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本の感想
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鼻 (角川ホラー文庫 127-1)
曽根 圭介
角川書店
売り上げランキング: 40342

第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の表題作を含んだ3篇からなる短編集。

「暴落」社会人とは株式を上場していることという世界。株価は学歴、家柄、職業、日々の行い、友人等で上がったり下がったりする。人としての評判が株価となって生活に如実に反映されていく。その社会にどっぷり飲み込まれた青島裕二の悲喜劇。
「受難」仕事仲間との飲み会の後意識を失い気がついたら路地に手錠でつながれていた男の不条理話。
「鼻」人間はテングとブタに二分され、テングはブタに迫害されている。テングを救うべく外科医の「私」はブタへの転換手術という違法行為に手を染めていく。そして自分の臭いに悩む刑事の「俺」は少女誘拐事件の犯人として不審な「マスク男」に狙いをつける。

素晴らしい!私に褒められても何も嬉しくないだろうけれど素晴らしく面白かった!本を読んで星をつけたりしない私でも何だか星五つの気分。
表題作の「鼻」はホラー小説大賞だけれど外科医の「私」と刑事の「俺」の話がどうつながるのかのミステリーでもある。最後までわからなかった!騙されたとかの感覚ではなく、そうか~、やったー!という気持ちになってくる。
どれも気に入ったが、「暴落」のブラックさは特に気持ちがいい。人間の価値=株価で、そのために翻弄される愚かさ。人助けをすると株価が上がるからそのために電車で席を譲ったりするのは授業にボランティアを取り入れてることと変わりない。青島裕二の勤めていた銀行の名前、インサイダーから風説の流布、さらには会社(?)更正法と思われる人間再生の流れからドナービジネスまで。ちくちく突きまくる着眼点が見事私のツボ。
何の予備知識もなく図書館の「新しく入った本」のコーナーで手に取り、裏表紙の内容説明に引かれて借りたら大当たりという幸せな出会い。
これは「沈底魚」も読まなくては。
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無題
図書館に予約中です☆
『沈底魚』は散々な評判(笑)だったので未読なのですが、こちらは驚くほど高評価なんですよね。
あらすじも好みですし、楽しみです☆
めみ URL 2007/12/21(Fri)  09:01 編集
Re:無題
>『沈底魚』は散々な評判
そうなんですか?乱歩賞なのに。それでもやはり着眼点が気になるので見つけたら読もうと思います。
「鼻」はすごく私好みの本でした。私が書いたことくらいではネタバレになっていないと思うので是非楽しんでください!
裏表紙の内容紹介読んでくらくらしてつい借りてしまいましたよ。
【2007/12/21(Fri)  13:10】
無題
はじめまして。
『鼻』は発売日に買って読みました。
ひょっとすると作者は長編より短編向きなのかもしれませんね。
URL 2007/12/21(Fri)  21:36 編集
Re:無題
発売日に買われましたか。
短編向きと思われたのなら「沈底魚」もお読みですか?
私は未読ですが、他の方の評判を聞くと読む順番を間違えたかな?という気がしてきました。
【2007/12/22(Fri)  11:07】
無題
暴落にすごく惹かれますね。
人の株価って・・・
すごい斬新な感じが気になる!
是非読んでみたいと思います^^
ウルズ URL 2007/12/29(Sat)  01:00 編集
Re:無題
ウルズさん、こんにちは。
この本はおすすめですよ~。私はとても気に入りました。
中でも「暴落」の世相を突きまくっているところが大好きです。
偶然の出会いでこれほど楽しかったというのも稀なので、今年一番興奮した本となりました。
【2007/12/29(Sat)  09:29】
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