忍者ブログ
本の感想
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

オリンピックの身代金
「オリンピックの身代金」
 [単行本]
 著者:奥田 英朗
 出版:角川グループパブリッシング
 発売日:2008-11-28
 価格:¥ 1,890
 by ええもん屋.com
犯人、その友人、憧れる女性、警察、と視点や時間が行ったり来たりする好みの展開。
オリンピックを人質に身代金を要求されるという大事件なのに、オリンピックという一つの目標に向かった心を消沈させないために事件をひた隠す警察。
隠されて表沙汰にはならなかっただけで本当にあったのではないか、これはそのドキュメントなのではないか、と錯覚しそうになる。
犯人島崎は兄の死をきっかけにオリンピックで華やかな東京と、遺骨を持って帰った故郷の貧しさ、この差に疑問を感じてテロリストとなっていく。
しかしそこに滾るものが感じられない。
現実を見てしまった、知ってしまったから、とそんなふうで、そこまでする精神の高揚が感じられない。
むしろヒロポンで気持ちが高めらた結果のような気がしてくる。
だからこその犯人の恐ろしさなのかもしれない。
最後に島崎からの視点がないのもそれを裏づけしているように見えてしまう。
C調テレビ局社員須賀の、顔見知り程度だった犯人島崎を必死に気にかける様子の方に体温を感じたなあ。

奥田さんを好きになったのは「最悪」や「邪魔」。
伊良部シリーズ等は軽めで楽しく読めるもののどこか物足りなさを感じていたのでたいへん満足の一冊でありました。
PR
本の雑誌 309号
「本の雑誌 309号」
 [単行本(ソフトカバー)]
 出版:本の雑誌社
 発売日:2009-02-10
 価格:¥ 530
 by ええもん屋.com

前から発売日は「10日頃」で10日と決まっていたわけではない(たぶん。配送状況でも違うのかも)。
しかし存続の危機の報を聞いてからというもの、10日を過ぎても書店に来ないと心配でたまらない。今月号も昨日ですよ。
しばらくは大丈夫、とは聞いているんだけどもね。余計なお世話でごめんなさい。
そろそろ読者からの反応が誌面に載り始め、みなさん値上げも厭わない覚悟のようだ。
それほど手作り感のある、親しみやすい雑誌なのだな、と。
私も全部が全部というわけではないが他の書籍紹介雑誌よりも趣味が近いと感じるのでなくなられては困るなあ。
ところで、執筆陣の一人が「100万までならいつでも出せる」と力強い言葉を発したと聞き、本の雑誌から作家になられたあの方だったらいいな、と思っておりましたがどうやら違うお方のようでしたね。

次号は310号を記念して誌面がリニューアルされるらしい(定価も上がるらしい)が、今月号から新刊ガイドが最初に来て微妙にリニューアル開始している模様。
そして「判決の誤差」が読みたくなってまいりました。
判決の誤差
「判決の誤差」
 [単行本]
 著者:戸梶 圭太
 出版:双葉社
 発売日:2008-12
 価格:¥ 1,680
 by ええもん屋.com


メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)」
 [新書]
 著者:松永 和紀
 出版:光文社
 発売日:2007-04-17
 価格:¥ 777
 by ええもん屋.com

相変わらず、「○○が身体にいい!」と聞けば飛びついて品薄になるという現実に一石を投じる本。
私はそういう健康情報は「へぇ~」と思いつつも腰を上げにくいタイプなのでコッチ方面では踊らされてはいない!と自慢できるが(笑)、逆に「○○がよくない!」というのには過剰にへこむ。
いい例が昔売れに売れた「買ってはいけない」。この本を読んで本当に恐かった。だって日常的に使っているものが取り上げられているんですよ。
つまり私も十分踊らされているわけだ。
今回「メディア・バイアス」を読んで、あの時に煽られた恐怖心が実は証明するデータとしては首を傾げるものだったということがわかり今さらながら胸をなでおろしてみたり。
かといって安心という意味ではないのだろうが。
「買ってはいけない」に限らず、身体にいいモノ情報もデータの使い方一つで伝えたい側の思うような内容になるということを教わった。
身体にいいモノを本当に身体に影響が出る量を摂取し続けたら他の健康被害が心配になる、ということも伝えなくてはね。
警鐘ではなくブームとして伝えられるから踊ってしまうのだな。
この本を読んで心が軽くなったのは事実だが、やっぱりびくびくさんな私は「よくないモノ」報道にへこむんだろうな(笑)。

