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本の感想
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死因不明社会 (ブルーバックス 1578)
海堂 尊
講談社
売り上げランキング: 16617

死後の解剖率は2%、残りの98%は体の表面を見るだけで死亡診断書が書かれているという。
学生時代に亡くなった祖父の診断書は「心不全」だった。
それこそ入院して診てもらっていたのだからと強い疑問は持たなかった。
つまり、それまで入院なり在宅なりで治療を受けていたのなら死因不明とは言わないのでは?と思っていた。
しかし、癌患者などは短期間で急激に病状が変化し診察対象箇所とは別の部分に病巣があらわれることもあるという。
祖父も末期の癌だったとはいえ他の病巣が原因だったのかもしれない。
積極的な治療をしないホスピス等で死亡した場合はなおさらのようだ。
さらにそこでは緩和医療に放置が隠れているかもしれないという。
死亡時医学検索はこういった病気を探求して今後に役立てる他に、見た目ではわからない犯罪を見つけることもできるという。ホスピスの放置もこっちに近いかも。
虐待で死亡した子どもの解剖を親が承諾するわけないが、著者が推進している死亡時の画像診断が必ず行われるものであるのなら誰にも精神的にストレスを与えずに真実を知ることができるというわけ。
身体を切り刻む解剖には抵抗があっても、画像診断で写真を見ながら「ここをもっと調べたい」と告げれば遺族も承諾しやすいというもの。
解剖する側も目的箇所がわかっているので時間も労力も軽減されるらしい。
これを聞けば、どうして積極的に取り入れられないのかが不思議なくらい。
医学の進歩にも犯罪の抑制にも貢献できるのに。
それは死者にお金を使いたくないというおえらいさん方の思惑一つ、なのかな。
解剖が三つに分かれていてそれぞれ担当部署が違うとか、現場では必要に思われる監察医制度が五大都市にしかないとか、他にもいろいろ不具合なお話が読めます。
以前からわからなかった「検視」と「検死」の違いがわかったことも収穫。
「検視」は警察官が行うこと、「検死(法律上では検案)」は医師が行うものだそう。
事件性があるかないかで変わってくるとか。

白鳥圭輔氏(阿部寛)の語ってくれる部分は非常にわかりやすいが、著者の言葉で書かれている部分はどこまで理解できているか不明。白鳥氏の部分もかなり怪しいかも(笑)。
なにせ、BLUE BACKSなんて卒業してから読んでないと思う。
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ブラックペアン1988
講談社
発売日:2007-09-21
おすすめ度:4.5

ERを12シーズン、HOUSEを2シーズン見ててもわからない医学用語ばっかりだ(笑)。著者もそんなところにポイント置いてないでしょうけど。

1988年5月、東城大学医学部付属病院外科研修医となった世良雅志。目をかけてくれる両極端な指導医高階と渡海の元で日々奮闘中。なんて書くと、新米医師の青春成長物語みたい。そういった側面もあるが主題は別のところ。
外科の大ボス佐伯教授に不遜な態度をとり続ける渡海、他病院から放り出されたエリート高階、それぞれ別側面からの異端児が心に期していること、それがポイント。途中から高階のは失速してるように感じだけど。
佐伯教授のブラックペアンに込めた真意、教科書どおりではどうにもならないことへの決断を下した苦しみがひしひしきます。
が、それ以外の佐伯教授はどうなんだろ?世良の「患者の命を粗末にするような判断を教授がするはずない」、その通りだったのだけれど中盤の高階を罠にはめるようなあの戦略はひっかかる。これをきっかけに高階のキャラクターが引っ込んじゃった感じだったもの。それが佐伯教授の作戦か!(笑)
大学を厄介払いされた高階の「帝華大学は出過ぎた杭は打たない、引っこ抜く」は印象的。打たれてるうちはまだ使う気があるってことなのか(笑)。

「バチスタ」で散々話題なのに今まで読んだことなかった海堂さん。
シリーズものではなさそうなのでこれならどうかと読み、読後に調べたら「バチスタ」のスピンオフ的な話らしいじゃないですか、迂闊だ…。
今まで気にもとめてなかったのに急に読んでみたくなったのは「死因不明社会」という本を書かれた経緯にとても興味をもったから。
勤務医ということは知っていたが、どういった方面が専門なのかは知らなかった。
死亡者の98%は見た目だけで死亡診断書が書かれているという。医学の進歩のためにも死亡時に画像診断することの大切さを説いているようだ。興味深い本なのでこれはまた後に感想を書けたらな、と。
死因不明社会 (ブルーバックス 1578)
海堂 尊
講談社
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サクリファイス
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近藤 史恵
新潮社
売り上げランキング: 6225

