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本の感想
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のはなしに
「のはなしに」
 [単行本]
 著者:伊集院 光
 出版:宝島社
 発売日:2009-10-01
 価格:¥ 1,260
 by ええもん屋.com

前作「のはなし」から2年。
伊集院さんファンならこの間に出版社から怒られたとか、マネージャーが泣いていたとか、そういう想いの上にようやく出来上がった本だということで感慨深いはず。
聞いた事のある話も多いけれど、活字で読むとまた違った面白さが伝わってくるので楽しい。
中でも、子ども時代の話が好き。
今思うと、本当に厄介な子なんだけれど、そういう厄介な心が今の伊集院さんの源だとしみじみ感じられるから。
でもそうともばかり言っていられないことが…。
私は常々、「伊集院さんの厄介なところが好き」と言っていたのだが、ある日姉が「そうだよね、あんたと似ているものね」と返してきた。
…似てたのか?厄介加減が?
喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、今たいへんに複雑です(笑)。

希望としては、
「のはなし」の時にも書いたけれど、原文を書いた年月日の記述が欲しい。
かなり手を加えているとのことなので、意味がないのかもしれませんが、それを思いついたのがいつ頃だったのかがわかるとまた楽しいと思うのだけどなあ。
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ハラショーな日々 のんきなロシア人の夫・ワーニャとの暮らし
「ハラショーな日々 のんきなロシア人の夫・ワーニャとの暮らし」
 [単行本]
 著者:イワノワ ケイコ
 出版:ソフトバンククリエイティブ
 発売日:2008-11-27
 価格:¥ 1,260
 by ええもん屋.com

ブログの書籍化なのですね。加筆もあるとのことですが。
私もロシア(というかソビエト)の印象には、お互いがお互いを監視しているというものがあって(「チャイルド44」の影響受けすぎ?「グラーグ57」も読み始めちゃったし・笑)、おおらかな、のんびりとしたイメージはなかった。特にソビエト時代。
ワーニャはお国の体制がガラッと変わるのを体験しているようなので、当時みんなが何にとまどっていたのかをもっと読みたいなあ、と。
外国の日常生活モノを読むのは好きなので楽しめましたよ。
今、ロシアでマンション購入の際、一人暮らしの老人との同居を承諾すれば安い(1200万くらいするのが300万くらいだとか)というのをテレビで見たことがあるが、これはソビエト時代の平等な割り当て住居制が根底にあるのだな、とか頷けるところも見つかったし。
でも、半分アメリカ製で半分がソビエト製のジーンズというのは…その労力のかけ方がわからんです(笑)。
ゲイ・マネーが英国経済を支える!? (新書y)
「ゲイ・マネーが英国経済を支える!? (新書y)」
 [新書]
 著者:入江 敦彦
 出版:洋泉社
 発売日:2008-03
 価格:¥ 819
 by ええもん屋.com

入江さんの書かれている京都モノは敷居が高すぎていまひとつなのですが、英国モノは映画やドラマで生じた憧れもあり、たいへんに興味深い。
なので手に取ったこの本。
内容はタイトルどおり、高収入で、形に残らない楽しみ(趣味や旅行とか)にためらわずにお金を使う同性愛者に支えられ、18兆円を越す巨大マーケットとなった英国のピンクポンドのお話。
簡単に言ってしまうと、企業が率先して同性愛者を支援し、結果顧客としてつかみ、みんなが潤った、ということ。銀行の貸付も楽になって家を手に入れやすくなった等、使う規模もかなりのもの。
高収入でお金を使うことに眼をつけた企業の目的は金を使わせることだろうが、それだけでは安心した消費にはつながらなかっただろう。
バラマキ作戦等、うわべだけの受け皿の空しさをどこかの国の政治家は早く気付くべきだと思う。
最近、自分は人種や性に対して偏見がないのか無関心なのか、その違いを考えることがある。
この本でもそれを感じざるをえない話題とぶつかった。
世界保健機関が公式文書から病名として「同性愛」を削除したのが1993年のことだとか。
そんなに最近まで病気とされていたとは全く知らなかった。
今ではホモフォビアのほうが精神疾患としてみられているということも。
そして憧れの国だから、ということで英国のゲイ事情の本を読んでいるけれど、日本の現状は全く知らないんだよね…。

この本の発行は2008年3月と、一年半も前。
当然参考にされた資料はその当時のもの(1ポンド250円だって!)なので、1ポンドが150円台に落ち着いた今、ピンクポンドパワーはどうなっているのかな?
入江さんにこの後のリポートもお願いしたいですわ。
絶望ノート
「絶望ノート」
 [単行本]
 著者:歌野 晶午
 出版:幻冬舎
 発売日:2009-05
 価格:¥ 1,680
 by ええもん屋.com

「絶望ノート」に自分の受けているイジメを記し、神と奉る石に報復をお願いする少年照音。それを盗み見た母親は、父親は…という本。

照音が「国語だけは得意」というところがポイントになっているのだろうけれど、盗み見たのが親だったから、罪悪感で動いてしまったのだろうけれど…そういうものかな。
働かない(働けない)ことよりも先にそっちに行動起こすというのは「最低トヨヒコ」という照音の印象と相違ないな、と頷けるけど。
ここまで大人を操作したのに、本当のイジメに対して選んだのが最終行だとするとちぐはぐな感じ。
神なんて信じていない、盗み読ませて行動を起こさせるのが目的と最終的に言ってはいるものの、ノートに記述がないことに向かう術にどうすべきかわからないほどに病んでいるとでもいうのだろうか。

余談。
照音が感じているトヨヒコと瑤子への中学生ならではの不満に少し同情。
親の希望で剣道部に入れられたけど、胴着の購入を拒否され試合に出れず、部活に居辛くなった中学生時代を思い出してしまった(笑)。
トヨヒコが無職で家計の苦しかった大刀川家とは違ってただ買ってもらえなかったんだよ、「試合に出るための剣道ではない」って。親、剣道なんてやったことないくせに(怒)。
中学生にはキツイよねえ。それとも誰かさんみたいに、「自称二段」にでもなれってことだったのか?(笑)。
平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
「平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)」
 [単行本]
 著者:大崎 梢
 出版:東京創元社
 発売日:2008-06
 価格:¥ 1,575
 by ええもん屋.com

本が大好きな出版社の新人営業井辻くんが出会う、本と本屋さんにまつわる事件簿。
「配達あかずきん」に始まる成風堂書店シリーズとは違い、出版社の営業部員が主人公で(これもシリーズ化されるのかな?)5編とその合間に井辻くんの業務日誌が挟まれるかたちの連作短編集。
お話は成風堂シリーズに通ずるテイスト。
心の行き違いあり、微妙な悪意あり、ですが最後はどれも優しい気持ちになれるもの。
毒好きには物足りない気もするけれど、たまにはこういう人の優しさを押し出したものも読んでおかないとね。逆のガス抜きか?(笑)

最後の章の各営業さんが他社の本を推薦してポップを作るというポップコンテスト。
ここで出てくる本がどれも実在するもので、きっと著者も魅力を感じているものなのだろうなあ。
内緒ですが私は一冊も読んでいない。読んだ方がいいでしょうか?

残念だったことは、表紙見返しに書かれている井辻くんの秘密のこと。
本が好き。でも、とある事情で編集部にはいきたくなかった井辻くんのハートフル・ミステリ。

とあればどんな理由かと気になるじゃないですか。
明かされた後、特にエピソードの進行に関係ないのですよね、他社営業さんに少しからかわれる程度で。
まあ、それをエピソードに盛り込んだら話が進まなくなっちゃいますけどね(笑)。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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