忍者ブログ
本の感想
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

イヌからネコから伝染るんです。 (講談社文庫)
講談社
藤田 紘一郎(著)
発売日:2007-09-14
おすすめ度:4.5

動物を介して感染する病気「人畜共通感染症」の紹介と対処法の書かれた本。
過度な接触が思いも寄らない病気を発症し、医師でさえも思いつかないことがあるという。
ではどうしたらいいか。
排除ではなく、ペットは動物であるということを認識して接することが大切と学んだ。
今の日本人は極度に清潔志向なのにペットに対してはその限りでないという不思議な矛盾点を考え直せば安心して一緒に暮らせるはず。
私自身、犬が家に来た当初は遊んだ後は必ず石鹸で手を洗っていた。
しかし時が経つうちに石鹸を使っていたのがお湯だけになり、水になり、そのうちには物を食べなければいいかな~?となっていった。
家に入れる時は足を洗ってあげていたが、そうすると雑菌が入るのか指が腫れることもしばしば。
私が菌に弱い体質のせいもあるが愛犬であるために見えなくなっていることがあったのだなあと今さら思う。
事実、亡くしてから指の腫れやモノモライが極端に少ない。
いつも鼻の匂いを嗅いでいたものなあ…。
私は人畜共通感染症とまではいかないけれどその予備軍だったことは間違いなさそうだ。
この本は恐怖心を煽らず、動物と人間は違うことさえ頭におけば心配することはないと安心を得られる。
楽しい読み物として症例が書かれているのでつい笑ってしまうが、病気自体は進行してしまうと深刻なのでその点は肝に銘じておかないと。
お身内の歯医者さんの話なんて読んでる時は笑ったけれど、後から考えると冗談じゃない!と薄ら寒くなった。
PR
先生と僕
双葉社
坂木 司(著)
発売日:2007-12
おすすめ度:4.0

大学生になったばかりの伊藤双葉は入学して最初の友達に強引に推理小説研究会に入会させられてしまう。本は好きだが人が殺される小説は読めない極度の恐がりの双葉は大弱り。ため息つきながら公園で推理小説を広げていると「高時給のアルバイトしない?」と中学生瀬川隼人に声をかけられる。それが「先生」隼人と「僕」双葉の出会いだった。

「僕」は双葉だろうけれど、設定が大学生だから「先生」は文字通り先生なのかと思っていたら意表を突かれるかたちで中学生の少年だった。
お勉強も優秀な隼人は家庭教師なんて必要ないがお母さんの安心を得るために気の合いそうな家庭教師を探していた。ミステリ好きの隼人には公園で乱歩を読んでる双葉が「運命の人」に見えたわけだ。
どのへんが先生なのかというと、推理小説研究会の経緯を知った隼人が双葉にも読めそうな本を指南してくれるというところ。
それだけではなく、行動を共にしているうちに出会う不思議な出来事を解決に導くという顔ももっている。
隼人は類稀な観察&推理力の持ち主。中学生にしては大人びているというか冷めている点は気になるけれど。情報のあふれた今、秀でた観察力があればそうなってしまうのかな。
その隼人の解決に大きく貢献しているのが見たものをそのまま覚えられるという双葉の能力。
写真を撮るように覚えたことを隼人が吟味、そして真相へという展開。
なるほど、やはり運命の人だったわけだ。
主人公二人の感じが同じ著者の「青空の卵」を思わせる部分もある。これは二人の関係が心に痛くて続きを読めないでいるがこちらは子どもらしさと大人びた思考が綯い交ぜになった状態を楽しめる。
大人びた隼人の子どもらしさを引き出すのが大学生の双葉というところがまた楽しい。これは当然続くのだろうな。
一つ気になったのは第1話でお互いの自己紹介時、双葉が記憶を披露する時の隼人の通知表。まだ中学生になったばかりなのに何故中学校の通知表があるのかな?後で鍵になるのかと思ってなかなか集中できなかったよ(笑)。

ちょっとネタバレ。






古本屋のオヤジが認知症を装って「仕入れ」に来るという知人の書店員の話と第1話が重なった。
先に新聞を買って小脇に挟んでそこに「仕入れ品」を隠すらしい。
認知症だったら隠すなんてことに気は回らんでしょ。
この本では古本屋に天罰が下ったけれど件の古本屋は代替わりしても続いているというのが憎たらしい。

林真紅郎は元法医学者。妻を事故で亡くし職を辞してからはぶらぶらと過ごしている。真紅郎は周辺で起こった五つの事件の事実を脳内でシンクロさせて真相を導き出す。

「イニシエーション・ラブ」が印象的だったので同じ著者のものを読んでみようと手にした短編集。
あー、真紅郎ってシンクロのダジャレなんだ…。
ユーモアミステリだったらそういう表記が出てきてもなんとも思わないのだろうけれど、これ、どれもそんな話じゃないのでそこだけ浮いて感じる。
真紅郎もいたって真面目な男なのに。
面白くないってことはないけれどそのチグハグさと偶然過ぎるような展開の方が気になる。
それと表紙には真紅郎とその飼い犬らしき姿が描かれているのに、犬の活躍がないことが不満だ(笑)。ちょっとは登場してたけど活躍してないもの。

