死者の部屋 (新潮文庫 テ 22-1)
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フランク・ティリエ
新潮社
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失業して自棄になった男二人が車で撥ねてしまった男性は200万ユーロも持っていた。失業中の男二人は死んだ男を隠し、金を山分けすることにした。しかし撥ねられた男性は誘拐された少女の父親で身代金を届ける途中だった。少女は死体で発見されることとなる。クリスマス休暇で人手の足りない警察は産休明けでプロファイリングが趣味という双子の母親リューシー巡査長を加えて捜査を進める。
プロファイリングが趣味って(笑)ということで読んでみた。
最初は鼻で笑われながらも、上司たちがそれまでとは違った着眼点に耳を傾けるようになっていく、上司とルーシーの成長話にもなっているのかな?
犯人の異常性が、もうただただ異常で、それだからこそ現実社会にも容易に想像できるのが恐ろしい。
事件の解決よりもそこに至るまでのほうが読み応えを感じる。
映画にもなってリューシーの活躍する続編もあるらしいので読んでみたいかな?
個人的に気になったのは誘拐された糖尿病の少女の描写。
長時間眠らされ目覚めた時に低血糖の症状が現れているのにインシュリンを注射してるのに驚いた。
確かにブドウ糖を口にしはしたがそれは注射の効果が現れて顔に赤みがさしてから、と書かれている。
身内にも糖尿病患者がいるが低血糖時にさらにインシュリンを注射するのは信じられない。
身内はⅡ型、少女はⅠ型、と種類が違うからだろうか。
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人の本棚にとても関心があるうえに、先日読んだ「文学賞メッタ斬り!」にあった石田衣良さんの帽子のある本棚を是非見たいと思い手に取りました。
帽子の本棚は一つアクセントに置いてあるイメージだったが、帽子のスペースがある本棚が正解でした。
ご本人が「取材をたくさん受けるのでスタジオも兼ねている」とおっしゃるそのままの本棚というか仕事部屋というかスタジオでしたっ!(笑)
15人の方の本棚が登場します。
一時、エッセイに夢中になった穂村弘さんやマンガは少ししか読んでないけれど本や本棚に対する愛情が大好きな喜国雅彦さんが登場するので満足。
あれだな、本棚探偵喜国さんのファンだから「ずっと本を持っていたいほうじゃない」とか「集めようという気もない」っていうのが合わないんだな。誰ってスタジオの人ですよ(笑)。
本棚写真だけでなく本に対する想いなども書かれているので楽しさ倍増。
山本幸久さんは不勉強で存じ上げなかったのですが「映画秘宝」は創刊からずっと買ってます、という言葉に同士の匂いを感じました。
ちなみに私は判型変わる前のが一冊足りない(笑)。
並んでいる本を見て、一番趣味が合いそうというか本がかぶってるのは桜庭一樹さん。
バリンジャー、ヒラリー・ウォー、パット・マガーとか。
「女には向かない職業」と「わらの女」が一緒のスペースにあるのを見てにんまり(笑)。理由はコチラ。
この取材の時期は芥川・直木賞前なのに、桜庭さんも川上未映子さんも登場しているという偶然にも注目。
小野寺裕太は壁が全て金属板の真四角な部屋で目覚めた。その一つの面には「Room No.3」と書かれている。デート帰りで送る途中だった川瀬由紀、浮浪者風の男、サラリーマンとその女性部下の5人で監禁されたようだ。出口はない。部屋の真ん中に置かれたPCに「ようこそ、ゲームルームへ」と題され「酸素は12時間分、制限時間内にクイズに答えろ」という監禁者からのメールが届いた。クイズに正解して脱出することはできるのか?
出版社/著者からの内容紹介に
「CUBE」×「SAW」の衝撃! 新感覚サスペンスホラー登場!とある。見知らぬ同士が同じ部屋に閉じ込められてるなんてまさに「CUBE」。「1」しか見てないけど。
裕太のいる部屋は№3だが部屋は全部で5つあり、各部屋はPCのチャットでつながりが持てる。
出されたクイズ「あなたは、な~に?」を解くための会話が疑心暗鬼な心をさらに高めていく。
一気読みできるスピード感は映画的なストーリーならでは。
でもこの手のものは映像で見たいな。
人の死が無機質に描かれているようで、先に読んだ「証人たち」とあまりにも対照的。
こんなゲームの中に放り込まれたら命の重みなんて言ってる場合じゃないってことか。
病気の妻を抱えたグザヴィエ・ローモンは妻殺しで罪を問われているランベールの事件を担当する裁判長。ランベールは無実を主張するが誰も言い分を正面から受け止めようとしない。しかしローモンはランベールが殺したとの確信が持てず、様々な可能性を探る。審理の結果は…?
これは裁判の行く末に固唾を呑むミステリではない。
ランベールと殺された妻の周辺を知れば知るほどに揺れ動くローモンの心理が見もの。
奔放なランベールの妻とある出来事がきっかけで心を壊してしまった自分の妻がシンクロしたかのような不思議な状態であったのかもしれない。
ローモンの妻が5年もの間伏せっている理由もランベールの話と平行するように語られることで心の揺れをリアルに感じる。
裁判は確かに終わりを迎えるが、それが真実なのかは判断できない。
先にも書いたがこれは裁判小説ではなくそれに関わる人の心理ドラマ。
裁判終了後におとずれた重大な変化をどう受け止め決心するかのローモンを見せるための法廷だったように思える。
この決心には一瞬驚かされるが彼の二重の解放感を素直に見られる自分がいる。
著者はメグレ警視シリーズで有名。
読んだことはなかったのだがこんな心理ドラマを書かれている方だったとは。
芥川賞・直木賞の予想解説や選考委員の発言を突っつくいつものやつ(笑)。
慣れてしまったせいなのか、いまや一番面白いのはトークショー部分だ。
長嶋有さんってブルボン小林さんだったのね。ブルボンさんでしか知らなかった私がどうかしているのか(笑)。
このブログのカテゴリーを見ていただければおわかりと思いますが、私の読書は浅くて偏っているので長嶋有さんも読んだことありません。
しかしこのトークショー部分で俄然興味が湧いてきました。
本人、自覚がなくて微妙に黒い(笑)。
大江健三郎さんに読んでもらいたい件は人としてかなり問題だ。
そしてトークショーのもう一人のゲストは同じく読んだことない石田衣良さん。
こちらはかなり偏見もってたのですが、そうでもないじゃん(笑)。でも読んでみたいとは…(苦笑)。
「サイゾー 7月号」でこの本のことを作家褒めが延々と続き保守化?と書かれていた。
事情に詳しくない私にはよくわかりませんが。