ことごとく伏線だったとわかった時の得した感じ、わかっていただけるでしょうか、負け惜しみじゃないですよ(笑)。
でもハリーはちょっとぼんやりさんでしょ、一応専門の学者なんだから(笑)。
テーマとしては決して刺激的とはいえないけれど、仕掛けそのものが話の終着点ではなく、そこからも見せ場があるところが慣れてしまった今には新鮮かも。
会員制殺人サイト 上 (ランダムハウス講談社文庫 シ 4-3)
「会員制殺人サイト 上 (ランダムハウス講談社文庫 シ 4-3)」
 [文庫]
 著者:ピーター ジェイムズ
 出版:ランダムハウス講談社
 発売日:2008-12-10
 価格:¥ 924
 by ええもん屋.com
会員制殺人サイト 下 (ランダムハウス講談社文庫 シ 4-4)
「会員制殺人サイト 下 (ランダムハウス講談社文庫 シ 4-4)」
 [文庫]
 著者:ピーター ジェイムズ
 出版:ランダムハウス講談社
 発売日:2008-12-10
 価格:¥ 893

同じ著者の「1/2の埋葬」が気になっていたのですが、どういうわけかこちらを読んでしまいました。
しかも、警視グレイスシリーズとしても2作目。
順番にうるさい私がどうしたことでしょう。
そんなことが頭にあるせいか、事件の解決が見えないところは全く見えず、とっかかりが見えたらあっという間、というのが気になった。
糸口が見つかればあとは~というものなのかもしれないけれど。
グレイスの失踪した妻の物語が今後展開を見せるのかもしれないと思うと、やっぱりその点は楽しみだったりする。
クレオとの関係にもどう影響するのか気になるし。
タイトル見れば、陰惨な内容が待っていることくらい想像つくのに、読んでしまってやっぱりなあ…となるのは明らかに私が間違っている。
なのに何故読んじゃうかなあ、私。
そういうところが見たいとか思い浮かべたいわけではない。
精神的にも肉体的にも残酷なことを書くケッチャムやマキューアンが、本当はいい人だと想像させるだけの読後感を抱かせてくれるので(笑)、他でも希望を持ちたいと思ってでもいるのだろうか。
これは、本当にそういうサイトを運営しているやつらが、最終的には警察に踏み込まれてある意味事故で跡形もなく消え(生き残りはいるけれども、多分)それで終了。
余韻も理由も感じられず、ただ極悪人消滅というか…解決とはそういうものなのだろうか。
読みたいわりには、受け入れ態勢が麻痺しているともいえるかもしれない。
やっぱり興味をもった前作から読めばよかったと少し後悔の残る読書でありました。
裏切り (小学館文庫)
「裏切り (小学館文庫)」
 [文庫]
 著者:K・アルヴテーゲン
 出版:小学館
 発売日:2006-08-04
 価格:¥ 730
 by ええもん屋.com

夫ヘンリックの心が離れてしまったエーヴァ、昏睡状態の恋人アンナに常軌を逸した看護を続けるヨーナス、別々に進む物語が接点を持ったが故に恐ろしい破局へと向かう…というような紹介に心惹かれて読んでみた。
始まりの、決定的なすれ違いの描写を、最初はエーヴァ、その後にヘンリック、それぞれの視点から書かれていること、ヨーナスとエーヴァの出会いもそれぞれの視点から、というのが非常に興味深かった。
個々が何をどう見て感じているのか、その違いが人そのものという感じで好きなところ。
しかし、いかんせん鈍感すぎないか?エーヴァの仕掛けに気付かないヘンリックといい、それをしたことでどうなるかを想像しないエーヴァといい。
理解できない極めつけは、仕掛けたことの最悪の結末にふらふらと家を出たエーヴァがヨーナスの家について行くことだ。ついて行くのはまだいい。しかし何故風呂に入る?これはまったくわからん。だからこその結末なのかもしれないけれど。
エーヴァに自分以外の男の影を感じた途端に、エーヴァへの愛を思うヘンリックも私には薄っぺらいだけだったなあ。
私向きではなかった、ということなのだな。
「罰とか報いというものはない あるのは結果だけなのだ」という冒頭の言葉が全てなのかもしれない。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
「グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)」
 [文庫]
 著者:トム・ロブ スミス
 出版:新潮社
 発売日:2009-08-28
 価格:¥ 700
 by ええもん屋.com
グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
「グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)」
 [文庫]
 著者:トム・ロブ スミス
 出版:新潮社
 発売日:2009-08-28
 価格:¥ 700

レオの制止も聞かずに部下が殺してしまった男の娘二人を、引き取ることにした前作
レオにも、少女たちにも家族は必要なので、と単純に同意するものだったが、読み出してびっくり。
自分はレオ並にあさはかだった。
実際に手を下したかそうでないかは関係ない、少女にとっては同じ制服を着た男、両親を殺した男なのですよね、レオは。
自分の意に反したことだったとわかってもらうための勇気を評価したいけど。
レオはいつもそう。
自分がどの組織に属していようと、信念はわかってもらえるはず、と敵にも味方にも真っ正直。
人として正しいかもしれないけど、鬱陶しくもある。
三部作らしいので、次でレオ・デミドフという人ができあがるのだろうな、と期待値はあがる。
それに比べて、フラエラの存在感ときたら。
体制に踊らされてしまったという点では同じなのだろうが、この変わりよう。
変化しすぎという気がしないでもないが、レオの向こう側にいる人としては実に魅力的(行動を指示しているという意味ではない)。
居場所を見つけたと思ってフラエラに同行したゾーヤの件が、先日見たコールドケースのネオナチの話に通じるものがあり、心に痛かったなあ。

前作後半の、アクション映画のようなスピード感が、今作ではもっと早い段階から登場するのであっという間。
派手さの中にも、体制の変化という時代で居場所を見つけようと必死にもがく様子が印象的。
前のページ HOME 次のページ
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析