元プロ野球投手倉沢。
試合中、打者の頭にボールをぶつけ再起不能にしてしまう。
この件が尾を引き倉沢はプロの世界を去る。
そして今は便利屋をやっている。
倉沢にぶつけられた西野とその妹と。ちょっと微妙だけれど。
そこに「付き添い屋」という特殊な依頼が舞い込む。
子供に付き添ってサッカーを見に行くだけなのに高額な報酬、国に帰る女性が飛行機に乗るまで見届ける、泊まることが条件の本の整理…どこか裏がありそうな胡散臭さ。
倉沢がそれぞれの背景にある謎を解いていく、というお話。
でもそれだけならただの連作短編集。それだけではないのですよ。
人の選手生命を奪い、それをきっかけに自分の選手生命をも失った倉沢自身のエピソードが胸に詰まる。
最初から伏線が張られていたことに驚かされた。
そう知ってから、とぼけっぱなしの会話を思い返すともう結滞がおきそうなくらい。
この倉沢のエピソード、大好きな奥田英朗さんの「邪魔」に出てきた刑事を想い出させる。
この刑事の話は途中から疑いだし、そうなんだとわかった時には胸が張り裂けそうだった。
「145gの孤独」は疑わせなかった。伏線に気付きもしなかった。
日常の謎を解いているようで、実は倉沢の謎が描かれているというとても好きな展開。
脇に出てくる倉沢の子分の花屋も実にいい子分っぷり。
そっけなさすぎる西野の妹と対照的。これも伏線の一つかな?
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