あまりにも有名な本。
それ故に図書館ではキレイでないし、昔からあるので字も小さい(何歳だ?)と、読みたかったけれど変な理由で敬遠してきた本。
それが先日図書館に新版があるじゃありませんか。
翻訳の仕事をする34歳独身、ヒルデガルデ。
戦争で身内を亡くし天涯孤独。
彼女は新聞の交際相手募集欄に目を走らせ、金持ちとの結婚を夢見ている。
そんな時にこの上ない良縁の広告を発見する。
当方、莫大ナ資産アリ、良縁求ム。ナルベクハはんぶるく出身ノ未婚ノ方ヲ望ム。世間ヲ知リ、家族係累ナク、ゼイタクナ暮ラシニ適シ、旅行ノ好キナコト。感傷的おーるどみす、暗愚ナ人形ハオ断ワリ
この広告に応募し、話は好転し富豪と結婚。
夢のような生活が待っているはずだったが…
書かれたのが1956年、50年も前のこと。
なので警察の捜査の方法には技術的に着目不可能なこともあるかもしれない。
それに加えて「足での捜査」にも緩みが感じられる。
これが当時の範囲なのかな。
さらに当時の法律の規定なのか、それとも気にする人もいなかったのか、今では重大な欠点となりうることがポイントになっていたりする。
しかし、これらを脇に避けるほどの話の転がり具合。
孤独さが彼女にすがらせたもの、それが哀れ。
知的なはずの彼女が何故?と一気読み。
共謀者と信じていた人物との対峙で露わになる愚かさがまた哀れ。
現在ではこの犯罪計画は成立しない。
法的なこともあるし、声門分析やDNA鑑定等の捜査技術の進歩もあるから。
それでも引き込まれる、魅力的な本でした。
追記
「わらの女」で検索すると出るわ出るわ、昼ドラの話。
全く知らなかったが今フジテレビでやっている昼ドラはこれを基にしているとか。
新版が出るには理由があったのね。
PR
この記事にコメントする