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本の感想
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家日和
家日和
posted with amazlet at 08.08.11
奥田 英朗
集英社
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突飛なことではなく(小説家は違うけれど)、どれもが起こりえそうな6編の家小説。

「サニーデイ」、「家へおいでよ」、「グレープフルーツ・モンスター」は、このままだと伊良部先生のところに行かないとならないかも、と心配になる。
が、こちらの主人公はみなさん自分で乗り越えてます。
伊良部シリーズもそうともいえる(笑)。

一番のお気に入りは「ここが青山」かな。
会社が倒産した主人公が奥さんと生活が逆転する話。
まわりは同情の目で見るものの、本人たちにはこれがしっくりきている。
もちろん、初めて体験する家事に主人公は悪戦苦闘するが、それを乗り越える術を自分で見つけられるんだよね。
本で勉強し、魚の焼き方も実践で学ぶ。
この姿勢が見事です。
身近な人は聞けばいいと思ってる人ばっかりなので。
風呂場のカビとり剤の恐怖を奥田さんもわかってくれているのだな、と思うと感動の涙すら浮かんでくる(笑)。

「家においでよ」もいいな〜。
わくわくしながらオーディオ機器、家具、家電をそろえていく。
妻に出て行かれたという悲壮感が微塵もない。
楽しさしか伝わってこない。
楽しすぎて買い物が止まらなくなるのではないかと心配してしまうほどだ。

どの話もこのままだと壊れちゃうんだろうな、という予感がある。
でもこの本の登場人物はみんな、ちょっとおかしなことになっても家を壊すことなくまた家として、家族として歩んでいける。
ほんの小さなきっかけであっちかこっちか紙一重なのかな。
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はじめまして♪
カクテキさん、こんばんは~
本プロつながりでおじゃましました。奥田さんの作品は伊良部先生のシリーズ3つと『サウスバウンド』を読んだくらいですが、人物描写のうまさにいつもうなって(爆笑して)しまいます。この本も楽しかったですね。
『ここが青山』は主夫業にハマっていく夫の成長がすごい!倒産したとたん働きに出る妻も潔い!夫婦はそれぞれの形があるから、一概に決めつけてはいけませんね!
確かに依存症になりそうな不安な登場人物もいたけれど、基本的には愛すべき人物でよかったです。
家を自分の色に染め上げてないかとか、これまでハマった趣味のあれこれとか…自分の過去を振り返ってギョっとしたり、『ここが青山』や『夫とカーテン』みたいにプラス思考の妻によいな~と思ったりしました。
なぎ URL 2008/01/26(Sat)  21:46 編集
Re:はじめまして♪
なぎさん、はじめまして。
お名前はお見かけしておりましたが、おいでいただきありがとうございます。
本プロに参加できたのはほんの短い間だけでしたのでご存じないかと思いますが。
「家日和」はどれもはらはらさせられながら気持ちよいエンディングが待っていて安心できました。
「ここが青山」の主夫として成長していく様子もいいですが、それを受け止めていく奥さんもすごい、と思いましたよね。
ふたりにとって自然な形が見つかったことを祝福してあげたいです。

私が奥田さんにファンになったのは「邪魔」や「最悪」でしたので、最近のものは優しすぎるかな?という気がしたりしなかったりです(笑)。
なぎさんが読まれたものとはかなり性格が違うと思いますので読まれる場合にはご注意下さい。
私はそろそろあの世界がまた読みたいですけども。
【2008/01/27(Sat)  12:41】
こんにちは~
お久しぶりです~

どれも、ありそうな身近な雰囲気がプンプンするのがいいですよね♪
「サニーデイ」「家においでよ」「ここが青山」が特に好きでした~
hito URL 2008/04/04(Fri)  17:48 編集
Re:こんにちは~
何かきっかけがあれば自分にも起こりそうなことばかりですよね。
だからこそ、プチリアルで楽しいのかもしれません。
展望がありそうな結末でどれも好きです♪
【2008/04/05(Fri)  11:28】
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