前3編はミステリ、後5編はホラーとして掲載されたものを一冊にまとめるにあたってミステリ部分に手直しをして内容をならした、と著者の言葉にある。
ジャンルにはこだわらない質なので私は気にしないですけれども。
今邑さんはデビュー作とあまり相性がよろしくなかったので以降読んでいなかった。
しかし怪しい装丁に魅かれて読んでみたところ、読みやすいのに嫌な感じにつきまとわれるがそれが嬉しいとでもいいましょうか(笑)。
どれも爽やかでない余韻が魅力的。
こう思ってしまうのは最近辛いことがあった私だけなのでしょうか。
ホラーというにはやさしく、ブラックというにはほのぼのといった曖昧さが私は好き。
タイトルになっている「鬼」は底に恨みが据えられていたらありきたりだけれど、鬼のみっちゃんにそんな気ゼロなうえ、待っている方も恐れとは違った感情であるところが心地よかった。
もしかすると敬遠していたのがもったいなかったくらい好みのものを書かれているのかも、とちょっと慌て中。
PR
この記事にコメントする