1976年4月の創刊から、季刊や隔月を経て月刊誌となり先月号で300号を迎えた本の雑誌。
先月号では特別記念特集はなく、今月の301号で記念特大号となりました。
1976年からということはもう32年の歴史ある雑誌なのですね。
自分はいつから購入し始めたのだろうかとページをめくってみる。
あ、「三百号で紹介した三百冊」という特集が年表のような役割になっているのでそれで調べてみたってことです。
押し込んであるのを引っ張り出せば正確な時期がわかるのでしょうが、今そんな気力はありませんので(笑)。
月刊誌になっていたのは間違いない、本をよく読むようになったのは大学時代(遅っ!)ということから…なるほど…だいたいわかりました。
年齢が判るのであえて書きません。自分でわかればいいのです。
特集の各号一冊の紹介に出てくる書評した人の名前、坂東齢人とは懐かしい。
しょっちゅう犬の話を書いてたなあとしみじみ。
今もほとんど毎日犬のことを書いていらっしゃいますけどね(笑)。
上にも書いたように読書歴が浅く、いわゆる古典とか学生時代に出会っておくべき本を素通りしてきたので本の世界を開拓することが苦手な私に多方面から本の魅力を教えてくれた「本の雑誌」。
小説ならともかく、宮田珠己さんなど「本の雑誌」を読んでなければ出会えなかったと思う。
これからもオールラウンドなガイド誌として頼りにしていきます。
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「私の男」には疑問符がついてまわったけれど、やはり読みたくなってしまう桜庭さん。
千里眼奥様と呼ばれた祖母万葉、最強レディースの後人気漫画家となった母毛毬、そして何者でもない私瞳子。鳥取の旧家赤朽葉家三代にわたる物語。
家にまつわる話を万葉から聞かされて育った瞳子が書き記したという設定。
激動の時代変遷なのにさらっと進んでしまうのはそういうことだからなのかな?
自分の意見などもてなかった万葉の時代、高度経済成長で世の中そのものが自由だった毛毬の時代、その反動か誰もが何をも見つけられない瞳子の時代、一つの流れの中にすべてが納まっているのはすごいなあ。
でもこれは本当の世の中の流れなのですよね。
万葉の残した言葉「人を殺してしまった」を調べていくという形で最後の章は進む。
万葉は文字が読めないということと、途中で感じた違和感が答えそのものだったが、卒倒した意味にはつなげられなかった。
恋をしていた、それ以上に心の支えだった人の最期の言葉を理解できなかったことへのショック、「恥ずかしかった」そう思いさえしなければ…との後悔があの言葉になるわけなのか。
瞳子の解決、私には満足だった。
何者でもないと卑下しながら本当に何もしなかったことに比べれば理解者が瞳子であることに万葉も頷いてくれるのではと思える。
世代としては毛毬に近いのでレディースだとか、正当派の不良だとか、読みながら記憶の断片が刺激されるような単語が懐かしい(笑)。
でももっと万葉と姑タツの物語も読みたかった。
初のお産時、一瞬でその子の生涯を「視て」しまった万葉の衝撃は読んでるこちらにも衝撃だったもの。
タツがどうして万葉を見初めたのかとか、家での権力を掌握するにいたった逸話とか、想像するともう一冊本になりそうだ。
先日ミステリチャンネルで「REX~ウィーン警察シェパード犬刑事~」というドラマのプレミア放送を見てそのかわいさの虜になってしまったところで見つけた本。
ドラマの舞台はオーストリアですが、ドイツと共同制作だし、シェパード犬REXなので細かいことは気にしない(笑)。
ドイツの犬は普通に道を歩くにもノーリードでOK、と実に自由。
しかしその背景には厳しい躾と飼い主が肝に銘じなければならない厳格な決まりごとがある。
躾はもちろん、犬税金まで。
税金は安易に飼ったり捨てたりしないようにとの観点からで、それを使って道路や公園の糞の掃除をする等そういう性格のものではないらしい。これは日本でも取り入れてもいいかもしれない。
犬をはじめ動物が大切にされている国だということはわかったが、その一方で動物愛護団体の過剰とも思える反応は気になるところ。
動物を護ることが菜食主義へ、または強力なロビー団体となっている。
暢気な私には何もそこまで…としか思えない。著者は極端な例を挙げただけだと思おう。
シェパード犬の歴史の章で、ヒトラーが犬を愛していたというのを知って驚き。有名な話ですか?
