「私の男」には疑問符がついてまわったけれど、やはり読みたくなってしまう桜庭さん。
千里眼奥様と呼ばれた祖母万葉、最強レディースの後人気漫画家となった母毛毬、そして何者でもない私瞳子。鳥取の旧家赤朽葉家三代にわたる物語。
家にまつわる話を万葉から聞かされて育った瞳子が書き記したという設定。
激動の時代変遷なのにさらっと進んでしまうのはそういうことだからなのかな?
自分の意見などもてなかった万葉の時代、高度経済成長で世の中そのものが自由だった毛毬の時代、その反動か誰もが何をも見つけられない瞳子の時代、一つの流れの中にすべてが納まっているのはすごいなあ。
でもこれは本当の世の中の流れなのですよね。
万葉の残した言葉「人を殺してしまった」を調べていくという形で最後の章は進む。
万葉は文字が読めないということと、途中で感じた違和感が答えそのものだったが、卒倒した意味にはつなげられなかった。
恋をしていた、それ以上に心の支えだった人の最期の言葉を理解できなかったことへのショック、「恥ずかしかった」そう思いさえしなければ…との後悔があの言葉になるわけなのか。
瞳子の解決、私には満足だった。
何者でもないと卑下しながら本当に何もしなかったことに比べれば理解者が瞳子であることに万葉も頷いてくれるのではと思える。
世代としては毛毬に近いのでレディースだとか、正当派の不良だとか、読みながら記憶の断片が刺激されるような単語が懐かしい(笑)。
でももっと万葉と姑タツの物語も読みたかった。
初のお産時、一瞬でその子の生涯を「視て」しまった万葉の衝撃は読んでるこちらにも衝撃だったもの。
タツがどうして万葉を見初めたのかとか、家での権力を掌握するにいたった逸話とか、想像するともう一冊本になりそうだ。
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赤朽葉家の伝説
そうそう、タツのキャラクターもいい味出してましたね。
妾の存在といい、ドロドロになってもおかしくない人間関係がコミカルに描かれているので、読み心地が良かったです。
やっぱり不思議な話に一番魅了されるのか、ストーリーが進むにつれ、失速した印象がありましたが、瞳子が明らかにした真相は本当に切なかったです。
読み応えのある作品でした。
妾の存在といい、ドロドロになってもおかしくない人間関係がコミカルに描かれているので、読み心地が良かったです。
やっぱり不思議な話に一番魅了されるのか、ストーリーが進むにつれ、失速した印象がありましたが、瞳子が明らかにした真相は本当に切なかったです。
読み応えのある作品でした。
Re:赤朽葉家の伝説
三代にわたる大河というにはさらっとしてますが、そこに流れていた哀しみは切々と伝わります。
>ストーリーが進むにつれ、失速した印象
きっと現代っ子(笑)の瞳子が語っているというのが原因かもしれません。
万葉や毛毬の時代のさらっと感も瞳子が書いているからなのだな、と解釈することにしました。
タツと万葉の話をもっと読みたくなりましたよね。
>ストーリーが進むにつれ、失速した印象
きっと現代っ子(笑)の瞳子が語っているというのが原因かもしれません。
万葉や毛毬の時代のさらっと感も瞳子が書いているからなのだな、と解釈することにしました。
タツと万葉の話をもっと読みたくなりましたよね。