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本の感想
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KIZU―傷― (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 31-1)
ギリアン・フリン
早川書房
売り上げランキング: 388942

ミズーリ州のウィンド・ギャップで歯を抜かれた少女の遺体が発見された。シカゴの新聞記者カミルはウィンド・ギャップ出身であることを記事に生かすよう上司にすすめられて帰郷。取材を続け事件の真相を探る中、カミルも自身の傷と向き合うこととなる。

読むのが辛い本だった。
奇を衒った派手さや陰惨さを取り上げているのではなく、社会に内包された問題を扱っているからこその辛さだと思う。
歪んだ心の犠牲になった三姉妹、それがさらに犠牲者を生んでしまった悪の連鎖とでもいうのだろうか。
事件としては解決した後でもカミルを悩ませる、自分にも素質があるのでは…という想いが痛々しい。
カミルの上司夫妻の、血の通った心がその心配を払拭してくれると感じられるラストは救い。
事件の捜査部分は解決できない警察がどうかしていると思える。
それほどに自傷行為に至るカミルの独白が事件を物語っていたといえるのかもしれない。
ひょっとしたら彼女は事件の真相を心の奥底では見抜いていたのではないだろうか。
セラピーで克服したはずの自傷の欲求に悩まされたのはそのせいかもしれないと深読みさせられる。

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第二特集が海外ドラマなのであっちにも書いたのですが、こっちにも。
こういう雑誌を買うのは卒業してから初ではないだろうか(笑)。
購入理由は読書特集の方の桜庭一樹さんの選ぶ100冊にとても関心があったから。
本棚でも触れたように、私も好きな本の姿が垣間見れたのでリストアップされているならそれを入手しておこうかな、と。
年代別でどんな本と出会ったのかがわかりとても興味深い。
夏の新潮文庫の100冊を追いかける人がいるように、私は桜庭さんの100冊を追いかけてみようかな。
ただ本を紹介されるよりも、誰がどんな本を、という方がより惹き付けられますね。
そういうわけで本好きの人が愛読書(?)三冊をご紹介してくださるページもありますが…私には人選の方が遠くに感じます(笑)。
偏見があるわけではなく、存じ上げないという意味ですよ。
なので推薦の言葉は素直に読めます。
そして読みたいとは思いつつ、本にはご無沙汰の伊坂幸太郎さんが直筆で質問に答えるページまで。
私の中で伊坂さんは笑顔の恐い人(笑)。
たまたま見た写真がそういう瞬間だったというのはわかりますが、やはりその印象は拭えませんでしたっ!
あなたの隣の〈モンスター〉 (生活人新書 253)
齋藤 孝
日本放送出版協会
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最近暑すぎるし、入れ込んで見ていた海外ドラマがクライマックスを迎え、それに気を取られていたので本読みが進まず。
だって、一つはグランドフィナーレですよ、もうないんですよ(泣)。
満足できる素晴らしい終わり方でしたけど。

著者の話題になった本は一冊も読んだことないが、これはたまたまそういう場面にも出くわした直後に目にしたのでつい手にとってしまった。
近所のスーパーのレジで。
私の前に並んでいた年配の男性が手にしているのは一点だけで「袋はいらないよ」と穏やかに声をかけていた。
店員さんは「ありがとうございます」と言って商品に店名の入ったテープを貼り付けた。
そしたら穏やかだった男性が「こんなことをするならもういらない!金を返せ!」と怒鳴った。
真後ろで見ていた私には何がいけなかったのか全くわからない。
店員さんも唖然として言われるままに返金して商品を受け取った。
これで怒り出すポイント、わかります? もうこれ以上説明加えること一つもないんですよ。
テープを張ったことがそんなに機嫌を損ねるなんて想像できないじゃないですか。
この本はそういう本。
事例が並べられ続けるわけではなく、モンスターペアレントだとかモンスターペイシェントだとか呼ばれる人が増えている世の中を著者なりに分析して語られてます。
ゴネ得、という言葉が浮かぶ。うちだけの言葉じゃないことを祈る(笑)。
どこで何をどう履き違えたのか、サービスを要求しないと損という気持ちが根付きだしたのではないだろうか。
誰かさんがクレームつけたら満足いくようにかなえられたんだから自分だって、がエスカレートしたとでも言うのかな。
レンタルDVDのお店で「見たけど想像していたのと違うから返金しろ」と言っている客の話を聞いたことがある。
笑い話だと思っていたらどうやら違うらしい。
これは過剰なサービスを要求していることのいい例で、しかもまだまだかわいいと思えてきた。
伊集院光さんのラジオの「日常モンスターハンター」は笑えないものばっかりだし。
外で騒ぎ出す大人なんてそうそう目にするものではないと思っていたのに、何だか今の世の中はコミュニケーション不足なのか、普段の生活に全く関係のない人にはどんな態度をとってもいいとでも思っているかのようだ。
自分はそうでないと信じたいけど、いつゴネてる人を羨ましく思うわないとも限らない。この暑さのせいか…(笑)。
同じタイトルのブログを見つけてしまった。
引っ越す時に慌ててつけたもので深い意味はなかったとはいえ、なんだか変な感じ。
このブログだけならまだしも、もうひとつの方でもそんな経験あり。
月並みな頭しかないことを嘆くべきか、人様と同じことを考えられることを喜ぶべきなのかやはり複雑だ。
ハンドルネームだとかブログタイトルだとかメールアドレスの文字配列とか考えるのが大の苦手なのにどうしたものかね。
あちらが人気ブログかもしれないから間違って来てくれる人に期待するか(笑)。
殺しの儀式 (集英社文庫)
ヴァル マクダーミド
集英社
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イギリスのブラッドフィールドで、被害者が男性ばかりの連続殺人事件が起きる。被害者みなには惨たらしい拷問の跡があった。市警副本部長ブランドンは内務省の心理分析官トニーを捜査チームに向かえ、女性警部補キャロルを彼との連絡係に任命し、連続殺人の犯人像を掴もうと捜査が始まる。

ミステリチャンネルでの放送とタイミングが合わず未見だけどとても興味のあるドラマ「WIRE IN THE BLODD」の元。
読んでみて益々ドラマが見たい!
新シーズン開始にあわせて最初から再放送すると期待してるけれど、それがいつなのかさえ予想つかないが。
これは1995年に書かれたもので、プロファイリングが世の中に知れ渡る前夜のようだ。
心理分析官トニーもプロファイリングの必要性を説く立場にあり、それに反発する警察関係者も登場する。
冷静なプロファイリングで犯人像をかためていくのと、ものすごく私的な問題で悩むという、両極のトニーが魅力的。
それが深く犯人にも関わっており、静かなようでいての盛り上がりにため息だ。
犯人の異常な行動には代わりないが、ただ「異常者でした」ではなくそこに至った背景まで読ませてくれるところが重要なのかもしれない。
トニーとキャロラインのシリーズとしていくつかあるようなので、いつドラマ再放送が始まってもいいように少しずつでも読んでおかないと(笑)。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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