タイトル見ると町田さんのほらエッセイかな?と思うがこれは嘘を書き続けることに疲れた作家が本当のことだけを日記に書くという小説なのでした。
見たり聞いたりしたことだけを書くというので恐る恐るページをめくるが、そこは町田さんだから(笑)。
エッセイを読む感じで読みすすめられるが次第に物悲しさが滲んでくる。
真実は…現実は…と私には唸るようなラストでした。
考えてみると、私は町田さんの小説を読んだのは初めてかもしれない。
でもエッセイと呼ばれるものも、とても日常とは思えないので町田さんの書くものは全て小説なのだなという気がしないでもない。
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腕貫探偵の勤務時間以外での活躍を集めた短編集。
彼のいかにもお役所的な対応が好きだったので、勤務時間以外に相談事を聞いてあげるのは私的にはあまり嬉しくない(笑)。
時間だから、と途中で遮ることこそが腕貫探偵の魅力なのに。
不似合いな場所への登場と去り方から不思議な存在、本当は見えているのはその相談者にだけというイメージがあったがこれは私の頭の中だけであったようだ(笑)。
というわけでプライベートな時間、食事中の店で事件に遭遇したり、そこで出会った女子大生に想いを寄せられたりと人としての腕貫探偵に出会った感じ。
仕事だろうがプライベートだろうが、腕貫探偵は冷静に事実を見つめ人間関係の暗部を見つけ出してくれるのでした。
「聖域」に続く大倉さんの山岳ミステリで、こちらは四編からなる短編集。
松山警部補が登場すると思ったのに主人公の名前が違うようで残念と書いたが、主人公を支えるサブキャラクターとして活躍してました。
「聖域」を読んだ時にも感じたが大倉さんにとっては山も登場人物の一人であるかのようだ。
表情の変化など見方を変えれば人のそれよりも生気が伝わってくる。
山での事件という性格上、きっちりとした答えにはならないこともあるがそこへと導く釜谷、原田の篤い心を感じる物語だと思う。
でもですね、正直言うと他の方がこれを書かれたならもっとのめり込めたかなあと思わないでもない。
だって私にとっての大倉さんは落語シリーズだったり、丑三つ時だったり、警官倶楽部だったから作風の違いを感じても無理ないでしょ。
CMで「お父さん」として大人気のカイくんにエコを教授していただくという本。
でも…写真集ですな(笑)。
まあ、私が借りた目的も写真集としてなので、需要と供給はマッチしていて問題なし。
書かれていることは大人が見れば最早当たり前と言われること。
しかしタイトルに「家族ではじめる」とあるように小学生くらいのお子様と一緒に学ぶテキストとしては効果的かも。
カイくんはおっさん口調だけれど毛むくじゃらでかわいいしね。
序文によると、身の毛がよだつほど嘘が嫌いな町田さんが唯一信じられるのは現実事実を撮影した写真。
意味するところがわからなくなってしまった古い写真を綿密に調査し、純客観的な見地から解説・説明を施したのがこの本だそうですよ。
こういう嘘が嫌いな人による法螺話は大好きだ。
以前、ニュース写真を何枚か並べて話を作るのを見て大笑いしたが、それと同じ匂いがする。
写真のチョイスは誰がしたのだろうか?
動物(特に猿)とフェンシングが妙に印象に残る。
一気に読むと中るので(笑)寝る前や本と本のつなぎにオススメ。