検察事務次官の古堀の元を15年前隣に住んでいた少女が訪ねてくる。大学生になった彼女、村里ちあきは自分の父親が殺された事件に関係するかも知れない記憶を母親に否定され、当時親しい関係にあり、事件の第一発見者でもあった古堀から記憶の間違いなどないと言ってもらいたいかのようだ。筆まめで日記を克明につけていた古堀は忘れられない記憶と日記から「何があったのか」ちあき以上にのめり込んでいく。
第一章では古堀が会いに行ったのは誰なのかは知らされない。
最終章は古堀が第一章の人物と今まさに会おうというところで終わる。
すると自然に最初のページに戻りもう一度第一章を読んでしまう。
ミステリではないので誰が犯人かとかトリックがどうだとかは関係ない。
そうしなければならないと信じてしまった人と人の結びつき、道を選んだことでのその後のつながり、そういったものが強く圧し掛かってくる。
もし戒める力がどこにも見つからなければ、いまあなたがやろうとしていることは、あやまちではない
正当化のために捏造したのか、本当に語って聞かされたことなのか、古堀同様とても興味を惹かれる言葉だ。
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