忍者ブログ
本の感想
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
文藝春秋
乾 くるみ(著)
発売日:2007-04
おすすめ度:4.0

たっくんとマユは合コンで出会い交際スタート。どこにでもあるような青春ど真ん中のお付き合いだけれど静岡の大学4年生のたっくんの内定先は東京の会社。二人の遠距離恋愛の行方は…?

ってそういう小説にしか思えない。最後が来るまでは。
正直、たっくんとマユのラブラブぶりが小っ恥ずかしくなる。
私が読んだのは文春文庫だが、元々は原書房のミステリリーグの一冊、何かないわけはないと耐えながら読むと耐えただけのものが得られる(笑)。
ああ、そうだよなあ。少し違和感のあった部分がそのまま伏線だったのだ。
何を書いてもネタバレにつながるので嫌な方はこれ以上見ないで下さい。






side-Bに入ってからのたっくんの性格の変化が不思議だった。
社会人としての自信と遠距離恋愛の負担が彼をそうさせたといえばそう思えないこともないけれど読み進むごとに「これがあのたっくん?」と思わずにはいられなかった。
それもそのはずだよ。
マユはとことん純で少女の域を脱していないように書かれているけれど実はたっくん以上なわけで、別れた後の「たっくん?」の言葉にはたっくんがとうてい考え付かないほどの事実が隠れている。
恋愛に浸りたい!主義の女の子はこの程度のことは駆け引きでもなんでもないのかもしれないけれど。
海水浴、本の貸し借り、JR、テレビドラマ、クリスマス・イヴ等、果ては出会いの合コンまでたっくんとマユの間に出てくる小道具がことごとく伏線。後からもう一度確認せずにはいられなくなる。
裏表紙紹介にある「必ず二回読みたくなる」とはこういうことなのだな。
話の構成がside-Aとside-Bであることもその仕掛けとは。
展開しているストーリーは好みではないけれどこの本はその仕掛けが主人公。
読後にも引っぱられるような本は久しぶりでありました。
PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カクテキさんへ
こちらでは初めまして!
さきほどはコメントをくださってありがとうございました(^^)

『イニシエーション・ラブ』はとある方のブログを読んで、あまり期待せずに興味本位で手に取った本なのですが。

ほんとうにここまで物語に完璧に欺かれたのも初めてで、私にとってもいろんな意味で衝撃的な作品でした。

青春小説でも恋愛小説でもあるけれど、そのどちらでもない。
『仕掛けが主人公』というカクテキさんの感想文は、読後私の抱いた感覚の奥の部分(すみません、ごちゃごちゃ言うばかりで肝心なことを上手く言えないのですが)をすごく言い当ててる気がしました。

これからちょくちょく立ち寄らせていただきますので、よろしくお願いします!(^^)v
月見 2008/04/23(Wed)  21:31 編集
Re:カクテキさんへ
月見さん、おいでいただきありがとうございます。
ミステリリーグなんだから何かあるはず、と思いつつもこんな仕掛けとは驚きましたよね。
>仕掛けが主人公
ヤケクソのような感想に同調していただけて嬉しいです(笑)。
マユとたっくんがいなければ成立しなかったとはいえ、この仕掛けは強烈でしたものね。
こんな節操のない読書感想記録ですがよろしければいつでも遊びにきてくださいませ。
【2008/04/24(Wed)  09:25】
私も読みました
こんにちは。(*^-^*)
本屋さんのオススメコピーを読み、つい買ってしまいました。
最後の最後まで騙されたままでした。
たっくんは、社会人になって、ちょっとモテたからって!と
後半心配しながら読んでいましたが、まさかそんな仕掛け
だったとは!!!
二度目は時間などを比べながら読んで、驚いていました。
斬新な仕掛けで、後からジワジワと面白さが沸いてきました。
ろびん URL 2008/04/24(Thu)  15:20 編集
Re:私も読みました
後半のたっくん、変だと思いますよね。
人にオシャレまで指導してますもの。
不思議に思ったことはそのまま正解だったのだなと安心もしましたけれど、仕掛けられていたとまでは考えられませんでした。
私も読後本をめくり返す手を止められませんでした。
【2008/04/25(Thu)  13:32】
無題
これ面白かったですね~

何かあると解って読んで、かなり違和感を覚えつつ疑ってかかっていたにも関わらずその違和感の正体に気付かないままラストページで驚かされました!

即再読ですよ~



hito URL 2008/04/24(Thu)  18:22 編集
Re:無題
何かあるはずとわかっていても、そこまでは考え及びませんでした。
他愛のない遠距離恋愛小説に誤魔化されてしまいましたよ。
私は文庫を読んだのでキーワード解説がついていました。
確かにそれをガイドにして返し読みをしましたが、自分で探すのが本当の楽しみ方だったなと後悔しています(笑)。
【2008/04/25(Thu)  13:36】
面白かったです
本当に何を書いてもネタバレになりそうですよね(笑)
side-Bに入ってからの違和感の加減が絶妙なんですよ。
すっかり騙されました反面、ネタを割られてみると思い当たる節もあり、その伏線の巧みさ驚かされました。
もう一度読まずにいられない、面白い本でした。
ia. URL 2009/05/31(Sun)  02:12 編集
Re:面白かったです
ネタバレせずには何も書けませんよね。
>side-Bに入ってからの違和感の加減
へんだなあ?と思いながら読んでいるとそれが答えですからね。
乾さんは話そのものに仕掛けを作るのがお好きなのでしょうか。
最近読んだものもそんな感じでした。
【2009/05/31(Sun)  09:31】
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
「しろくまカフェ」ヒガアロハ HOME 「いま、殺りにゆきます」平山夢明
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析