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本の感想
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世界屠畜紀行
「世界屠畜紀行」
 [単行本]
 著者:内澤 旬子
 出版:解放出版社
 発売日:2007-01
 価格:¥ 2,310
 by ええもん屋.com

世界各地での屠殺の様子(工場だったりお宅だったり)をイラストでわかりやすく見せてくれる本。
宗教観や食習慣で、方法や感じ方も様々であることが伝わり、たいへん素晴らしい。
しかし、屠殺と差別を一緒の枠で考えることはどうだろうか。
私は差別問題についての教育を受けたことがなければ、自分から情報を集めたこともない。
著者の「日本では食肉加工の仕事を穢らわしいとされてるのよ」という質問に、各国の方々が「信じられない」と返答するのに近い感覚かも。
特にBSE問題以降、日本の食肉加工は素人はやれない(「させていない」かな?)、このことに専門性と敬う気持ちの方が大きかったかもしれない。
映画「ファーストフード・ネイション」で、密入国者が経験も関係なくいきなり工場に放り込まれるのを見て、そこから日本のシステムに安心してみたりした口だ。
これら全てが私の無知故だと言われれば、そうだとしか返答のしようがない。
そこに、自分は屠殺という行為に携わらないという前提があるからだろうと言われれば、そうかもしれないし。
野菜を食べることだって命をいただいていることに変わりはない。
そこに心臓があるか、血が流れるか、という違いがこんなに大きいということにショックを受ける自分もいる。
改めて「いただきます」、「ごちそうさま」の意味を考えずにはいられなくなった。

著者が「ウチザワは大丈夫」と言うのが気になる。
血が流れ出す様子やそこにいた家畜がみるみる食材になっていく様子に何の抵抗もないのはかえって信じられない。
著者は仕事に従事したり、食材を自ら調達する生活をしてきたわけではないでしょう。
初めて目にすることに嫌悪感を持てと言っているわけではない。
著者の「大丈夫」の中には「なんで嫌がるのかわからない」の気持ちが強く感じられることが、この言葉にひっかかる理由だ。
そして嫌がる理由を知る気などないようにも感じる。
韓国での犬肉の話でも、あんなぎゅうぎゅうに囲われている様子を見てもつっこまないところも解せない。
なぜなら著者は、かわいがることと食用にすることが一緒に成り立つと考えているようなのに。
かわいがる心があるのなら、ぎゅうぎゅうづめにされて生かされている犬の様子に何も感じないのは逆にわからない。
結局は取材なのかな…と考えてしまった。
しかし、著者は自分で飼育した豚を食べることをしたらしい(高野秀行さんのブログで読んだのかな?)。
この本を書いた時と、実際に自分で食べた後で何か感覚に違いはあったのだろうか。
それも本になるのだろうか。
私は読むだろうか。
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