「退出ゲーム」の続編集。
青春ミステリとしかいいようのない設定なのに、出てくる事件が深く切ないのは相変わらず。
今回も、盗撮、過った道からの更生、不登校、左翼運動(おそらく)、と高校生だけで手に負えるものではない話ばかり。
チカをはじめ、仲間たちの人を大切に想う心が本当の辛さ、切なさを覆ってくれているのだと思う。
だから、高校生とは思えない知識や行動力も嫌味には感じられないのだろうな。
私はこのシリーズ好きなので、普門館まで見届けさせて欲しい。
どこまでパーティーは増えるのか、草壁先生の過去、チカとハルタの恋の協定は守られるのか、まだまだたくさん知りたいじゃないですか。
そして彼らが出会うさまざまな心の傷を受け止めて、知らないうちに大人になっていく姿も見たいじゃないですか。
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お国柄を知る上で、お弁当というのは想像よりも重要な見方かもしれない。
例えば、日本をはじめアジアではお弁当は当たり前のものだが、家から昼のためにごはんを持って出かけるという習慣がないという国もある。
それは昼休みをたっぷりとるからであったり、あたたかいものを食べるからであったり、と食文化のなかでもお弁当を切り取ってみてみるのは面白いことかも。
副題にあるようなレシピ本としては物足りないが、お弁当のおかず=ポピュラーな家庭料理と見ると、ふむふむ、お~という感じ。
食べるものだけでなく、外側のお弁当箱や水筒を紹介しているのも楽しい。
ドカ弁やら重箱系やら、きれいな細工を施したカゴものまで。
最も不思議で興味をもったのが、辛いもの好き国として有名なブータンの籠状のお弁当箱。
入れ物と蓋、二つの籠を重ね合わせているだけなのに、汁物を入れてもこぼれないのだとか。
竹を二重に編んでいるらしいがその密閉力、恐るべし。
インドのお弁当配達人(ダバワラ)の話は知っていたが、ある配達人に密着して手順を見せてもらえたのはうれしい。
でもねえ…回収までするの?食べた人が持って帰ればいいような気もするけど(笑)。
表紙だけを見るとレシピ本と思ってしまうが、中味はお弁当に関する読み物。
後半には、いろんな国の方々のお弁当に関する思い出が集められていて、こっちの方が読みどころだと思う。
美人でノンキャリアなのに30歳前にして警部補になった姫川玲子シリーズの一作目。
こういう事件あるだろうなと思うものの、どこか現実味が薄く、私は玲子のように犯人に対して泣いてあげることはできない。
犯行に至るポリシーの違いによる分裂でも、人を殺したことには代わりないものなあ。
玲子以上の凄惨な過去を持ち、人を殺すことは自分と同じ血を確認して自分が人間であると感じたいというエフは、自傷行為が枝分かれしたかのような、精神の治療を要するものだと思うが。
もっとわからないのは上しか知らないお坊ちゃまの殺人遊戯。
自分は生きててよかった、次回はわからないけれど、というのがストロベリーナイトのしくみ。
このお坊ちゃまだけかと思いきや、そのしくみに魅せられたものが大勢いるというのが…ね。
事件にはさっぱり現実味を感じられなかったけれど(嫌なものは見たくないからか?)、玲子やとりまくキャラクターには体温があったかな。
でも玲子の過去とそこから立ち上がった経緯にはやっぱりな、という気が。
立ち直ることへの応援なのかもしれないが、設定が安易のような…。
今後の玲子を成長させる出発点なのだと考えれば必要なことなのかも。
玲子班の面々と共に、シリーズとはそういうものなのかもしれない。
そういう意味では機会があれが続きも読んでみたい、かな?
お初の初野さん、って(笑)。
チカが高校一年生の時の思い出を語るというふうに進む連作短編集。
吹奏楽部のチカは顧問の草壁先生(男性)に恋してる。
そしてライバルは幼なじみにして高校で再会した、ハルタ(男の子)。
微妙なライバル心と協定関係が、強い友情のうえに成り立っているのがお見事。
という具合に青春ミステリとしかいいようがない設定。
しかし、一話めの「結晶泥棒」くらいでしょうか、内容的にも青春ミステリと言えるのは。
他は殺人こそ起きないけれど、謎の本質は深くて辛くて切なくて…と。
一番好きな、本のタイトルにもなっている「退出ゲーム」にしても、演劇部VS吹奏楽部がみんなの笑いを取りながら進むけれど、そこに本当にあったのは個人のアイデンティティや他国の政策に基づいたものだもの。
ハルタの情報網が想像できないというのもある。
最後の「エレファント・ブレス」にしてもそう。
これはハルタどころか、マレン、萩本兄弟もでしょ?
今時の高校生は、ちゃらちゃらしているようでいて世界的にも歴史的にもアンテナ張り巡らされているということでしょうか。
そういう面も含めて、1話ずつ増えていく神秘的なパーティーの面々が楽しみだったりする。
これまでは毎年末に刊行される「社会派くんがゆく!」で一年のおさらいをしたものですが、最近あちらの内容はストレートすぎて少々心にキツイ(笑)。
かつては、かなり同調できる意見もあり、不謹慎と思われる言葉も今の日本で起きていることを正直に、「あえて」そういう言葉を選んでいるのだと読んでいた。
しかしここ数年は購入していない。
現代社会は弱った心にはこたえるということなのかも。
それでも「この年、この月に何があったのか」をおさらいしたいと手に取ったのがこの本。
一年で一冊ではなく、2006年3月~2009年9月までのことが爆笑問題の漫才形式で書かれている。
その形式上、深くつっこんだものではないが特定のことに対しての毒はしつこい(笑)。
毒入り漫才形式である「日本原論」の方が「社会派くん~」よりも心には優しい(漫才だものね)。
それほど生活していく現実は厳しいのかもと改めて考えさせられる。