ルピナス探偵団の憂愁 (創元クライム・クラブ)
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津原 泰水
東京創元社
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ルピナスの語源は悲しみを表すギリシャ語LUPE。それが慈悲の心に通じるので校名に頂いたルピナス学園で「ルピナス探偵団」として事件に遭遇してきた彩子、キリエ、摩耶、シジマ君の4人。そのうちの一人、摩耶が病気で25歳の若さでこの世を去る。葬儀に集まった3人が死期の迫った摩耶の不可思議な行動の謎を汚名を雪ぐかのごとく解明する第1話から、卒業式目前に学園で起きた殺人事件を解明する第4話まで、時間を遡って描かれる探偵団の連作短編集。
前作「ルピナス探偵団の当惑」はだいぶ前に読んだので正直覚えていない。
なにせ、私にとってのルピナスといえば「モンティ・パイソン」のデニス・ムーア。前作を手にしたのもそのタイトルのせい。
ちなみにデニス・ムーアは金持ちからルピナスの花を奪っては病気で苦しむ貧しい家庭に送り届け続けて家を花で溢れさせ「役立つものをもってこい!」とつっこまれ、富の再分配というものに混乱をきたす弱者の味方(?)だ!
…本に戻ります。
本に限らず映画でも人が死ぬことで涙を誘うのはずるいと思うし、嫌いだ。
これは1話の摩耶の死では前作を忘れていることも手伝って涙はない。
4話まで読みきった時にアリゾナ在住なのに仕事帰りにそのまま日本行きの飛行機に乗ったというシジマ君、「謎を解くんだ!」と言うキリエ、何もかもが頭の中を渦巻いてどうにもならない彩子へとつながる。
卒業の日の少女趣味な永遠の友情の誓いがあるからこその第1話。
青春の輝きという病かもしれないけれど、そんな病にかかれたことを羨ましく思う。
最後に悲惨な過去を背負わされた人の登場には「何もそこまで…」と思わないでもないが。前作で前置きみたいなことあったかしら?そういったことも含めてもう一度「~当惑」を読まないと、という気になった。
最近、事件の推理に関しては書かれていることを受け入れているだけのような感じがする。人物の心の動きの方が気になるというか。
でもそれがあってこその事件解明だから、私はミステリ読みに向いてないのかな?好きなんだけど。
登場人物の紹介、ちょっと珍しいと思う。だって相関関係だけじゃなく特徴付きですよ。
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