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本の感想
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凍える森 (集英社文庫)
「凍える森 (集英社文庫)」
 [文庫]
 著者:アンドレア・M. シェンケル
 出版:集英社
 発売日:2007-10
 価格:¥ 540
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ドイツで1922年に実際に起きた村はずれの農場一家六人(使用人一人含む)惨殺事件を下敷きに、1950年代に舞台を設定し著者なりに事件を推理したものとなっている、とか。
「はじめに」に書かれているが実際の事件は1955年まで捜査が続けられ、1986年に行われた事情聴取で未解決のまま事件終了とされたが、当時担当した警部は、自身の引退後も独自調査を続けたという。
犯行後、犯人が農場に留まった生活の痕跡があったり、家畜に餌を与えていたというのに惹かれて読んだのですが…。
一見、静かに暮らしているだけのような閉塞感、生きるために仕方のない選択とか、外からはうかがい知れない暗部が捲れていく感じもいいんですけど…。
何だろう?何も残らない感じがすごく強い。
殺された一家を知る人の証言で進むという構成も好きなんですよ。
好き故に「この町の誰かが」と比べてしまうのかな?(同じような理由で「Q&A」もいまひとつな印象だし)
私に信仰心がないというのも関係しているのかなあ。

この町の誰かが (創元推理文庫)
「この町の誰かが (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:ヒラリー ウォー
 出版:東京創元社
 発売日:1999-09
 価格:¥ 777
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新釈 走れメロス 他四篇
森見 登美彦
祥伝社
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「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」を現代京都の大学生の屁理屈な日々に置き換え、登美彦氏風の新解釈で書かれた小説集。
有名どころですが、私は後ろの二つは読んだことない。
元の文体によってあるものは力強く、あるものは静かに、とその表情も巧みに代わるが屁理屈大学生が変わらずに登場していることが素晴らしい。
最後の「百物語」で「森見君は~」と書き手が話しかけられているので本当は違うのだが、登場する大学生がどれも登美彦氏のようだ。
登場人物の集合体が登美彦氏なのかもしれない。
文字通りの疾走感と詭弁論部ならではの友情の形に「走れメロス」がお気に入りだが、そのまま「桜の森の満開の下」に入ると正反対の静けさの中に恐ろしさが際立ってくる。
「美女と竹林」はエッセイではなかった、あれも新釈エッセイなのだな、と新たな感想をもたせてくれたことも素晴らしい。

余談。
私は太宰治を読んで知った風に振舞うという、今考えると非常に小っ恥ずかしい高校生だった。
長期休みの読書感想文も指定もされていないのに太宰治(笑)。
タイムマシンがあったらあの時代に行って殴ってやりたい。
たいへん面白かった「福家警部補の挨拶」の中の一編「オッカムの剃刀」がNHKで放送されます→NHK海外ドラマスタッフ・ブログ
海外ドラマブログなのでコロンボとの共通点やオッカムの剃刀が話題に登場したドラマのことなどが書かれてます。
が、私はもう一つ特筆したい。
「福家警部補~」の著者、大倉さんがコロンボ好きだということを。
これも書かなきゃダメでしょう(笑)。
忍者のカウンターは(いつの間にか)キリ番の設定が出来るのです。
数字を設定しておくと、うっかり踏んでしまった方に、強制的に管理人へのメッセージ画面が出るという仕組みになってます。
先日、設定したぞろ目に遭遇してしまった方、メッセージありがとうございました!
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アンダーリポート
アンダーリポート
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佐藤 正午
集英社
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検察事務次官の古堀の元を15年前隣に住んでいた少女が訪ねてくる。大学生になった彼女、村里ちあきは自分の父親が殺された事件に関係するかも知れない記憶を母親に否定され、当時親しい関係にあり、事件の第一発見者でもあった古堀から記憶の間違いなどないと言ってもらいたいかのようだ。筆まめで日記を克明につけていた古堀は忘れられない記憶と日記から「何があったのか」ちあき以上にのめり込んでいく。

第一章では古堀が会いに行ったのは誰なのかは知らされない。
最終章は古堀が第一章の人物と今まさに会おうというところで終わる。
すると自然に最初のページに戻りもう一度第一章を読んでしまう。
ミステリではないので誰が犯人かとかトリックがどうだとかは関係ない。
そうしなければならないと信じてしまった人と人の結びつき、道を選んだことでのその後のつながり、そういったものが強く圧し掛かってくる。
もし戒める力がどこにも見つからなければ、いまあなたがやろうとしていることは、あやまちではない
正当化のために捏造したのか、本当に語って聞かされたことなのか、古堀同様とても興味を惹かれる言葉だ。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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