「グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)」
[文庫]
著者:トム・ロブ スミス
出版:新潮社
発売日:2009-08-28
価格:¥ 700
[文庫]
著者:トム・ロブ スミス
出版:新潮社
発売日:2009-08-28
価格:¥ 700
レオの制止も聞かずに部下が殺してしまった男の娘二人を、引き取ることにした前作。
レオにも、少女たちにも家族は必要なので、と単純に同意するものだったが、読み出してびっくり。
自分はレオ並にあさはかだった。
実際に手を下したかそうでないかは関係ない、少女にとっては同じ制服を着た男、両親を殺した男なのですよね、レオは。
自分の意に反したことだったとわかってもらうための勇気を評価したいけど。
レオはいつもそう。
自分がどの組織に属していようと、信念はわかってもらえるはず、と敵にも味方にも真っ正直。
人として正しいかもしれないけど、鬱陶しくもある。
三部作らしいので、次でレオ・デミドフという人ができあがるのだろうな、と期待値はあがる。
それに比べて、フラエラの存在感ときたら。
体制に踊らされてしまったという点では同じなのだろうが、この変わりよう。
変化しすぎという気がしないでもないが、レオの向こう側にいる人としては実に魅力的(行動を指示しているという意味ではない)。
居場所を見つけたと思ってフラエラに同行したゾーヤの件が、先日見たコールドケースのネオナチの話に通じるものがあり、心に痛かったなあ。
前作後半の、アクション映画のようなスピード感が、今作ではもっと早い段階から登場するのであっという間。
派手さの中にも、体制の変化という時代で居場所を見つけようと必死にもがく様子が印象的。
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