初めて知ったが、著者は島尾敏雄さんのお孫さんとのこと。
まんがやエッセイをたくさん発表されているが自分周辺のことを書くのは始めてのことだったらしい。
1978年生まれなのに一時代前のような幼少期の生活、高校時代の厳格な一本線(外泊禁止)にご両親の意志を感じる。
ただ行動範囲を狭めるのではなく、何をしたらいいのかわからないでいるのに模索もしないでいる無気力さにお父様が手を上げたというのもわかる気がする。
手を上げられたはずの著者がそれを覚えていないというオチはつきますが。
放っておかれたのではなく人として慈しんで育てられたのだな、とたいへん羨ましい。
人としての感情は生身の人と関わることで芽生えていくのだな、と腹の底が温かくなるような爆弾を仕込まれたようななんともいえない気持ちになった。
島尾敏雄さんといえば「死の棘」しか読んだことはない。というよりもこの衝撃が強すぎて他が読めないとも言う。
まほさんの祖父母として登場するお二人があのトシオとミホなのだと思うと「死の棘」を再読したくなる。
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