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本の感想
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儚い羊たちの祝宴
「儚い羊たちの祝宴」
 [単行本]
 著者:米澤 穂信
 出版:新潮社
 発売日:2008-11
 価格:¥ 1,470
 by ええもん屋.com

タイトル作をラストに据えた五編からなる短編集。
読書倶楽部「バベルの会」がすべてを結びつけるという微妙な役割を担っている。
一話目「身内に不幸がありまして」で今まで抱いていた米澤さんのイメージと違うなと感じた。
独白文というかたちで進むことも、旧家の館という舞台も。
一話目だけに限らず、二話目、三話目…と統一された進み方なので、これは短編集というよりも英語副題「The Babel Clib Chronicle」という一冊の本というのがふさわしいと思える。
どの話も終盤の種明かしというか露見する真相に唸っていた。
そしたら「ラスト一行の衝撃に徹底的にこだわった連作集」というのが宣伝文句だったと後から知った(帯にあったの?こういう時図書館派は損だ)。
確かにラスト一行は決定的な言葉だけれど、そこにたどり着くまでに「まさか、まさか」と気持ちを昂らせてくれる雰囲気がお見事なのだと思う。
「山荘秘聞」だけは本当にラスト一行でびっくりしたけど(笑)。これも伏線はたくさん張られていたのだが。
どれも悪意と愛情と残酷さのなんともいえない混ざり具合がたいへん好みでした。

旧家で館、ということで佐々木丸美さんの小説の数々が頭に浮かんでしまった(学生の頃、マルミストだった期間あり・笑)。全然世界は違うのですけども。
私が読んだ頃は講談社文庫だったけど創元から復刊されているのですね。
とりあえず、「館」のつくものを(笑)。

崖の館 (創元推理文庫)
「崖の館 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:佐々木 丸美
 出版:東京創元社
 発売日:2006-12-21
 価格:¥ 680
 by ええもん屋.com
水に描かれた館 (創元推理文庫)
「水に描かれた館 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:佐々木 丸美
 出版:東京創元社
 発売日:2007-02-28
 価格:¥ 780
夢館 (創元推理文庫)
「夢館 (創元推理文庫)」
 [文庫]
 著者:佐々木 丸美
 出版:東京創元社
 発売日:2007-04
 価格:¥ 693

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無題
こんにちわ。
おっしゃる通り、ラスト一行にたどりつくまでが面白かったですよね。
完全に騙されたのは『山荘秘聞』です。
読んだ直後は『身内に不幸がありまして』『玉野五十鈴の誉れ』等の印象が強かったですが、今思うと『山荘秘聞』が一番好きかも、と思ってしまいます。
ia. URL 2009/07/07(Tue)  13:53 編集
Re:無題
なんとなく今までの米澤さんの感じと違っていたので(全部読んでいるわけではありませんが)最初は戸惑いました。
しかしこれがなんとも不思議に面白かったですね。
「山荘秘聞」のラスト、最初は何事か理解できませんでした(笑)。
これはあとからじわじわくるエンディングでしたね。
ああ、ここでも、あそこでも!と。
一話ずつ完全に独立していながら、大きな一つとしてもまとまっている素敵な本だったなあと感じました。
【2009/07/08(Tue)  11:00】
無題
私は事前に「ラスト一行」のことは知っていたので物語が終わりに近づくにつれもうドキドキでした。最後の方を手で隠しながら読んだりして(笑)
『山荘秘聞』には本当にやられました。
あみ URL 2009/08/13(Thu)  19:37 編集
Re:無題
米澤さんと雰囲気違うなあと思いましたが、実に楽しかったです。
「山荘秘聞」のオチは笑ってしまうくらい好みでしたが、他の話も最後まで読んで完結するという姿勢が好きでした。
次はどんなものを読ませてもらえるのか楽しみです。
【2009/08/15(Thu)  11:19】
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