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本の感想
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美女と竹林
美女と竹林
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森見登美彦
光文社
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小説家である森見登美彦氏が「これからの時代は多角経営!」と竹林経営に乗り出すべく会社の同僚宅の竹林伐採許可を取り付けたものの、行ったり行かなかったりの日々を綴ったエッセイ。
そういうことらしいがこれは妄想エッセイのようだ。
ご本人も書いておられるように「嘘八百を織り交ぜたヘンテコな文章」が正解。
町田康さんや池上永一さんのエッセイと言われるものにも似た匂いがありますね。
タイトルに惹かれての森見さん初体験だったが、たいへん面白く読むことができた。
小説もご本人の情報も全くないので信じていいことと悪いことの線引きが全くわからないのも勝因かもしれない。
夏の想い出としての大原偽探訪やら締切次郎やらとの世界が広がっていく様子は身体に沁みてくるような感動さえ覚え、小説も読んでみようかなという気になった。
しかしレビュー等で「コレを森見さんの入り口にするのはすすめられない」というのを見かけた。
コレのインパクトが強すぎるということだろうか。
小さい頃に住んでいた家の裏が狭いながらも竹林だった。
祖父の伐採する姿や鉈で細かくする姿と並んで思い浮かぶのは仕事後の道具の手入れ。
祖父はとてもまめな人だったせいもあり、粉を払って歯を研いで大切に保管していた。
なのでホイホイとホームセンターで買ってしまう描写にはちょっぴり違和感(援軍の編集者分でしょうけど)がないでもない。
竹林経営を志すものとしては道具を大切にする様子も入れておかんとな!(笑)
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愛しの座敷わらし
愛しの座敷わらし
posted with amazlet at 08.10.29
荻原 浩
朝日新聞出版
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座敷わらしとの交流(笑)が始まるまではちょっとだるかった。
それが現実のものなのだとわかってからの話はあっという間。
だるいなと感じた部分も、壊れかかった家族というのが十分伝わってくるし、再生の道をたどり始め生き生きしてくる様子も楽しめたのですが。
読み出してこのタイトルではネタバレというかこのように落ち着くのは火を見るよりも明らかなのでは…?それが残念と言えば残念。
テーマはそんなことではないのでそんなの問題ではないのでしょうが。
現れた家に福を呼ぶくらいの大雑把なことしか知らなかった座敷わらしが、どういった経緯で人々の心に誕生したのかが語り伝えられているので、しゃぼんだまではしゃぐ座敷わらしに動揺「しゃぼんだま」へ込められた本当の意味(と言われていること)が重なって、かわいらしくも切ないシーンが目に浮かびます。
目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇
田丸 公美子
朝日新聞出版
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タイトルに惹かれました。
何をふざけたことを…と思ったらこれがイタリアで本当にある言葉だというではないですか。
確かに生ハムならではとも言える(笑)。
著者はイタリア語通訳歴30年を越す方で、エッセイもこれが三冊目だとか。
通訳の方ならではの話題にあふれていてそれこそ私には目からハムだ。
通訳は知らない言葉に出会ってもその場で調べるということができないし、映画から学術分野まで多岐にわたって要求されいつも本番であるすごさを感じますが、どんな状況でも著者の度胸は素晴らしい限りです。
また、日本人の表現力の低下を嘆かれてもいます。
そういったことを厳しくもユーモアを交えて気付かせてくれる楽しい本でした。
これも始めて知りましたが亡くなられた米原万里さんと親友で、タイトルにあるシモネッタも彼女から譲り受けたものだとか。
お友だちであることがわかるような気がしました。
純情期
純情期
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小川勝己
徳間書店
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タイトルと表紙イラストは爽やかな青春小説を連想させるがちょっと違う。
青春小説に変わりはないが、下半身関係に特化した青春小説だ。
初体験することばかり夢見る中学2年生の優作は夏休み前のある日、全校男子生徒がノーマークの女性体育教師瑠璃子先生に夢中になる。
夏休みも会いたいばっかりに瑠璃子先生が顧問の体操部へ入部、母親は突然のやる気に喜ぶがその動機はかなり…(笑)。
身体の硬さに苦労する中、なんと同じクラスの悪、瀧口までもが入部してきた。
瀧口も瑠璃子先生へ特別な感情を持っているのだが…。
優作の瑠璃子先生への想いはおバカさんで微笑ましいが、瀧口の想いは負のパワーで満ち溢れていて、小川さんの小説だなと実感できるところ。
エッチな描写の連続が時に気恥ずかしく、時にバッカじゃないの?と素直な気持ちを吐き出させてくれる(笑)。
瀧口がらみのことがどういう結果になるのかは夏休み明けまでわからないようだが、頭の中を渦巻く瑠璃子先生への妄想は変わらなくとも、おバカさんとして少しだけ成長した優作が見えるようでした。

そして気になるのはいつぞやの小川さんの日記に書かれていた「彼岸の奴隷」をお母さんに薦められて読んだという女子中学生のこと。
このお母さんは「純情期」も読んで娘に薦めるのだろうか。
もう女子中学生ではないかもしれなが。

彼岸の奴隷 (角川文庫)
小川 勝己
角川書店
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利用させていただいている読書メーターでコミュニティという新機能が始まりました。
本と著者に関しての話題だけですが、一方通行でなく想いのやりとりができる掲示板のようなものですね。
管理目的で利用させていただいている読書メーターですが、この前導入されたコメントナイス機能で星を付けてもらったら妙に嬉しかったのでこれも楽しいかも(笑)。
しかし、トピックの内容を読んで少し寂しくなったり…。
初めて読んだ作品は?の東野圭吾さん、宮部みゆきさんのところ。
みなさま、結構最近の作品が多いな、と。
面白そうだと思い、東野さんのところには「放課後」とうっかり(笑)書き込んでしまいましたが、先程宮部さんのトピックを見て唸ってしまいました。
別に年だとか、そんなことは関係ないのですが。
寂しくなったってことは気にしてるんじゃないの、というのは内緒です。
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photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
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