来客がヒトラーの犬を手懐けていたら「この犬は私にだけ忠実だったのに!こんな犬は射殺だ!」と怒ったとの逸話が。
これから察すると人が嫌い、犬は気持ちを注いだだけ自分のことを見てくれる、だから好きだったということで犬好きとはまた別のような気がする。
シェパードはドイツを代表するものを!と作られた犬種だったのですね。
そうして国境警備という厳しい仕事を与えられていたが壁もなくなり大量失業で民間(ペット)へ。
①子どものおもちゃを飲み込んでしまう
②猫用の玄関ドアの出入り口に頭から突っ込んで抜けられなくなる
③トイレに落ちる
これ、シェパードのドジランキング・ベスト(?)3だそうですよ(笑)。
警察犬として優秀というイメージだけだとオドロキだけれど、REXを見たあとでは何となくわかるような気がするから不思議だ(笑)。
あ~、REXの本放送が待ち遠しい!
早川書房
北野 寿美枝(翻訳)
発売日:2008-05-09
おたふくかぜの高熱が原因で片方の耳が聞こえなくなったハリーだったが、ある日テレビを見ながら耳を触っていたら大量の膿が出て何故か聴力回復。しかし回復がもたらしたのは喜びだけではなかった。音をきっかけにそれに関する陰惨な事件が見えるようになってしまった。大学生になり、その感覚を鈍らせるため酒に溺れるようになったハリーは同じように酒で荒れた生活をしている武術家タッドと出会う。シンパシーを感じた二人は協力し合って酒を断とうと決心する。そこにハリーの初恋の人ケイラが現れ、彼女の父親の死の真相探りに協力することになる。
海外ドラマファンには意味深に感じるタイトル。「ロスト」で「エコー」ですよ。ちなみに無関係(笑)。
ランズデールの本は久しぶり。これまではハードカバーで出版されてから文庫化だったのに、これはいきなりの文庫。大人の事情というものでしょうか。
ランズデールで好きなのは、主人公が間違いながら成長していくところ。
間違ってくれるから真実味があるしこちらも肩入れしたくなる。
この本でもハリーはいくつか失敗している。小細工というよりも実際にしてしまいそうな些細なこと。
それが転がって大きなことになったり、道をそれていって関係なくなったり、読んでるこっちはこれはどうなるのか想像が掻き立てられる。
裏表紙のあらすじを読んで不思議な力が出てくるのは賛成できないなあ、と思ったが、その力を得てしまった故のハリーの苦悩、苦しんでいるのをわかっていながらもその力に頼りたいケイラ、そういった広がりがあるので読んでいて気にならなかったなあ。
何らかの影響で脳が変性をきたした結果、音を映像として解釈する能力が開発された例もある、と医学書に書いてあるよ、と触れられてるし。
ラストは都合よすぎる感じがしないでもないが、まだまだハリーは特殊能力に恐怖を抱いているし、最近不幸のどん底ドラマを見ているせいで無条件にハッピーを受け入れてもいい気がする(笑)。
もう一つ、ランズデールといえば犬の描き方が大好き。
犬の見た目のかわいさではなくて、一緒に生活しているからこそわかるような表現なのですよ。
「ダークライン」に出てくる「ナブ狩り」なんて未だに思い出しては口元が緩む。
今回は犬がいないのかなあ…と寂しく思っていたら途中から出てきましたよ。ケイラのお隣のウィンストン。
一見何も関係ないような犬ならではのおバカさんなこだわりが後に重大なポイントになるなんて!
たまには本の感想以外のことでも。
作家の方の日記って読みますか?
私は何人かいますがその内の一人に小川勝己さんがいます。
いつぞや日記で「(小川さんの)本を全部読んでる人なんているのかな?」と書かれていたその内の一人でありますから(笑)。
先日の日記で「感動」を「泣けた」の一言で済ます風潮について書かれていました。
何のどこでどう感じたかなんて人様々。
本や映画で泣けることを感動の全てと括るような宣伝文句に辟易しているのですっとした気がしました。
でも小川さんは大人だから、それだけ人の心を揺さぶったのならキャッチコピーとして使ったってOKというように書かれてますけど(笑)。
小川さんの本を読みたくなるのはそういうことなのかな、と感じました。
「イヴの夜」で削除されたのがどこのシーンのものだったのか、改めて読んでみたくなりました。
作家の方の日記って読みますか?
私は何人かいますがその内の一人に小川勝己さんがいます。
いつぞや日記で「(小川さんの)本を全部読んでる人なんているのかな?」と書かれていたその内の一人でありますから(笑)。
先日の日記で「感動」を「泣けた」の一言で済ます風潮について書かれていました。
何のどこでどう感じたかなんて人様々。
本や映画で泣けることを感動の全てと括るような宣伝文句に辟易しているのですっとした気がしました。
でも小川さんは大人だから、それだけ人の心を揺さぶったのならキャッチコピーとして使ったってOKというように書かれてますけど(笑)。
小川さんの本を読みたくなるのはそういうことなのかな、と感じました。
「イヴの夜」で削除されたのがどこのシーンのものだったのか、改めて読んでみたくなりました。