「死せる少女たちの家〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)」
[文庫]
著者:スティーヴン ドビンズ
出版:早川書房
発売日:2000-04
価格:¥ 714
[文庫]
著者:スティーヴン ドビンズ
出版:早川書房
発売日:2000-04
価格:¥ 714
たまたま図書館で借りてきたら、『本の雑誌10月号』の特集『がんばれ、翻訳ミステリー』で嫌ミステリー6作のなかのひとつにあげられていた。
借りたのが先だから偶然。
普通の郊外の町で女性の殺害事件がおこり、犯人もわからず疑心暗鬼になっているところへ今度は少女の行方不明事件が。
そこに生活する人々が知るともなしにお互いの生活を知っているような町である。
なのに犯行は外部のものとは考えられず、町の人みんながお互いを値踏みするように探り出す。
それまでとりたてて異常扱いしていなかったことに対して噛み付いていくようになる。
同性愛者、異人種、売女の息子など。
疑うだけじゃなく徒党を組んで攻撃的になっていく。
集団ヒステリー状態か。
ストーリーはミステリなんだから犯人探しで、猟奇的な犯人が恐ろしいのは当然だけれど、それよりも暴走していく共同体である町が恐い。
この小説を読んで思い出したのが、やはり一人の少女の殺害事件をきっかけに町の醜い部分があらわになっていくヒラリー・ウォーの「この町の誰かが」。
田舎とも都市ともいえないごく普通で、秘密のもてない町ということもどこか似ている。
読後に爽快感なんてないけれど、一回読んでおいたほうがいい気がする。
嫌ミステリーとはよく言ったもの。
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