福家警部補の挨拶 (創元クライム・クラブ)
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大倉 崇裕
東京創元社
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まず犯人が犯行を犯すところから始まる。
犯人が誰なのかも知らされる。
そして捜査にあたる福家警部補が犯人を追い詰める。
そう、これはコロンボ風の短編集です。
著者の大倉さんはコロンボ大好きだそうで。
私も持っている「刑事コロンボ完全事件ファイル」にも執筆されていました。
作品よりもこちらでの出会いの方が早かったことに驚いてます。
福家警部補は刑事には見えない風貌からなかなか現場に通してもらえず、いつも証拠の警察バッジを探してる。
でもその推理力、観察力はあなどれない。
張られた伏線をわくわくしながら追っているうちにあっという間にお話が終わってしまうのは短編ならでは。
きっと映像で見たらここであそこを見てるんだろうな、ここがグッとアップだろうな、と想像させながら読ませてくれます。
シリーズ化されないかな?
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「丑三つ時から夜明けまで」が面白かった大倉崇裕さん。
落語季刊誌の編集部員・緑(総勢2名)が主人公のシリーズものの3作目。
前2作は未読だけれど、短編集なので細かいことは気にせずに。
落語会を舞台にして起こる様々な事件を
編集長の洞察力と緑の行動力(?)で解決していく。
寄席の様子から始まるので落語のさわりに触れられる。
でその落語の題目が微妙に事件に絡んでいくという展開。
酷い殺人もでてこないし、解決して暗くなるような話もないので安心して楽しめる。
短編一つ一つが落語の人情話のような感じ。
このシリーズの前作も読んでみようかな、という気になった。
警視庁の特別研究チームが発見しちゃったのですよ、幽霊の存在を。
死亡直後の人間から、電気エネルギーが分離して浮遊していく。
これが「幽霊」に近い存在らしい。
電気エネルギーの追跡調査の結果、このエネルギー体には精神があり、その人の生前の人格に近いという。
肉体は死んでも精神は生き続ける、それが結論。
しかし寿命(?)はわりと短く1年。
死後の霊力が強いと他者に影響を及ぼすが、弱いとただ浮遊するだけ。
もともとの才能プラス死の衝撃でその力は強くなったりするらしい。
例えば不慮の事故とか殺されたとか。
他者への影響、わかりやすくいうと復讐かな。
幽霊の復讐だから現実的な捜査では解決へ至らない。
実際(?)未解決事件の7割は幽霊の仕業。
そこで警察は幽霊取締りの専門部隊を組織する。
霊能力に長けている人を集め、静岡県警に捜査第5課をおく。
そういった設定のお話です。この設定だけでOKです。
捜査5課は単独での捜査が許されていないので、事件に当たる他の捜査課と合同になるのだが、これがまたお互い仲が悪く、意地を張り合って捜査に悪影響を及ぼす。
静岡県警でテスト運用し、その結果で全国展開を考えるという、企業の新商品開発と同じ手順。
そういうところが本当にありそうかも。