買ってはいけない (『週刊金曜日』ブックレット)
「買ってはいけない (『週刊金曜日』ブックレット)」
 [単行本]
 出版:金曜日
 発売日:2005-04
 価格:¥ 1,050
 by ええもん屋.com

書店はタイムマシーン―桜庭一樹読書日記
「書店はタイムマシーン―桜庭一樹読書日記」
 [単行本]
 著者:桜庭 一樹
 出版:東京創元社
 発売日:2008-10
 価格:¥ 1,575
 by ええもん屋.com

Webミステリーズ!で連載された桜庭さんの読書日記第二弾。
第一弾の「少年になり、本を買うのだ。」は図書館で見かけたと思ったらそのうちに「ありません」となってしまったので、うやむやのうちに見つけた第二弾を読むことに。
そうだ、第一弾が見つからないから雑誌「CREA 2008年9月号」の読書特集を買ったんだった(桜庭さんの選ぶ人生の100冊が紹介されてるのですよ)。
連載中に日本推理作家協会賞を受賞したり、直木賞に落選したり受賞したり、と大きな出来事に襲われている中「静かに本が読みたい…」という切実なお気持ちが伝わってきますね。
桜庭さんの読書が気になるのは「本棚」を見てから。
私の読みたい本が棚につまっているんですもの。
なので読書日記を読んで自分が全く知らない本でも読んでみたいなあ、という気になる。
作品よりも読書日記に強く惹かれて申し訳ないような気もする…(笑)。
巻末の座談会、F嬢の「本人が健全でないとあんな小説は書けない」というケッチャム論、賛同いたします(笑)。

桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。
「桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。」
 [単行本]
 著者:桜庭 一樹
 出版:東京創元社
 発売日:2007-08
 価格:¥ 1,680
 by ええもん屋.com
CREA (クレア) 2008年 09月号 [雑誌]
「CREA (クレア) 2008年 09月号 [雑誌]」
 [雑誌]
 出版:文藝春秋
 発売日:2008-08-07
 価格:¥ 680

死刑基準
「死刑基準」
 [単行本]
 著者:加茂 隆康
 出版:幻冬舎
 発売日:2008-11-26
 価格:¥ 1,680
 by ええもん屋.com

ある妊婦が強姦されたうえに殺される。夫である弁護士に恨みを持つものを念頭において捜査され、逮捕した犯人は強姦は認めたものの殺人は否定。死刑逃れの言い訳にしか思えなかったが真相は意外なことから紐解かれる。

何をしたら死刑で、何をしなかったら死刑ではないのか、そういう話だと思ったら違ったみたい。
死刑存続か廃止か、事件に関わる法曹関係者の気持ちの揺れを感じる話だった。
犯人が見つかるが全部は認めない→真犯人逮捕で見えた真相、となるのでミステリかな?とも思うけど。
真犯人を登場させることから著者は「冤罪かもしれないから死刑は廃止した方がよい」と伝えたいのかなと感じた。
冤罪で死刑(他の刑でも)などあってはならないが、代替案のないまま廃止を唱えるのは違うのでは?と考えるので。
なによりも違和感があったのは、法廷でそこまで正義を貫く人が何年にもわたって裏切り行為を続けていること。
そこには正直な人というよりも私憤がみえて仕方なかったな。
でもテーマは量刑なのだろうからこだわる私がいけないのかな。
前のページ 次のページ
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析