出版社社長宅のパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、ゲーム「幽霊の2/3」の最中に飲み物に毒を盛られて殺される。招待客の一人であったベイジル・ウィリング博士が、関係者から事情を聴くと意外なことが浮かび上がってくる。
中盤で明かされる「エイモス・コットルと名乗っていた男は誰なのか?」という最大の謎が最後まで引っ張ってくれます。
動機はともかく、正直、殺害トリックは魅力的とは思えないし、無理もあるかもしれない。
しかし、エイモスが本当は誰であったのかをたどることが主軸。
これにも二通りの意味があるので、倍ミステリアス。
この通りではないだろうな…というエイモスを取り巻く面々の思惑が、タイトルに意味をもたせているのもまた好きなところ。
虫垂炎の手術とか、ランゲルハンス島とか、「そ、そんな…」と思うようなこともあるが、書かれた時代を考えればそれも楽しみの一つ。
先日読んだ「殺す者と殺される者」もそうだったように、著者は人間の精神の不思議をミステリに絡めた魁の人だったのでしょうか。
この二冊しか読んでないが、私にはかなり好みの作風でありました。
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