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本の感想
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温かな手
東京創元社
発売日:2007-12
おすすめ度:5.0

大学の研究室に勤務する畑寛子と同居人ギンちゃん、サラリーマン北西匠と同居人ムーちゃん。ギンちゃんとムーちゃんが名探偵、ということ以外にもこの二組にはある特殊な関係が存在する。それが温かい手、というわけです。

この二組のまわりに起こった事件を解決していく連作短編集。
石持さんは特殊な枠を作ってその中で話を組み立ててくれるのですが「BG、あるいは死せるカイニス」はその特殊な設定を受け入れ難かった。
しかしこの本にはほんわり感を感じたのでトライ。
ギンちゃんとムーちゃんは未知の生命体、人間のエネルギーを吸い取って生きている。
その食事の相手ともいえるパートナーが寛子と匠。
エネルギーを吸い取るのが誰でもいいわけではなく「魂のきれいな人」が「おいしい」く、その点この二人は合格しているのだそうだ。
おいしいご飯を食べてリラックス状態のエネルギーを吸い取るのが一番のごちそうらしい。
ストレスで過剰に発生した負のエネルギーも吸い取って落ち着かせてくれるがこれはおいしくないようだ。
この夢のような設定にうっとりする。自分にもギンちゃんやムーちゃんがいてくれたらなあ、と。
でも魂がきれいでないと寄ってきてはくれないわけで…(苦笑)。
未知の生命体ならではの視点で事件を解決に導く手腕も楽しめるけれど、それ以外のものも感じさせる。
タイトルにもなっている最終話、前の話でもところどころに二組それぞれの関係の終わりに思いを巡らす部分はあったが、最後の切なさときたら。
寛子も匠も薄々悟っていたようで湿っぽくはない。じんわりと温かな手の大切さが伝わってくる。
私は津田恒美投手が大好きだった。
最終話の落合さんの右手が求めていたことと、意識不明の津田恒美の右手が重なってどうしようもなかった。
もう一度、投げたかった―炎のストッパー津田恒美最後の闘い (幻冬舎文庫)
幻冬舎
山登 義明(著)大古 滋久(著)
発売日:1999-06
おすすめ度:5.0

最後のストライク―津田恒美と生きた2年3カ月 (幻冬舎文庫)
津田 晃代
幻冬舎
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はじめまして
私のブログにコメントくださり有難うございます。
「滂沱された」との事・・・津田投手のことを思い出されたのですね。
津田投手のことは多少記憶あります。
今は弱くなってしまったけど、広島が常にAクラスにいた頃活躍されてましたね。
紹介されている津田投手に関する本も是非読んでみたくなりました。

また遊びに来ます。
cycle_road URL 2008/02/20(Wed)  22:30 編集
Re:はじめまして
津田投手が意識不明で搬送される時、右手だけはボールをほうるように動いていたというのとつながってしまいだめでした。
しあわせだった時をさがしているようでとてもリアルに感じてしまいましたよ。
著者の意図ではないのでしょうけれど、私には忘れられない本になってしまいそうです。
こんなところですがまたお寄りいただけると嬉しいです。
津田恒美選手のことは関心もたれたらぜひ。
【2008/02/21(Wed)  10:54】
無題
こんにちは。わたしのブログにコメント&トラックバックしてくださりありがとうございます!
聴き覚えがあるような…と思っていた石持さんが「BGあるいは~」の作者だということを、カクテキさんが書かれるまで全く気づいておりませんでした…ミステリ・フロンティア全制覇をめざしているというのにです。おそろしいことです…
いつどんな作品が自分の琴線に触れるかはわかりませんよね。わたしも前にすごく感動して、でもそれは誰とも共有できないなんてのがありました。そういう作品に出会えたのは貴重な体験だと思います。大事になさってくださいね~
まみみ URL 2008/02/21(Thu)  19:50 編集
Re:無題
「BGあるいは~」は話の流れはいいのですけど、石持さんの持ち味でもある設定の部分がどうもだめでした。
だめだなあと思いながらも他の作品を読んでみようと思うくらいに気になるという不思議な存在です。
ミステリフロンティア制覇を目指しておられるのですね。
私も挑戦してみようと思ったことはあるのですが、飽きっぽいせいかどうも続けられません。
【2008/02/22(Thu)  15:06】
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