リー・スローカム検死官が今回担当するのはトーントンに越してきて間もない作家アラステア・ティンズリーの焼死事件。願いがかなって陪審長となったイングリスは並々ならぬ気合いで審問会に望むのでした。
たいへん面白かったリー・スローカム閣下を検死官とする「検死審問」の続編。
娘のフィリスを速記者に、証言録の枚数+日当のお手当て金額を計算しながらの進行と思わせて事件はきっちりとした眼で観察しているスローカムのお手並みは相変わらず見事。
事件に関係あるのかないのかわからない方向に白熱する証言もやっぱり楽しい。
前作をふまえて「この中にキーポイントがあるのだな」というワクワク感をプラスできてなおさら楽しかった。
陪審長となったイングリスが審問記録に注釈を加えているのもいい。
注釈ってわかりにくいことの解説なのに、イングリスのはまるで「つっこみ」。
私がつっこみ好きだからこれはまたたまらない(笑)。
数々の証言から事件に重要なことを見極めたスローカムが下す裁定は「日当しか考えないとぼけた検視官が見落としました」を装って落ち着くところに落ち着かせる。
罪を憎んで人を憎まず、といったところでしょうか。
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