直木賞作家の奥田さんが港町に船で乗り込み、
その町を探索したりおいしいものを食べたりする、という紀行エッセイ。
奥田さんといえば直木賞の精神科医伊良部のシリーズが御馴染みだが、
エッセイもたいへん面白い。
授賞式をすっぽかして行ったアテネオリンピック観戦記「泳いで帰れ」もとてもステキ。
なので否応にも高まる期待感。そして期待通り。
六つの港町を訪れている。前半は「最近仕事してない」と言い続けているが
後半、件の賞を受賞して以降は「この○日間だけ仕事をしないですむ」となる。
それまでだって人気作家なのに、賞の力ってすごいのですね。
ふだんはあまり食べないらしいのに旅先ではかなりの大食いへと変身する。
それは奥田さんのやさしさによるらしい。
ビールを飲みたそう、焼肉を食べたそうな編集者を前にしてお茶だけ頼むというわけにはいかないらしい。
なるほどねえ、はいはい。
でもこれ、関根勤さんの娘さんも言っていた。
「自分が飲まないからお茶でいいね、なんて言ったら本当はビールでも飲みたい後輩がかわいそうでしょ!」
と叱られるらしい。
上に立つものは気配りもできないとね。
「邪魔」を涙しながら読んだ私としては、そろそろまたああいった作風に会いたいなあ。
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