忍者ブログ
本の感想
少女には向かない職業 (創元推理文庫 M さ 5-1)
桜庭 一樹
東京創元社
売り上げランキング: 54183

中学2年生の大西葵の家庭は複雑。母は市場でパート、義父は漁師だったが怪我をしてからは飲んだくれて暴れるだけ。その反動で学校ではおちゃらけてみんなの注目を集める存在。楽しい学校も夏休みを迎えてしまった。その夏、葵のそばにいたのは不思議な魅力をまとった図書委員宮乃下静香だけだった。

「少女七竈~」で気になったので過去作品を。
タイトルから女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)を連想するから、コーデリアみたいに葵が成長していく話なのかなと思ったら大間違い。成長したといえばそうなのだろうけれどポイントはもっと別のところ。
書き出しで葵は人を二人殺したことを告白する。人を殺してしまったことで自分が死にそうなくらい怯えている。人殺しは少女には向かない、そういうお話。
書き出しを見ると静香が葵をそそのかしたかのようだが、二人がたまたま呼び合ってしまった結果としての人殺し。お互いに不安定な家庭でより所が欲しい境遇。それなのに誰も自分たちをそう見てはくれない。楽しい夏を過ごした果てに人の死に出会ってしまい、また仲良くするには人の死が必要と考えてしまう静香とそれに怯える葵が対照的。
誰かが手を差し伸べていたならありえなかった。実際、心に触れようと歩み寄ってくれたおじさん警察官には告白できたんだもの。
苦言を呈す箇所は、土産物屋でそんな危険なものを中学生に売ったということかな(笑)。
募集広告に応募して別人になる訓練、演じる性格づけ、遺言を書き換えさせることが目的等静香の嘘の告白は「わらの女」だな~と思っていたらその通り、静香のリュックの中のテキストでした。
PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TB&コメントありがとうございました。
「わらの女」ご存知なんですね。
僕は恥ずかしながら知りませんでした。
この作品を読んでみて、フォローし続けたい作家がまた増えました。
葵と静香のその後が気になります。いつか続きを読んでみたいですが、難しいでしょうね。
ふくちゃん URL 2008/01/17(Thu)  23:37 編集
Re:TB&コメントありがとうございました。
ふくちゃんさん、こんにちは。
「わらの女」は気になってはいたものの、昨年ようやく読みました。
昼ドラマの原作だったとかで新装版の文庫があったもので。
今では成り立たない犯罪ですが、その流れのドラマチックなこと。
読んで損はありません。
「少女には向かない職業」ですが、葵が中学生の少女として助けを求められたことに喜びを感じました。
当然、何かしらの裁きはあるでしょうがあの警察官がいてくれるなら受け止めていけそうに思います。
【2008/01/18(Thu)  10:50】
少女には向かない職業
読みました~♪
プロローグから考えると、これは葵の回想という形式になるのかな?
周りに頼れる大人がいなかった、というのが悲劇でしたね。
特に母親にはムカムカしましたが、こういう倦怠感を描くのも巧いのだなぁ。
ラストは救いが感じられて、ホッとしました。
めみ URL 2008/02/13(Wed)  17:53 編集
Re:少女には向かない職業
私はこれ、かなり好きですね。
助けが欲しくてあがいているのに、それを伝える相手がみつけられないもどかしさが実にいいです。
ラストは私も救いがあると感じました。
だってようやく誰かに声を伝えられたのですからね。
【2008/02/14(Wed)  12:41】
こんにちは~
この年齢の少女が殺人って・・と冒頭から不思議な気持ちになりました。何かもっと違う意味かと思っていたら本当に人の死と関わっていたとは!結構衝撃でした~

もっと早くあの優しいおじさん警察官と出会っていたらと思うと残念ですよね~

桜庭さんは3作品目でしたが、「赤朽葉家~」「私の男」に比べるとかなり軽めのタッチだったような気がします。(後味は悪かったですけど)
でもどれも家族のことが中心になんですよね、やっぱり主人公の年齢から爽やかさが漂ってくるのかもしれないです~
hito URL 2008/07/28(Mon)  13:00 編集
Re:こんにちは~
殺人って別の婉曲的なものいいなのかと思ったらそのものズバリで少々面食らいましたね。
内容は衝撃的であってはいけないことですが、おまわりさんとの出会いを喜ぶべきなのだなあと感じました。
世間的には大評判の「私の男」、私にはいまひとつでしたのでhitoさんの「少女には~」の記事を見つけてもがきながら見つけた葵のがんばりに再度浸ってみました(笑)。
【2008/07/30(Mon)  15:19】
無題
こんにちは。hitoさんのところから、飛んできました。
葵が母の再婚相手に寄せる感情って、「私の男」の中に似たものを感じました。
こういう作品を書いたからこそ、「私の男」につながったのだなと、感じてます。
ほっそ 2008/07/28(Mon)  13:11 編集
Re:無題
ほっそさん、いらっしゃいませ。
>葵が母の再婚相手に寄せる感情って、「私の男」の中に似たものを感じました
言われてみれば…。
心のひだを理解する能力が劣っているのか、「私の男」はだめだったのですが気に入っている「少女には~」にも同じテイストが流れていたのだとすると再読の価値ありかもしれませんね。
う~んでも読めるかなあ(笑)。
【2008/07/30(Mon)  15:23】
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
少女には向かない職業
 謹賀新年!  文庫読みの宿命というか何というか、どうしても読書界最先端のトレンドには遅れがちである。  そんなわけで、ようやく初読みの桜庭一樹氏。  ミステリor推理というより、サスペンス。面白かった。 ・内容 あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あ..
URL 2008/01/17(Thu)23:33:54
本「少女には向かない職業」桜庭一樹
「赤朽葉家の伝説」  「私の男」 に続き桜庭さん三冊目! 「母と、養父と暮らす13歳の大西葵は、クラスで目立たなかった宮乃下静香と話すようになった。 夏休み、静香は人を殺すやり方を教えてくれたのだ。」 中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は
URL 2008/07/28(Mon)12:56:15
「東京カオス」アンヌ・ランバック HOME 「サクリファイス」近藤史恵
photo by 七ツ森  /  material by 素材のかけら
忍者ブログ [PR]
更新中
RSS表示パーツ
ブログ内検索
読書メーター
カクテキさんの読書メーター
アクセス解析