入江さんの書かれている京都モノは敷居が高すぎていまひとつなのですが、英国モノは映画やドラマで生じた憧れもあり、たいへんに興味深い。
なので手に取ったこの本。
内容はタイトルどおり、高収入で、形に残らない楽しみ(趣味や旅行とか)にためらわずにお金を使う同性愛者に支えられ、18兆円を越す巨大マーケットとなった英国のピンクポンドのお話。
簡単に言ってしまうと、企業が率先して同性愛者を支援し、結果顧客としてつかみ、みんなが潤った、ということ。銀行の貸付も楽になって家を手に入れやすくなった等、使う規模もかなりのもの。
高収入でお金を使うことに眼をつけた企業の目的は金を使わせることだろうが、それだけでは安心した消費にはつながらなかっただろう。
バラマキ作戦等、うわべだけの受け皿の空しさをどこかの国の政治家は早く気付くべきだと思う。
最近、自分は人種や性に対して偏見がないのか無関心なのか、その違いを考えることがある。
この本でもそれを感じざるをえない話題とぶつかった。
世界保健機関が公式文書から病名として「同性愛」を削除したのが1993年のことだとか。
そんなに最近まで病気とされていたとは全く知らなかった。
今ではホモフォビアのほうが精神疾患としてみられているということも。
そして憧れの国だから、ということで英国のゲイ事情の本を読んでいるけれど、日本の現状は全く知らないんだよね…。
この本の発行は2008年3月と、一年半も前。
当然参考にされた資料はその当時のもの(1ポンド250円だって!)なので、1ポンドが150円台に落ち着いた今、ピンクポンドパワーはどうなっているのかな?
入江さんにこの後のリポートもお願いしたいですわ。
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私は海外ドラマ好き。
加入しているケーブルテレビでNHKのBSはもちろん、FOX、Super!dramaTV、AXN、WOWOW、ミステリチャンネル…といろいろ見てます。
中でもミステリチャンネルはヨーロッパドラマも積極的に放送してくれるのでかなり好き。
そのミステリチャンネルのプレゼントで当選したのですよ、この本は。
それだけで面白さ何割かアップ(笑)。
ちなみに、ミステリチャンネルはこの10月からAXNのグループになってAXNミステリーと局名変更になる。
他局とは少し違う番組選びを貫いてくれるなら大歓迎。
親が大きくなったといことは予算も増えるかも?とヨコシマな期待もしてるし(笑)。
作家の「私」がタイピストとして1ヶ月だけ雇ったルシアナが10年後に電話をかけてきて「相次ぐ近親者の死亡事件の背後にはある有名作家クロステルがいる、自分の身も危ない」と訴える。
「私」はルシアナとクロステルの間に何があったのか聞かされ、この話に巻き込まれていくことになる。
帯に「相次ぐ不審死、ちらつく大作家の影。アルゼンチン発、衝撃のメタミステリー!」とあるのですが、私、正直メタミステリの意味がわかってませんので、ちょっと調べる(笑)。
なるほど。
元々、一つの事柄を多方面から見てその印象の違いを見せるという話は好き。
自分かわいさの脚色、ヒートアップした陰口等、どす黒い内面が見えてくるような気がするから。
この本も、そういう両者の言い分を聞いて「私」が解決を見出すのかと思ったら違いました。
「私」は両者の言い分の中であっぷあっぷ。
そこにクロステルの口から最悪の悲劇の可能性が示唆され「私」は溺死寸前。
ルシアナが病的罪悪感に苛まれているのでは…?と考えると一つ一つの事件が見事に符合してくるのです。
が、「私」は溺れなかった。
突然水が引き、クロステルが語ったものとは別の可能性が見えてきたのでした。
それは酷く後味悪く、溺れた方が楽だったかもとさえ思える。
それが真相かどうかが明示されるわけではないが。
復讐とは、罪悪感とは、と唸り、ミステリというよりは心理サスペンスとして堪能しました。
ミステリチャンネルさん、どうもありがとう!
時代遅れなスポーツ指導に、実際の例を挙げながら何がいけなかったのか、どうするべきなのかを訴え、安全なアマチュアスポーツ(主に部活動)の理想を述べている本。
ご本人が大学で学んだり、実際にプロスポーツチームのアスレティックトレーナーとしての経験を元にされているのはわかりますが、今基盤もなしに「ここがいけない」と言われても…と思わないでもない。私に子どもがいないからでしょうか?
昨今、部屋の中にいても危険はあるといわれていることから、さすがに熱中症に対しては気を配る人は多いと思われるが、脳震盪に対しては直後に「大丈夫です」と言わればそれを信じることの方が多いかもしれない。
ここらへんのところも含め、スポーツ指導者全て(指導者でなくても)が心に留めておかなければ、というメッセージの大切さは感じたが、指導者に心がけだけ備わっても、施設の整備はそうすぐにはどうにもならないよなあ…とも。
部活動のありかたから考え直さないと実現困難なのでは。
また、著者は「~に驚いた」と日本の設備や認識の遅れに驚かれておりますが、自身が部活動において経験したことはないのだろうか?という疑問も。
知らないから驚いたのではなく、未だにそんな考えであることに驚かれたということなのだろうか。
この本を読みたいと思ったのは、表紙見返しに書かれている、スポーツ界においての都市伝説的なことの科学的説明に興味があったから。
でも期待したよりもその部分は少ないし、最近ではよく言われていることでもあるので物足りなかったかな。
出ました、第2巻。
(2010年1月15日、画像付きに変更しました)。
2巻という文字はなく、「いちご味」とわざわざつけるくらいにいちご色でかわいいのに。
この巻には衝撃の出会いだった「タケノコ狩り」も収録されている。
ということはもうほとんど読んだことになってしまうのか…しかしまとめて読むとまたおかしさがこみ上げてくるので問題はない。
シロクマさんとグリズリーさんの子どもの頃のエピソードもまとめて読めてほんわか感増量。
グリズリーさんがシロクマさんの作ったシチューを食べている絵が大好き。
スプーンを持つ手が本当にお子様みたいで、でも獣、というのがたまりません。
かわいく、ほんわかエピソードだけど、結構リアル獣というこの本の魅力を凝縮したかのような一コマだと思う(笑)。
難を言うと、表紙をめくったところのカラー絵のシロクマさん。
あれではお母さんみたいで詐欺だと思う(笑)。
イギリスの女王陛下が80歳を迎えようというそのお年で読書の楽しみに目覚めてしまった!というお話。
本を読みたい気持ちにとらわれて公務を面倒臭く思ったり、本を読むことで感情が育っていく感じもかわいらしい。
この年になっての陛下の変化を「高齢者特有の変化」と受け止めてしまうお付きのものたちも含めてかわいらしい。
しかし、この女王陛下の変化を見越してか、皿洗いから読書担当人になったノーマンを陛下から引き離すサー・ケヴィンだけはかわいくない(笑)。
陛下とノーマンの引き離され方といったら、身分違いの恋を引き裂かれる悲恋物のようで涙なしには読めなかった(ウソ)。
この時の陛下の諦めというか、全貌ではないけれども何が起きたのかを察した感じが、自分ではどうにもならない女王という立場をしっかと受け止める凛々しささえ感じさせる。大袈裟?
心の成長に年齢は関係ないのだと希望を持てる、楽しい読書でありました。