死後の解剖率は2%、残りの98%は体の表面を見るだけで死亡診断書が書かれているという。
学生時代に亡くなった祖父の診断書は「心不全」だった。
それこそ入院して診てもらっていたのだからと強い疑問は持たなかった。
つまり、それまで入院なり在宅なりで治療を受けていたのなら死因不明とは言わないのでは?と思っていた。
しかし、癌患者などは短期間で急激に病状が変化し診察対象箇所とは別の部分に病巣があらわれることもあるという。
祖父も末期の癌だったとはいえ他の病巣が原因だったのかもしれない。
積極的な治療をしないホスピス等で死亡した場合はなおさらのようだ。
さらにそこでは緩和医療に放置が隠れているかもしれないという。
死亡時医学検索はこういった病気を探求して今後に役立てる他に、見た目ではわからない犯罪を見つけることもできるという。ホスピスの放置もこっちに近いかも。
虐待で死亡した子どもの解剖を親が承諾するわけないが、著者が推進している死亡時の画像診断が必ず行われるものであるのなら誰にも精神的にストレスを与えずに真実を知ることができるというわけ。
身体を切り刻む解剖には抵抗があっても、画像診断で写真を見ながら「ここをもっと調べたい」と告げれば遺族も承諾しやすいというもの。
解剖する側も目的箇所がわかっているので時間も労力も軽減されるらしい。
これを聞けば、どうして積極的に取り入れられないのかが不思議なくらい。
医学の進歩にも犯罪の抑制にも貢献できるのに。
それは死者にお金を使いたくないというおえらいさん方の思惑一つ、なのかな。
解剖が三つに分かれていてそれぞれ担当部署が違うとか、現場では必要に思われる監察医制度が五大都市にしかないとか、他にもいろいろ不具合なお話が読めます。
以前からわからなかった「検視」と「検死」の違いがわかったことも収穫。
「検視」は警察官が行うこと、「検死(法律上では検案)」は医師が行うものだそう。
事件性があるかないかで変わってくるとか。
白鳥圭輔氏(阿部寛)の語ってくれる部分は非常にわかりやすいが、著者の言葉で書かれている部分はどこまで理解できているか不明。白鳥氏の部分もかなり怪しいかも(笑)。
なにせ、BLUE BACKSなんて卒業してから読んでないと思う。
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Re:こんにちは。
バチスタ系の本は読んでないんですよ。
「ブラックペアン」はつい間違えて読んでしまっただけで。
この本は小説ではなく、解剖医としての海堂さんの訴えが素人にもわかりやすく語りかけられています。
素人らしく、何でこんなみんなに都合がよくすすみそうなことが導入されないのか?という疑問も持ってみました(笑)。
是非、お役所側からの導入をしぶる理由も読ませて欲しいと思います。
「ブラックペアン」はつい間違えて読んでしまっただけで。
この本は小説ではなく、解剖医としての海堂さんの訴えが素人にもわかりやすく語りかけられています。
素人らしく、何でこんなみんなに都合がよくすすみそうなことが導入されないのか?という疑問も持ってみました(笑)。
是非、お役所側からの導入をしぶる理由も読ませて欲しいと思います。