高校時代陸上中距離で活躍した白石誓は大学から自転車ロードレースの世界へ入る。プロチームの有望若手として国内最大レース、ツール・ド・ジャポンのメンバーに選ばれる。与えられた役割-エース石尾のアシスト-をこなしていくがそこに石尾の悪い噂を吹き込まれ誓は戸惑いを隠せない。

自転車ロードレースという私の知らないスポーツの話なので敬遠していたが、評判がよいようなので読んでみた。
これは個のスポーツではなくチームなくしては成立しないものなのですね。日本人向きのような気がするけど、どうしてマイナーなのかな。見るには地味ってことなのか。
すべてはチームのためとの想いが自分の我としか受け止められなかった石尾は哀しい。確かにチームを想えばこその行動もかなり行き過ぎてるけどね。自分はたまたまエースポジション、支えていてくれるのはチームの人たち、。感謝だけでなくチームメートそれぞれのことまでをも心に刻んでいた石尾の行動は二つの事故以外では尊敬に値すると思う。でも事故後も変わらないとか、マシンのような恐さも感じる。
対して事故で石尾に選手生命を奪われた袴田は自分の過ちを認めても(認めているのかは疑問)なお上回る石尾への憎しみが強烈。それでもチームのために徹した石尾に袴田は何を感じただろう。
石尾の真意を知ることで自分が欲していた場所を見つけられた誓の成長物語。気に入らないのは香乃かな。レース前に自分でも噛み砕けてない僻みのような噂を当人に話すし、一番知りたい事故のことにしても話すタイミングってものがあるでしょ。誓の重要なポイントにいつもいるけれど、心惹かれるが必要ないと確認させるためかのようだった。
水の中の犬
水の中の犬
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木内 一裕
講談社
売り上げランキング: 280309

誰もが敬遠するような依頼を引き受ける元警官の「探偵」。持ち込まれた依頼にのめりこむうちに自身の奥に潜んでいた深い傷と向き合うことになる。
「藁の盾」も面白かった木内さんの2作目(でいいのかな?)。
こういう、自分も知らない心の傷を抱えた男という設定に弱い。そういった意味でこの探偵はまさに私好みだった。それだけで私には「あり」な世界。
人当たりもよく穏やかな男なのに、何故そんなに依頼にのめりこんでいくのか、自棄になっているようにも見える無謀な行動、どれもが「傷」へと向かっていく要因。
2話めのタイトルにもなっている「死ぬ迄にやっておくべき二つの事」、探偵はそのためだけにこの8年を生きてきたかのよう。
何故警察を辞めたのか、家族と一緒でないのか、それが知らされてからはもう…。
おせっかいにも依頼を回してくる元同僚木島、粗野で親しいふりをしないが探偵を気遣う情報屋、出会いは敵だったが行動を共にするうちに探偵と通じ合っていく矢能、彼らの書かれ方もぐっとくる。
ラスト2ページは矢能の男気にちょっと涙。
痛そうな暴力描写も多々あるが、探偵の傷に比べたら…ということで勘弁して下さい(笑)。

最低の犯人を護衛しなければならなくなった警察官の話、「藁の盾」もおすすめ。
藁の楯
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木内 一裕
講談社
売り上げランキング: 348819

ぽんカレーGOLD
ぽんカレーGOLD
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黒沢 薫
角川マガジンズ
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ゴスペラーズの黒沢さんの「ぽんカレー」に続くカレー本2冊目。
憧れの地、南インドでカレーを食されてます。

インド旅行記は本当に楽しそうでアイドル本と錯覚するほど笑顔満載。
もうカレー用語(?)が解説もなく普通に飛び交っているので読むには注意が必要。
ミールスって何のことかわからなかったな〜。
私が無知なだけですか?
最初の本「ぽんカレー」の頃に出演されたテレビでいつかインドでオリジナルカレーの味を認めさせたい、との夢に前進したのでしょうか。

旅行記というのは出版社が旅費を出して本に書いてもらって利益を得るもの、というのはわかってるつもり。
しかし数年前ある方の旅行記を読んだ時に「領収書云々」というリアルな表記を見つけてしまい、一気に引いた覚えがある。
この方の旅行記、好きだったのに。
そこまで考えず、完全に夢をもらってる私のほうが幸せだったな(笑)。
楽しいのが伝わってくればそれでOKなんです!

他はオリジナルレシピやお店の紹介と対談。
なかでもカレー部対談が、いい加減におばかさんが入っていていいです。
「女の人はカレーを食べると太ると思っているのか、ハシゴに付き合ってくれない」、
「ラーメンの方がカロリー高いのにね」と嘆いている。
一人冷静な方が「そういう女の子はラーメン屋のハシゴもしていないと思う」とつっこむ。
カレー部にこういうことを言える方がいて本当によかったな、と安心しました。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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