誰もが敬遠するような依頼を引き受ける元警官の「探偵」。持ち込まれた依頼にのめりこむうちに自身の奥に潜んでいた深い傷と向き合うことになる。
「藁の盾」も面白かった木内さんの2作目(でいいのかな?)。
こういう、自分も知らない心の傷を抱えた男という設定に弱い。そういった意味でこの探偵はまさに私好みだった。それだけで私には「あり」な世界。
人当たりもよく穏やかな男なのに、何故そんなに依頼にのめりこんでいくのか、自棄になっているようにも見える無謀な行動、どれもが「傷」へと向かっていく要因。
2話めのタイトルにもなっている「死ぬ迄にやっておくべき二つの事」、探偵はそのためだけにこの8年を生きてきたかのよう。
何故警察を辞めたのか、家族と一緒でないのか、それが知らされてからはもう…。
おせっかいにも依頼を回してくる元同僚木島、粗野で親しいふりをしないが探偵を気遣う情報屋、出会いは敵だったが行動を共にするうちに探偵と通じ合っていく矢能、彼らの書かれ方もぐっとくる。
ラスト2ページは矢能の男気にちょっと涙。
痛そうな暴力描写も多々あるが、探偵の傷に比べたら…ということで勘弁して下さい(笑)。
最低の犯人を護衛しなければならなくなった警察官の話、「藁の盾」もおすすめ。
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