印象的だったのは「過去から来た暗号」。
真紅郎が小学生の頃凝っていた独自の五十音表。それに基づいた暗号で友人宛に書かれた年賀状の内容を解くというもの。ちょっとおセンチで郷愁をそそるような展開だが、この独自五十音が私的に少しシンクロ(笑)。
最近読んだメイド探偵になりたい女子高校生歩鳥が主人公の「それでも町は廻っている」というマンガの2巻で、歩鳥が落ちていた光線銃を撃って宇宙人を呼んでしまう話がある。
その宇宙人の会話がこれまた独自五十音表に対応している。ラストには対応表も載せられた親切設計。
これもそれも、照らし合わせながら読んでみましたよ。
何故宇宙人が五十音対応なのかは触れてはいけないのだと思う。
それでも町は廻っている 2 (2) (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 2 (2) (ヤングキングコミックス)
石黒 正数

それでも町は廻っている 1 (1) (ヤングキングコミックス) それでも町は廻っている 3 (3) (ヤングキングコミックス) それでも町は廻っている 4 (4) (ヤングキングコミックス) PRESENT FOR ME石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス) ネムルバカ (リュウコミックス)

by G-Tools


まんがです。しかも買いました(笑)。
人間も動物も一緒に暮らしている不思議な町でカフェを営むしろくまさん。
そこの常連客がパンダくんやペンギンさん。
しろくまさんがボケりゃ(計算)パンダくんもボケる(天然)、そりゃペンギンさんも大変だ~という世界。
知人のところで見るものなくて手にした「月刊flowers」で発見してしまい、なんともいえない世界に引きずり込まれてしまった。
読んだのはシロクマさんとパンダくんがタケノコ狩りにいくところ。
その回はパンダくんが暴走気味だったので「主人公はパンダじゃないの?」と首を捻ったが、コミックスを見て納得。あれはパンダがタケノコを好きだからはしゃいでいただけで本当の悪(いい意味で・笑)はシロクマさんで正解だ。
このマンガの何が好きかって、その描かれ方。
出てくる動物さんたちがリアル描写。曲線で丸くした見せかけのかわいさではなく、リアルなかわいらしさが追求されている。ちゃんと歯もむき出してるし。
そんなリアル動物さんなのにポシェットやカバン、帽子にマフラーと小道具をあしらっているのもナイスだ。
岩合さんのパンダ写真集と並べて置こうと決めました(笑)。
イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
文藝春秋
乾 くるみ(著)
発売日:2007-04
おすすめ度:4.0

たっくんとマユは合コンで出会い交際スタート。どこにでもあるような青春ど真ん中のお付き合いだけれど静岡の大学4年生のたっくんの内定先は東京の会社。二人の遠距離恋愛の行方は…?

ってそういう小説にしか思えない。最後が来るまでは。
正直、たっくんとマユのラブラブぶりが小っ恥ずかしくなる。
私が読んだのは文春文庫だが、元々は原書房のミステリリーグの一冊、何かないわけはないと耐えながら読むと耐えただけのものが得られる(笑)。
ああ、そうだよなあ。少し違和感のあった部分がそのまま伏線だったのだ。
何を書いてもネタバレにつながるので嫌な方はこれ以上見ないで下さい。






side-Bに入ってからのたっくんの性格の変化が不思議だった。
社会人としての自信と遠距離恋愛の負担が彼をそうさせたといえばそう思えないこともないけれど読み進むごとに「これがあのたっくん?」と思わずにはいられなかった。
それもそのはずだよ。
マユはとことん純で少女の域を脱していないように書かれているけれど実はたっくん以上なわけで、別れた後の「たっくん?」の言葉にはたっくんがとうてい考え付かないほどの事実が隠れている。
恋愛に浸りたい!主義の女の子はこの程度のことは駆け引きでもなんでもないのかもしれないけれど。
海水浴、本の貸し借り、JR、テレビドラマ、クリスマス・イヴ等、果ては出会いの合コンまでたっくんとマユの間に出てくる小道具がことごとく伏線。後からもう一度確認せずにはいられなくなる。
裏表紙紹介にある「必ず二回読みたくなる」とはこういうことなのだな。
話の構成がside-Aとside-Bであることもその仕掛けとは。
展開しているストーリーは好みではないけれどこの本はその仕掛けが主人公。
読後にも引っぱられるような本は久しぶりでありました。
前のページ 次のページ
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析