気になっていた本であったのに加えて、ほっそさんのブログで人の善悪についての話が出た時に再び興味を駆られ、あまり積極的には借りたくないほどのくたびれ具合でしたが借りました、読みました(笑)。
途中、どうしても読めなくなり放り出した。
内容がどうとかそうではなくてまだまだ心の整理がついていない自分を発見して辛かったから。
娘を殺された父親が通夜の晩に眠れないけれど、もしここで眠れれば、これが夢に変わるかもしれないってところ。
一年半以上になろうというのにあの晩の自分もこのとおりだったな、と鮮明に思い出された。
くせになるからと一緒に寝たことなどなかったので初めて一緒に寝たのが冷たくなる身体の隣だったことを。
手を握りながらこれで朝がくればいつもどおり起きて「ネエチャン、ごはん!」としっぽを振るのではないかと必死でそう思おうとしたことを。
それました、本にもどります。
著者が「リアルを書きたかった」と言ったということに噛み付いたのを読んだ覚えがある。
約束をした場に約束してない本命が現れたこととか、暗く寂しいところで助けの手をふり払う女性とか、警察付きで電話するばあちゃんの言動が不自然とか。
確かにそうだけど、先を読むのを萎えさせるほどのことではないのでは?事実は小説より奇なり、なんだから。こっちが小説だけどもさ。
私には人生を着飾りたい佳乃や増尾ってのも、かっこ悪いほどの寂しさの果てに出会ったことが大切で大切でたまらないってのも、ちょっとした一言で自身を取り戻せた被害者ってのも、受け入れて読めたなあ。
それがリアルなのか?というとわからないけれど。
私の感受性不足かもしれないが、ちくわ少女のシーンはいらないような気はしたが(笑)。
置き去りにされたこと、これがどれほどの心の傷だったのか。
それなのに「どっちも被害者にはなれんたい」って。
あの人は被害者なのだから自分は加害者なんだと思い込まなければならなかった人生なんて想像し難い。
悪人であるとの告白が逆に悪人ではないとの証のようだ。
それを汲み取ったからこそ光代は今までどおりの生活を選んだのだろうな。
この置き去りについて。
ちょっと前に、お菓子を残しただけで遊びに出かけた(日数忘れた)母親が戻ってきたら小さい子の方が死んでいて、6歳のお兄ちゃんを「お前が食べ物をちゃんとあげなかったからだ」と責めたという母親の裁判ありましたよね。
そこでお兄ちゃんが「僕がお菓子をわけなかったからです、お母さんは悪くないです」って言葉が取り上げられたらしいですよ。
このお兄ちゃんの言葉が本の内容とかぶって痛くて痛くてたまりません。
PR
この記事にコメントする
無題
こんにちは。お疲れ様でした。苦しい読書だったようですね。お勧めしたので、気になっていました。
当初、私はこの作品を新聞の連載で読みました。とぎれとぎれで読んだ時には、あまり感じなかったのですが、まとめて読んだ時は、とにかくしんどくって・・・特に親としての目線だとね。
特に被害者の女の子、当初容疑者とされた大学生は、生理的に受け付けませんでした・・・
当初、私はこの作品を新聞の連載で読みました。とぎれとぎれで読んだ時には、あまり感じなかったのですが、まとめて読んだ時は、とにかくしんどくって・・・特に親としての目線だとね。
特に被害者の女の子、当初容疑者とされた大学生は、生理的に受け付けませんでした・・・
Re:無題
>新聞の連載で読みました
新聞連載されていたといことに驚きましたよ。
日々区切られながらこんな重い話が続いていたなんて。
>被害者の女の子、当初容疑者とされた大学生は、生理的に受け付けませんでした
虚飾とその場が楽しければ、のこの子たちの行動は現実にいるだろうなと想像できるものですが、嫌悪の対象でしかありませんでした。
心を平気で踏み躙る人、本当にいますからね。
私は人の親である経験がないので、ここの部分の感じ方は追いつけないものがあるかなあ…とも思います。
途中苦しい読書でしたが、読んでみてよかったです。
ほっそさん、ありがとう。
新聞連載されていたといことに驚きましたよ。
日々区切られながらこんな重い話が続いていたなんて。
>被害者の女の子、当初容疑者とされた大学生は、生理的に受け付けませんでした
虚飾とその場が楽しければ、のこの子たちの行動は現実にいるだろうなと想像できるものですが、嫌悪の対象でしかありませんでした。
心を平気で踏み躙る人、本当にいますからね。
私は人の親である経験がないので、ここの部分の感じ方は追いつけないものがあるかなあ…とも思います。
途中苦しい読書でしたが、読んでみてよかったです。
ほっそさん、ありがとう。
Re:『悪人』
吉田修一さんの本は初めてなうえに、他の本にはあまり関心がありませんでした。
重く辛い話でしたけれど、読んでみてよかったなと感じました。
めみさんも機会があったら読んでみて、お話しましょうよ。
重く辛い話でしたけれど、読んでみてよかったなと感じました。
めみさんも機会があったら読んでみて、お話しましょうよ。